第31話 接続された宇宙の果て、そこで朽ちゆく神の残滓

たぶん宇宙のどこか。

ミーナは、宇宙海兵は本来合成されるはずがない有り得ない知識の集合体を見る。

眼前を覆うのはミーナの存在に反応する、粘着性を帯びた何か。それが恒星の表面をも覆っている。

かつて、だ。

その塊はミーナの意思に反応して、グツグツと沸き立つ表面に紋様を浮かべる。


そこにあるのは、躍動する死。

個体としては死んでいるが、全体はまだ全く死に切っていない。誰がどうやってコレを殺したのかは、想像もできない。

殺した種族はおそらくとっくの昔に滅亡しているだろう。脳内に流れ込むオーバーマインドの思念は、問いかける

『人間なら、コレをどうしますか?』

海兵の部分のミーナは少し考える。

「生きてるのか死んでるのか、そもそも何なのかすら分からん。サンプルを回収してどうこうってわけにも行かない。

それこそブラックホールに捨てるしかないな……ブラックホール……嫌な予感がして参りましたわ」

宇宙海兵とミーナの意識が切り替わりつつ考える。

『そう、ミーナとローザが協力しなくちゃいけない。コレをブラックホールに捨てるアイデアで、まずは合格点』

オーバーマインドの思念が若干ローザ寄りになる。


「でもブラックホールに捨てても情報だけは残るから、宇宙規模の火水木金土の五行に六目の物理法則を加えた大魔法で威力不足なんかを補わなきゃ……って、あれ? 前より頭が冴えてるような」

ここで頭が冴えるのは、絶対に良くない兆候だ。

真紅の毒蛇が鎌首をもたげ始める。


『新魔法のインストールと同時に、神経系のアップグレードもしたよ』

ローザの声を借りたオーバーマインドが、脳の活性度を図示する。

「この前1ヶ月近くも実証テストに付き合ったんじゃ……」

『うん、その改善点の強化もやっておいたの』

「……なんのために?」


『あの恒星に張り付いた泥みたいな動く何かの死体、それが私たち外宇宙生命体とあなたたち地球生命体が戦ってた理由』

「なんであんなモノの為に?」

『もう理由は誰にも分からない。でもひとつわかることがある。焼いても死なないお友達ビアンキに心当たりはあるよね?』

「……まさか! ビアンキ? アレが!」


『ちょうどオーバーマインドとミーナの統合は終わったの、真紅の毒蛇は完全には統合できなかったけど。また挑戦しようね』

二度は勘弁してほしい。ミーナは思った。

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