第12話 震える土、蠢く岩達12

 山頂は、なだらかな斜面で、無作為に大小の岩が散在する。




 そこで、私達は休憩を兼ねてお茶にすることにした。




「で、実際はどうなのー?“ソウルブラッド”や“神機”が、



 関わっている可能性があるのー?」 




 私はお姉ちゃん達に聞いて見る。




「そうねえ……。今の所はどう見ても、50%も満たないからわね。」




「岩を人型への形状変化、及び幼稚園児レベルの自律思考・自動復元。




 この程度のレベルの物なら、前大戦時に無くは無い。




 ただ、細菌やウイルスなどの感染・侵食が原因なのは珍しいが。」




 ラーフィは、相変わらずのそっけない説明口調で喋る。




「つまり、“ソウルブラッド”や“神機”が無しでも、




 この生体兵器を作り出す事は不可能じゃないのよ。」 




 要するに、“ソウルブラッド”や“神機”の関わっている可能性は少ないってことね。




「じゃ、これからどうするのー?」




「とりあえず、ゴミの山近くの研究所みたいな所に、行って見ましょう。」   




「今の所、手掛かりがありそうなのは、そこしかないからな。」




 私はゴミの山にある研究所を見てみた。




 この小さな島には、不釣合いと言っていいくらいの規模を持った研究所。




 本とかに出てくる、悪の秘密結社の研究所だと思うくらいに怪しい。




 確かにあそこなら、こういった兵器が作れるかもしれない。




「じゃあ、早く行こうよー。こんな所で、ぐずぐずしないでさー。」




「そういうわけにもいかないのよ。」




「馬鹿か。岩人形達を連れて行くつもりか?」




 あー!!そうだった。忘れてたー!!!




 私達を岩人形が、追っかけて来てるんだったー!!




「それ(岩人形)をどう撒くかが、問題だ。」




「こんなのはどうかしら?シェノールが囮になって、



 私達は研究所に行って、調査する。」




「名案だ。」




「冗談はそれくらいにしてよー、もう。近くまで来ているだからねー。」




 山頂付近の急な斜面を見てみると、無数の岩人形達が群がっていた。




 先頭の岩人形と山頂までの距離は、多分十数メートルぐらいだと思う。




 岩人形の登るペースを考えると、山頂までは十数分ぐらいで着くだろう。




 もう一度振り向くと、お姉ちゃん達の姿は見当たらない。






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