第二章 作戦開始
第5話 陣形と討伐旗
戦場に行くため、ロック様や潜入部隊とその部隊を回収するギルドの部隊と一旦別れた。
戦略偵察の結果、陣を張るところをあらかじめ確定しておいたポイントに到着して陣を張り込んだ。
今回は、昨日の夜から今日さっき展開が終わるまでに、ギルドナイツ旗も数用意して盛大に陣地に立ててある状態なのだ。
スクーデリア皇国旗も、一緒に立ててある。
ギルドの命令が掛かっていることを、公的に表すものであり重要なものであるのだった。
しかもこのポイントはカイラズ国の増援部隊が必ず通るというような要衝であり、ここを外すと確実に大きく迂回せねばならないような位置を抑えているのだ。
そしてその要衝の後背部分に、エクレールの叢雲家の部隊が展開している。
そういう、状況だった。
かといってここを迂回すると、間違いなく増援は一日遅れるそんな場所に陣を張ったのだ。
カイラズの増援部隊は、
(FPTとは
昨日と同様だが戦略偵察部隊を、輸送母艦アストライアの上空に展開させている。
戦略情報を、リアルタイムに取るためである。
その情報から吐き出された情報を基にAGCジスティスから、支援火砲で相手の軍団の鼻先に対して打ち込みが開始された。
全部で十八門ある火砲から数射、展開式拡散榴弾が放たれる。
白い空気を切り裂いて飛んでいく砲弾が、次々と相手の鼻先で展開し小榴弾をバラまいて行く。
小榴弾、小さいとは書いたが豆粒のようなものではない、M・Mやその支援機材にとっては掠っただけで手ひどいダメージをもらうようなものであるのだ。
こちらからでもセンサーに捉えられた。
FPTに被弾して煙を噴き上げ、あるものは燃え、またあるものは爆発して手ひどい損害を与えていく。
小国が持って無いものの中に、
ES型(超小型)やS型(小型)に該当する、空中機動艦艇を持っていることはあっても標準型以上の大型艦艇は持っていないことが多い。
だから地上を集団でFPTで走るという無茶なことをしなければならないのだ。
これが国家のサイズの違いにおける、軍略のいや戦術の違いになるのだ。
そしてカイラズ国は、この小国に該当する。
その地上疾走速度は精々、時速二百キロメートル程度である。
なのでM・M輸送車両であるFPTを使用し、密集形態で走って移動するのだ。
なぜ密集形態かというと、空気抵抗を減らすためである。
M・Mを一機載せられるFPTはサイズがある程度ある、全高大体二十五メートルでM・Mよりも一回り大きいのが普通なのだ。
そんなデカブツを走らせるのに空気抵抗が関係ないなどといえることは無い、FPTは基本輸送用であるため空気抵抗を考えられて造られないのだ。
だから複数台は並べるかもしれないが、基本は帯のように密集して走る隊列を要求されるのだ。
よって、先頭がこけたら当然その隊列は止まってしまうのだ。
今はまさに、そんな状況であった。
私たちはすでにM・Mを展開してあり、いつでも打って出られる状態で陣形は鶴翼に該当するのだ。
姫機は一歩内側に入ってはいるが、第二列でみなの奮闘具合を見ようと思っておりもし展開機がシリョウやユーレイであれば即第一列を代わってもらうつもりでそこにいるのだ。
列は幅で十台、帯状に二十台並び、約二百機がいるものと思われた。
うち先頭から次の列とその第三列目までが、榴弾によって損害を受けたようだった。
破損したのがFPTだけなのかはたまた、中身まで行ったのかは出てこないとよく分らないが……。
カイラズ国のC級機体クロッティアラントが中から出てき始めた、破損の度合いは異なるようだが輸送形態でなくてちゃんとした状態になるまで待ってやる。
指揮機はいるものの、こちらがスクーデリア皇国旗だけでなくギルドナイツ旗も同じ場所に立てているということである程度の理解はあるらしい。
今回は全機、カイラズ国のC級機体クロッティアラントが罠にかかったようだった。
私の周囲には、すでにカメラ機が数十機飛んでいる。
私の後ろには、ひときわ大きいスクーデリア皇国旗とギルドナイツ旗がはためいている。
本来の戦場なら建前を口上で述べるなどというややこしいことをせねばならないというか形式が存在するが、今回は討伐任務であるそのような口上は述べる必要がない。
討伐の印はギルドナイツ旗がそれを示すものとなっている、口でいう必要は無いのだ。
一般的にはC級機体は国家の旗機にはなりえないが、小国のような軍事予算に余裕がない場合は話が別でC級があるだけマシでD級やE級に該当するようなものが旗機であることもある。
私はシリョウやユーレイが、いないことに胸をなでおろしていた。
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