第6話 再会

「他のメンバーにも紹介しよう、付いて来てくれ」とロック様は事務的にいった、事務的なのは悪いことでは無いので大人しく付いて行くことにする。


 歩いている最中、少し暇が出来たので少しばかり質問してみることにした。


「ロック様はギルド使用機、ギルデュース乗りなのですか?」と私は質問した。


 ロック様は「違うな」としか答えなかったが、その後「グラヴィリスというギルデュースの改良機で魔導機だ」と答えてくださった。


 他に二・三質問は思い浮かんだが失礼に当たる質問も含まれていたので省略して「では改めてよろしくお願いいたします、私の機体は国元から持ってきた、姫機ひめきファランクスFirstXfoctorです」とだけ答えたえてクラスは語るまいと思った。


 それが失礼に当たるとは可能性があることであるからだ。


 上司の機体よりも格が上であるのだ。


 失礼になる、そう思ったのである。


 それに何よりも姫機と称し、一機しか存在しないイコールX級エックスクラス以上か? というところまでバレそうな気がしたのであった。


 ロック様が見せてくれないか? といわないだけましではあった。


 直接見られればバレてしまうという危険性があったからだ。



 その後、いくつもの階層を抜け、大型で広い格納庫のうちの一つにたどり着いた。



 そこに並んでいるものは、自身の乗艦を含めて壮観そうかんな眺めであった。



 マーキングから分かるものはいくつかあった。


 戦場の女神として有名なカチューシャ・グラーシェンカ殿どのの旅団のマークの付いた黒一色のカラーリングをまとったラージLフライングFパワーPトランスポーターT(以下L-FPTと略す)-スタンダードSタイプTがそこに五隻も並んでいた。


 あとは、私の乗ってきた白銀のL-FPT-トランスポートTマザーMシップSである。


(L-FPT-とは全長千三百メートル以上千五百メートル以内の長大さを誇る大型の空中機動艦船である)


 他には艦船では無いがギルド専用フローティングFパワーPトロリーT(以下FPTと略す)が一台、ギルド徽章きしょうを付けて停止していた。


(FPTとはM・Mマジック・マシンを乗せて運ぶ移動式の格納庫のようなものである。浮遊移動をするため、頭にフローティングを冠している)


 ロック様は「仲間に面どおしをしよう」といって、“ワイワイガヤガヤ”としている蜥蜴人族リザードの集団の中に分け入っていった。


 私もそれに従った。


 私の外観は美しいほうであると自身で実感している。


 その辺りの美貌もアストライア姫と同じなわけだ、少し“ガヤガヤ”が収まっていく、私に注目が来ているのだということは嫌でも感じさせられた。



 ロック様は“ガヤガヤ”の中心部に入っていく。


 中でも見覚えのある顔、お兄様とグラーシェンカ殿らしき精悍だが少し小柄な体つきの蜥蜴人族と、あと少し離れたところに親友の姿が見えた。



「グラーシェンカ殿どの、本日到着されたアストライア姫だ」といって、グラーシェンカ殿に私の紹介をしたロック様であった。


「アストライア・フォン・スクーデリアと申します。よろしくお願い致します」と礼儀作法にのっとって、ご挨拶をする。


“ガヤガヤ”の集団はほぼ蜥蜴人族たちでもあるので私も、その知り合いかと思われるエルフ殿もロック様も目立ってはいた、さらに中心にいる、少し小柄ではあるがリザード・ナイツとわかる人物が振り返った。


 そして「こちらこそよろしく頼む」といわれたのであった。



 その後さらに「エクレール」といって親友をグラーシェンカ殿が呼ぶ、兄も追加で呼ばれた。


「こちらが、エルフのエクレール殿だ」とグラーシェンカ殿。


「エクレール殿よろしくお願い致します」と私はいつも通りの挨拶をした。


 だが反応は薄く、公的な挨拶しか帰って来なかった。


 同名で違う方かとも思ったが、私の親友では無いようだった。


 ただ親友にとてもよく似ているのではあった、影武者ではないかと思えるほどに……。


「こっちはいうまでもなかったか、ケルビム乗りのアーガイル・スクーデリア殿だ」といわれて、兄と視線を交わす一瞬ではあったが兄には感ずかれたようであった。


 が、兄は形式どおりではあったが「よく来たな」といった。


 私も形式どおりではあるが、「お兄様、アストライアはさびしゅうございました」とアストライア姫の心中を一部語ることにした。


 さすがそれには、兄もタジタジと下がるしかなく「そのなんだ、お前に何も言わずに出奔しゅっぽんしてしまって悪かった」といってくれた。


 ここまでは予定調和である。


 兄も合わすのはうまいようだ。そうでないと困るのだ。




 と少し間が開いた。

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