第7話 震える土、蠢く岩達7

「おい、ちょっと来い。」  




 ラーフィは何か思いついたらしく、私達はラーフィの元へ集まった。




「手伝え。」




 そう私に素っ気なく言うと、片手で槍斧を持ったまま、


 軽く肩を回すような動作で振り回し始めた。




 徐々に槍斧が速くなり、あっというまにかなりのスピードに達した。




 そのまま大きく振りかぶって、槍斧を振り下ろす。




 カチッと小さな音と供に矛先が外れ、頂上の方へ一直線に飛んで行く。




 丁度、上から落ちて来た岩人形を矛先が貫くけど、

 

 そのスピードは衰える気配はない。




 なんていう馬鹿力。確実に能力を使ったに違いない。




 今度のことで、ラーフィの能力はある程度は解る。




 ラーフィの能力は恐らく肉体強化系統だろう。




 よく見ると、矛先にはワイヤーような細い糸が繋がれていて、

 

 それが持っている柄から出ている。




 矛先が頂上付近の大きな岩に近づくと、




 ラーフィが柄を動かすことで矛先の軌道が修正され、岩に巻きついた。




 ラーフィは何度かワイヤーを引っぱり、

 

 しっかりと固定されているかを確認すると、




 お姉ちゃんと私の手を掴んで柄に添えさせた。




「縮めろ。」  




 ラーフィに言われるがまま、私は能力を使ってワイヤーを縮め、その場を離れる。




 そして、ワイヤーが縮めている間にも球が私達に目掛けて飛んでくる。




 それをラーフィが巧みなワイヤー操作で球をかわす。




 頂上付近に着くと、ラーフィはワイヤーを岩からほどくと、


 私達は地面に着地する。




「少し、休みましょう。」




 お姉ちゃんがそう言うと、私は地面に吸い込まれるように座り込んだ。






 疲れたあ。 




 私はしばらく座り込んだ後、気だるそうに頭を上げた。




 背中のカバンから取り出した鉄製の魔法瓶の蓋を空け、水を飲んだ。




 美味しい。




 ふう、生き返る。




 まるで、体の隅々まで染み渡るようだ。




 手に持った魔法瓶を見ると、自分の顔が写る。




 肩に掛かるまで金髪。辛うじて、美形と呼んでもいい顔立ち。




 鷹のような鋭い目。




 どれ一つ取っても、お姉ちゃんには勝てない。




 唯一負けないのは、髪の艶くらいかな?




 今は後ろ髪が仕事の邪魔なので縛ってある。




 考えてもしょうがないかあ。




 そのことを考えまいと、私は外の景色に目をやった。








 島全体がクロワッサンの形をしており、それぞれのエリアに分かれ ていた。




 草木一本も生えない岩石の荒野。私達が今まで通った場所。




 反対側を見ると異臭を放つガスと溶岩が溢れる谷。




 次に見えるのは無造作に積んであるゴミの山。




 最後に原始林を思わせる森。 




 今までのことを考えると、困難な旅になることに違いない。




 どんな脅威や恐怖が待ち受けているかもしれない。




 でも負けない。




 あの時、誓った約束を果たすまでは。




 

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