第2話 君といた部屋Ⅱ

「君といた部屋Ⅱ」


もともと二人は同僚で

机並べてせっせこせ

仕事の話で日が暮れる

一緒の時間は無限大


そらから何度か言い合って

そこから何度も張り合った

同僚ライバル友人で

それから男女を意識した


最初は内緒で会っていた

健全ドライブ食事して

手さえ触れずに送る日々

それでも芽吹く恋の仲


秘密の恋は日陰花

かよわくもろいシャボン玉

壊れて消える運命なら

今咲かせたい恋の花


そうして季節が変わるたび

かけがえのない人になる

いつも二人でいることが

いつの間にやら当たり前


そうして二年が過ぎ去って

四月に僕が転勤に

このままさよならできなくて

二人で必死に考えた


僕は実家の居候

君は宅通会えないね

それでも何とかするうちに

部屋を借りようそうしよう


いろいろ二人で工面して

ようやく見つけたこの部屋を

1DKで狭いけど

家具付き新築駅のそば


二人で会うなら十分だ

四月九日入居の日

二人で小物を買い集め

これからよろしく缶ビール


お互い持とうカードキー

自由に使おうこの部屋を

毎回君と会うたびに

いろいろなものが増えていく


小さな窓から見える空

夕日が沈む山の端に

田植えを終えた水田に

カエルの声が鳴り響く


そうやって僕たちは部屋を借りた

お互いにはしゃいでいた

「駆け落ちってこんな感じ?」と君が尋ねた

「本当にそうする?」と僕が答えた。

結婚できない二人が最後に選ぶ道

それは僕たちにふさわしいことかも知れない


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