第13話 震える土、蠢く岩達13



 えっ?えっ?




 もしかして、お姉ちゃん達はトイレかな?




 だったら、私に一声掛けてくれればいいのに。




 でもなー、さっきの冗談がひっかかるんだよねー。




 まさか、マジってわけじゃないよねえー?




 念のために能力を使い、私の視野と視力を最大にして、二人を探して見る。




 すると、岩と岩との間を動く二つの人影がある。




 それらは徐々に、研究所の方へ近づいて行く。




 えっーー!!!???さっきのはマジですかー!!??




 お茶の後片付けをすると、能力を使い、二つの影の方へ急いで私は走り出した。






「何でこっちに来るのよ。」




「作戦が台無しだな。」




 お姉ちゃん達は、ぶつぶつと文句を言う。




「ハア、ハア……、ハア、ハア……。」




 私は急いで二人に追いついたため、呼吸が定まらない。




 やはり、二つの人影はお姉ちゃん達だった。




 二人は私が追いつくなり、文句を言い始めた。




 あんなの、誰だって冗談だと思うよー!!




 でたらめ何でもありの岩人形の大群を私一人で相手するのー?!




「無理……だ……よ。絶対……無理……。」




 私は息がまだ整わない内に、二人へ呟くように言う。




「あんたなら、一~二日は大丈夫でしょ?」




「話は聞いたぞ。一人で前大戦時に“ソウルブラッド”や“神機”無しで、




 あの動物百体以上を一瞬で倒したらしいな。」




「あの動物に比べれば、こんな岩人形達ぐらいは楽勝でしょう。」




 二人は不安がる子供を勇気付ける母親ように私に言う。




「無茶言わないでよーーー!!!!




 最初に十数体だったのが今は数百体になってんよーーー!!!




 一~二日あれば、数千~数万体になるってーーーー!!!!」




 私は叫ばずにはいられなかった。




 あの時とは、今回の状況が違うからだ。




 数千~数万体もの岩人形が群がる荒野。




 その中で飛んだり、跳ねたり、転がったりする私の死体。




 その様子を幽霊なった私は悔やんでいる。 




“せめて、岩人形達じゃなくて、ビジュアル系のお兄さん達だといいのになあ。”




 そんな状況が一瞬、頭に浮かんだ。






 ヤバイ、パニックてる。




 私はそんな考えを振り払うように頭を左右に振り、呼吸を整える。




 呼吸が整うと、頭の方も冷静になってくる。




「あんまり無茶を言うと、幾らお姉ちゃん達でも、怒るからねー!」




 顔は冷静を装うが、強い口調で二人に言う。




「チッ、使えない奴。」




 ラーフィは舌打ちし、




「今まで、散々迷惑かけたんだから、こういうときこそ役に立ちなさいよ。」




 お姉ちゃんはそう言って、溜め息をついた。




「勝手なこと言わないでよー。」




 私は手を握り、腕を上げて怒ったポーズを取ると地面が揺れ始めた。






 また、虫を這うような感覚がする。




 すると、辺りが急に暗くなった。




 辺りを見回すと、私の前後に巨大な塔が突如現れた。




 それが日を遮ったのだ。




 私は近くに行き、塔を観察すると腕のような形をしていた。




 塔の先には巨大な岩の手らしきものが、付いている。




 そして、塔は山の崖から突き出ているのだ。




 つまり、山から腕が生えていると言っても、過言ではない。






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