第23話 少女の正体
「はぁっ!」
容赦のない、鋭い剣戟が僕を襲う。
僕は咄嗟にそれを槍で防ぐが、身体ごと吹き飛ばされてしまった。
あの細腕で振るわれているのが、信じられないほどの凄まじい筋力だ。
まあ、それも当然だろう。何故なら——
名前 アリス・オーシャン 所属 全海層秩序自衛軍
筋力 71.37 体力 69.03 魔力 85.37 体術 59.76 剣術 87.60
スキル 「永雪之才」「倚馬七紙」
魔法 「鑑識魔法」「言語魔法」「鏡魔法」「火魔法」「水魔法」「木魔法」「土魔法」「風魔法」「雷魔法」「光魔法」「氷結魔法」「引力魔法」「音魔法」「治療魔法」「戦闘魔法」「浮遊魔法」「豊穣魔法」「泡魔法」「色彩魔法」「誓約魔法」「天候魔法」「狂乱魔法」
僕は右眼が映す……その圧倒的なステータスとスキルや魔法の数々を見て、思わず戦意を喪失しそうになる。
……間違いなく、これはアリスさんのステータスだろう。
何故、急にアリスさんのステータスが見えるのかは謎だが、左眼の件もあるし、どうせまたサズ子が何かやらかしているに違いない。
というか、アイツはこんな力を持っているくせに、何でアリスさんに喧嘩を売ったのだろうか?
もしも、サズ子がこのステータスを知っていて僕に戦えと言っていたのだとしたら、完全に頭がおかしいと言うしかない。知ってたけど。
……しかし、おかしいと言えば、もう一つ不可解な事がある。
それは……
「何で、僕はこの人と戦えているんだ?」
僕は空中で体勢を整えると、すぐに自分の意思で槍を操り反撃する。
何故かは分からないが、知らないはずの槍の使い方が頭からどんどん湧き上がってきて、線を描くかのように有効な攻撃方法の選択肢が脳裏に浮かんでくるのだ。
『これが、私の力』
「サズ子の?」
『そう。私は今、蒼に憑依して私の全てを蒼に捧げている。槍の知識、右眼のスキル、更にはステータスまで……しかも、蒼はこの力を私と契約している間、全て自由に引き出せる』
「……凄いな」
『だから、それなりのお礼はするって言ったはず。普段はそんなに言わないけど、私は本当は凄いんだから……なのに、蒼はこんな献身的な私の事をまたやらかしているだの頭がおかしいだのとなんだのと、散々ディスってた』
「ごめんって」
『謝罪に一切の誠意が感じられない』
「うっぜ」
『はい。病んだ』
「なあ、何でお前はそんなに面倒くさいんだ?」
『それを真正面から私のような女に言うのが、どれだけ危険な事か教えてあげようか?』
「お、おい、何する気だよ?」
『……普通に泣く』
「……ごめん。流石に言い過ぎた」
『私は良い女だから、特別に許してあげる』
凄い。まるで戦闘なんてしてないみたいな、穏やかな会話だ。
現実は、アリスさんが魔法で作りあげた炎の龍に睨まれている真っ最中だというのに。
「この私を相手に会話しながら戦うとは、随分と舐められたものだ」
「あの、アリスさん? 流石に、そんな攻撃を喰らったら死ぬんですけど……」
「なら、死ぬ気で避けろ」
「そんな無茶な」
……あれ、もしかして、アリスさん怒ってる?
僕がたらりと冷や汗を流していると、室内を全て赤く染め上げる程の火龍は大きく口を開けて僕に突っ込んできた。
ところで、この龍。闘技場を余裕で飲み込むくらい大きいんですけど……一体、何処に逃げれば良いんですかね?
『【千変万化】大蛇よ。そのミミズを食い荒らせ』
その時、サズ子が僕の身体を操り地面に槍を突き刺す。
すると、火龍がいる空中の更に上、基地の天井が全て大きな蛇の口となって、空中に浮いていた火龍を丸呑みにした。
僕はそれを見上げながら、思わず乾いた笑い声をあげる。
まるで現実感がないが、このまま戦い続けていたら恐らく僕は死ぬだろう。
その証拠に、室内にいた人達は火龍が現れた瞬間、蜘蛛の子を散らすように逃げ出してしまった。
唯一残っているのは、アリスさんに命令されて動く事の出来ない哀れなオッサンくらいだ。
「ふむ。私が言うのも何だが、少しは手加減してくれないかね? このままでは、基地が破壊されてしまう」
『知らない。この闘技場が狭いだけ』
「まあ、確かに我々が戦うにはここは狭過ぎるか……よし、鏡魔法【
アリスさんがそう呟いた瞬間、世界がアリスさんの手元に吸い寄せられた。
しかし、そう感じたのも束の間、目の前には先程までの闘技場と何一つ変わらない風景がそこには広がっていて、僕は狐につままれたような気分に襲われる。
「今のは……?」
「さあ、ここなら自由に戦えるぞ」
「え、でも、基地が壊れるんじゃ……?」
「ああ、安心しろ。ここは鏡の世界だ。さっきと出口の位置が反対方向にあるだろう?」
そう言われて、出口があった方と反対の方向を向くと、確かにそこにあるはずのない出口があった。
『……蒼、気を付けて。あんな平然とした態度だけど、今あの女がやってる事は相当ヤバい』
「え?」
『蒼は魔法に詳しくないから分からないかも知れないけど、あの女は魔力だけで擬似的な異世界を構築した上に、私達はその世界に強制的に閉じ込められた』
「……どういう事だ?」
『簡単に言えば、ここは化け物の腹の中』
……どうしよう。何となくヤバいのは伝わって来たが、サズ子が何を言っているのか全く分からない。
『これだけの力があれば、確かにあの女を倒す事が出来るのか……? いや、でも……もっと、確信的な何かが欲しい…………』
「サズ子?」
『……蒼、この世界にいる限り私達に勝ち目はない。一撃で決めよう』
「一撃って……そんな事が出来るのか?」
『出来る。蒼は私が言うタイミングで、あの女に真っ直ぐ槍を突き出すだけでいい』
「……分かった。信じるぞ」
『ありがとう。大好き』
「ああ。僕はそこまででもないけどな」
『うん……あれ? 今このタイミングでそれを言う必要あった?』
サズ子が憑依している影響か、驚愕したような感情が僕に伝わってくるが、僕はそれをガン無視すると、もう何度目か分からない問いかけをアリスさんにしてみる。
「そろそろ降参しますって言ったら、聞き入れてくれますかね?」
「無理だな。何度も言ってるだろ? 私は君達の底を知る必要があるのさ」
「安心してください。現時点で、深皿と奈落の底みたいな実力差があります」
「なるほど、興味深いな。深皿代表として頑張らせてもらおう」
「あの、すみません……もしかして、アリスさん怒ってますか?」
何故か、さっきからアリスさんからは絶対に僕を跪かせるまで逃がさないと言ったような固い決意を感じてならないのだが……。
「怒ってる? その逆だよ。むしろ、私は喜んでいるのさ」
『あの女は、戦闘狂の変態だから』
「ああ……」
「い、いや、違うぞ⁉ 君の悪器は、何てタイミングで何て事を言うのだ⁉ それに、何故君までそんな納得したような顔をする⁉」
「え、違うんですか?」
「君は私の事を何だと思っているんだ⁉ 私は、仮にも秩序の体現者である海軍の元帥にまで上り詰めた女だぞ⁉」
そんな事を言われてもアリスさんには悪いのだが、正直さっきのオッサン同様、僕は元帥がどの程度凄いのか良く分かっていない。
しかし、戦闘をしている時のアリスさんは、とても生き生きとした表情をしていた。
実際は分からないが、少なくとも僕はあんな嬉しそうな顔で斬りかかってくる人を、あまり秩序の体現者とは呼びたくないな。
「わ、私はただ最近身体がなまっていたから、このタイミングでここまで良い運動が出来るのが嬉しかっただけだ!」
「運動?」
「そうだ! 君にはまだ分からないかも知れないが、元帥は大変なんだぞ⁉ こなさなければいけない仕事の量は星の数ほどあるし、外に出れたとしても各国の王侯貴族達との交渉がほとんどだ! この前の休暇が、私にとって何年振りの休暇だったと思っている⁉ 要人警護の際、極まれに襲ってくる海賊はいるが……正直、十海層以下の奴等など全く相手にならん! こんな私が運動不足に悩まされるのは、しょうがないとは思わないのか⁉」
「お、思います!」
アリスさんは、今までの不満が一気に爆発したかのように叫び散らかす。
どうやら、相当ストレスが溜まっていたようだ。
「はぁ……はぁ……んんっ。と、とにかく、このタイミングで私と打ち合える者が現れるのはありがたい。欲を言えば、あと十時間は戦って身体のコリを完全にほぐしたいところだ」
「お断りします」
「しかし、残念ながら君はもう逃げられない」
僕が即答すると、アリスさんはどや顔で胸を張る。
え……? まさか、基地が壊れるとか方便で、この魔法を使ったのは僕を閉じ込めるのが目的だったのか?
『貴女、それで良く秩序の体現者を名乗れたわね。欲望の権化じゃない』
「流石に、そこまで言われるような事をした覚えはないぞ⁉」
「そうだ。お前だけは、他人に向かってその言葉を使うんじゃねえ」
『……おかしい。今回は蒼も被害者側のはずなのに、何故か構図的に私が不利になっている』
それはお前の普段の行いのせいだと、声を大にして言いたいが……どうせ、言っても無駄なんだろうなぁ……。
僕は重く溜息を吐くと、槍を構える。
サズ子の味方をする訳では無いが、こんな場所であと十時間も戦闘するなんてごめんだ。
「おい、サズ子。作戦はあるのか?」
『あの女を槍で貫く』
「おい」
『安心して欲しい。今のは、そのくらいの気迫を持って攻撃するということ。そうじゃないと、あの女に攻撃なんか当たらないし、あの女だって本気で来いと言っていたはず。それに万が一の事が起こったって、あの女は治療魔法も持っているから大丈夫』
「治療魔法だと……? 何故、それを知っている」
「ああ、何かサズ子のせいでステータスが見えるんですよ」
「ほう……それはまた、随分と」
それを聞いたアリスさんは、急に難しそうな顔をする。
「君が素直な事は分かったが……その力は、君が思っている以上に危険だぞ。魔法やスキルを隠しておきたい光海教会や王侯貴族に知られたら、まず命を狙われる。ステータスとは、それほど他者に知られてはならない秘中の秘だ」
「そ、そんなにですか……?」
「ああ、私は黙っておいてやるが……そもそも、その力を誰かに知られてしまった時点で、今日から背中に気を付けた方が良い。魔法がある以上、私だって誰にでも秘密を守れる訳じゃないからな」
「す、すみません……」
「謝るな。これは不幸な事故だと思う事にしよう」
『蒼の馬鹿』
「いや、そもそもお前が治癒魔法とか言い出したのが原因だろ」
『私の段階では、まだ誤魔化しが効いた。完全にバラしたのは、蒼のせい』
「いるよな。そうやって、自分のミスを人のせいにしようとする奴」
『そうやって、自分が悪いからって周りも巻き込もうとする人もたくさんいる。人は自分の過ちを認められない、愚かな生き物』
「全人類が、お前にだけは言われたくないと思うぞ」
「おいおい、私を置いて喧嘩するんじゃない」
やれやれと溜息を吐いて、アリスさんが絶妙なタイミングで仲裁に入る。
なるほど。これは確かに、秩序の体現者だ。
もしも、あと一秒仲裁が遅かったら、危うく僕達はアリスさんを放って、どちらかが泣くまで終わらない本気の喧嘩をしていたかも知れない。
「それより、君は今まで私のステータスを知った上で挑んできていたのか?」
「まあ、一応……」
「素晴らしい。それで良く戦意を喪失しなかったな。これで心置きなく戦えるというものだ」
「それとこれとは、話が違いませんかね⁉」
分かってはいたが、やはりさっきまでのアリスさんは大分手加減をしていたらしい。
僕はそれでも死にそうな思いで戦っていたというのに、アリスさんが全力を出したら本当に死んでしまうじゃないか。
しかし、そんな僕の抗議の視線を受けたアリスさんは、知るかというように好戦的に笑うと新たな魔法を発動させる。
「折角、場所まで移動したんだ。派手に行こう。雷魔法【
その瞬間、アリスさんを中心に全方位に雷が走った。
僕は咄嗟に槍を地面に突き刺すと、先程サズ子が使っていたスキルを思い浮かべる。
「【千変万化】大地よ、僕を守れ」
すると、地面がドーム状に盛り上がり僕を覆う。
ほ、本当に、僕にもスキルが使えた……あれは、サズ子が適当に言った嘘じゃなかったのか。
『失礼な。私はこれまでに嘘を言ったことがない』
「お前が?」
『……何故、そんなに疑問系なの?』
「いや、別に……ただ、信じられないなと思って」
『とても遺憾』
サズ子は不満気にそう言うが、自分の事を神様だとか名乗ってた奴にそんな台詞言われてもイマイチ信じられない。
まあ、コイツはいつも変な事ばっかり言うし、あまり真剣に取り合わなくていいだろ。
『それより、私のスキルを使うのは良いけど……これは少し、愚策と言うしかない』
「え?」
『【
その時、僕をドーム状に包んでいた地面が全包囲から押し潰されるように崩れて来た。
「引力魔法【
僕の周囲の大地は紙をぐしゃぐしゃに丸めたみたいに丸く固まると、中心に引っ張られるように宙に浮く。
僕はそれを、
『こういう風に、自分の周りを囲むように防御をすると相手がどんな攻撃をしてくるか分からない。特にあの女みたいな化け物は、常にその姿を視界に映しておかないと、その時点で詰みと言っても過言じゃない』
「そ、そんな事より、僕の身体に何が起こったんだ……? 今、地面が僕の身体を……通り抜けたぞ?」
『これは、私のスキル【終宵の黒衣】。今、蒼には誰も干渉出来ない。それはどんな攻撃、どんなスキル、どんな魔法を以てしても不可能』
「そ、そんなスキルまであるのか」
『当たり前。私は神様だから』
「ええー……」
『……どうして、ここまでしても蒼に疑問を持たれるのだろうか』
お前みたいな神様がいたら嫌だからだ……何て言ったら、またサズ子が拗ねるから言わないけどさ。
『……ちなみに、私は今蒼に憑依している状態だから、蒼の思っている事は全て私にダイレクトに伝わってきていると、そろそろ気が付いて欲しい』
「マジか、すまん。それが偽りのない僕の思いだ」
『だからって、開き直って言葉まで偽らなくていい訳じゃない。せめて、表面上は優しくして』
「いや、それで良いのかよ……」
『心ではどう思っていようが、自分を気遣ってくれているという事実を何よりも重視する。女ってそういうもの』
「もういい加減、ツッコむのも面倒くさくなってきたな」
『……おかしい。この流れで心の声じゃないのに、何故か辛辣な言葉が聞こえてくるようになった』
僕達がそんなやり取りをしている間に、僕が何処にもいない事に気が付いたアリスさんが警戒したように辺りを見回し始めた。
しかし、僕は別に何処にも隠れておらず、アリスさんの真正面にいるのだが……どうやら、アリスさんには僕の姿が見えていないようだ。
誰にも干渉出来ないという事は、視界にも映らないという事なのか?
「それで、これからどうするんだ?」
『【終宵の黒衣】を使っている間は、こちらからも相手に干渉出来ない。このまま近づいて、死角に入ったらスキルを解いてゼロ距離から槍を突き刺す。それで、この茶番は終わり』
「……殺す訳じゃないんだよな?」
『勿論、殺しはしない。けど、少しでも攻撃を当てないとあの戦闘狂の女は自分が満足するまで戦い続けるよ?』
「……分かった。あんまり信じたくはないけど……お前を信じるよ」
『ねえ。だから、何でさっきから言葉に棘があるの?』
僕はサズ子を無視して、慎重に歩きながらアリスさんに近づく。
気が付かれないと分かっていても、真剣な目をして自分を探している相手に遮蔽物もない場所で正面から向かうのは怖い。
『……今なら、イタズラし放題だね』
「やらねえよ」
『相手に干渉出来ないと言っても、スカートの中を鑑賞するくらいは出来るよ?』
「うるせえ。上手い事言ったみたいな雰囲気出すんじゃねえ」
『まあ、もし本当に覗こうとしたら、一番致命的なタイミングでスキルを解除するけど』
「お前は、本当に最悪な奴だな⁉ やらねえって言ってるだろ‼」
サズ子に向かってそう怒鳴り散らすが、それでもアリスさんは僕に気が付く気配がない。
……どうやら、本当にバレる心配はないようだ。
馬鹿馬鹿しくなった僕は普通に歩いてアリスさんに近づくと、そのまま背後にまわる。
「……本当に、殺さないんだよな?」
『くどい。そんなに言うなら、槍の穂先を腕に少し掠らせる程度で良い。だから、絶対に外さないようにしっかりと肌にくっつけて』
腕か……それなら、流石に大丈夫か?
僕はサズ子に言われた通り、槍の穂先をアリスさんの腕にピタリと付ける。
『行くよ。【終宵の黒衣】解除』
「【戦闘魔法【
その時、僕の気配を感じたのかアリスさんは魔法を使い、身体がブレて見えるほどの速度でその場から離脱しようとする。
しかし、逃亡は許さないというようにサズ子が僕の身体を操り、アリスさんを追うように黒銀の槍を真っ直ぐ伸ばすと、槍自体までが柄を伸ばしそのままアリスさんの身体を貫いた。
その一瞬の出来事を見ていた僕は、目を見張る。
槍は、確かにアリスさんを貫いたが……僕の左眼には、何故か貫かれたアリスさんの横に半透明の
『なるほど。通りで手応えがおかしいと思ったら、これは隠蔽魔法【身代わり】か』
サズ子がそう呟くと、槍がもう一人のアリスさんに向かって直角に曲がった。
アリスさんは初めて驚愕したような顔をすると、そのまま黒銀の槍に腕を貫かれてしまう。
——その瞬間、世界の崩壊が始まった。
鏡が割れるように周囲の風景があっという間に崩れ去り、僕は暗闇に放り出される。
「なっ⁉」
『落ち着いて、槍に貫かれたせいであの女が魔法を維持出来なくなっただけ』
すると、サズ子が言うようにすぐに暗闇は晴れ、周りの風景は元の闘技場に戻ってきた。
僕は思わず安堵の息を吐いて胸に手を当てようとすると、未だに身体がサズ子に操られている事に気が付く。
慌てて伸ばされた自分の腕の先を見ると……闘技場の中央で、黒銀の槍に腕を貫かれたままのアリスさんが苦しげに蹲っていた。
「お、おい、サズ子! 今すぐ槍を引き抜け!」
『それは、駄目。まだ、あの女の正体が分かっていない』
「何を——」
バシャッ。
「……え?」
その時、目の前にいたアリスさんの身体がまるで水で出来ていたかのように弾ける。
そうして、闘技場の中心でカラフルな水たまりを作りながら現れたのは……金髪のまだ幼い少女だった。
名前 アリス・オーシャン 所属 魔法都市
筋力 ??? 体力 ??? 魔力 ??? 体術 ??? 剣術 ???
スキル 「永雪之才」「倚馬七紙」「鏡の支配者」
魔法 「鑑識魔法」「言語魔法」「
備考
僕の右眼に映ったそのステータスを見て……サズ子が、静かに嗤った気がした。
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