第3話
嵐のような女神が亀裂の向こうへ帰っていくと来訪者たちから絶望の声が聞こてきた。
「一瞬でもワクワクしちまった俺が馬鹿だった...」
「俺無双できるかと思ったのに。」
「結局何カップだったんだ。」
推定E以上だぜ、同志よ。
「聞いてくれ!神の理不尽に打ちひしがれし同胞たちよ!」
周囲が絶望オーラを醸し出す中、メガネ君が群衆の前に立ち大声で来訪者達に呼びかけ始めた。
「君たちが今感じている絶望はよくわかる!だが!故郷に帰る方法はあの塔にあるんだ!僕はなんとしても故郷に帰りたい!」
そしてもう一度来訪者たちをじっと見つめる。
「力あるものは僕の背中を守ってくれないか!勇気あるものは僕を故郷へと導いてくれないか!ともに戦い、ともに故郷に帰ろう!」
そして腰に携えていたどす黒い剣を空へと掲げる。
すると、先ほどまで意気消沈していた日本人たちの目に光が宿り始めた。
「ここまで来たらもう知るか!や、やってやる!俺は日本に帰るんだ!」
「俺だって、英雄にでもなんにでもなってやる!」
来訪者達は次々と立ち上がり武器を掲げ始めた。
その数は徐々に増え、最終的にはほとんどすべての来訪者がメガネ君に呼応するように武器を掲げていた。
「ここに!ミスチーフ攻略部隊プレイヤーズの設立を宣言する!!」
「「「「「おおおおーーーー!!!!!!!」」」」」
メガネ君すごいな。あの数の人間をすぐにまとめるなんて。
俺がメガネ君に感心していると、来訪者が集まっている中から何人かこそこそと裏道に逃げていく人影が見えた。
「ま、俺には関係ないみたいだし。」
俺はこの騒動に慌てふためくフィムスの住人達を無視してディアと手をつなぎそそくさと自分の家に帰った。
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