第6話 震える土、蠢く岩達6


 バン バン バン     




 ドカーーーン!!!! ドカーーーン!!!! ドカーーーン!!!!




 私はブルブルと縮んでいく岩に生理的嫌悪感を覚え、




 能力でバズーカ並みの威力した銃で打ち砕いた。




 ガーーン!!! ガーーン!!! ガーーン!!!




 突如、上から岩と岩が激しくぶつかる様な音と共に


 ガランガランと岩の塊が落ちて来る。




 前にも似た様な展開があった気がする。


 嫌な予感がする。




 次の瞬間に嫌な予感が的中した。




 落ちてくる岩の塊は岩人形だった。




 しかも、私達の方に落ちて来る。




 慌てて銃を構えようとするが、もう間に合わない。




 もうダメだ!!と思った瞬間、


 岩人形が横に弾かれるように大きく逸れていく。




「ボヤボヤするな。死にたいのか。」




 ラーフィは私の隣で素っ気なく言う。




 恐らくはあの瞬間、ラーフィは背中にある自分の身長くらいの


 槍斧で岩人形を弾いたんだろう。




 しかし、目にも止まらない速さで、




 この不安定な足場ではあの小さな体で


 一トンくらいの岩人形を弾き飛ばすことは無理だろう。




 能力でも使わない限りは。




「急いで、登らないといけないわね。」 




 お姉ちゃんは下を見て、苦笑する。




 私も見てみると初めて見た時の十倍、


 いや百倍の岩人形達が樹液に群がる蟻の様に登り始める。




 しかも、ベテランのロッククライマー並みの速さで、下から私達に迫り来る。




 もう、しつこいだからああああ。




 私達は急いで、崖を登ろうとした時にさっきよりも、




 岩のぶつかる音や転がる音が徐々に多くなって来た。




 さっきのことを考えると、崖の下に居る岩人形達が投げているみたい。


 一人は球になり、もう一人もしくは数人で球になった一人を崖や私達を目掛けて、



 ブン投げたんだろう。


 非常識にもほどがある。  




 しかも、どんどん音が近づいて来た。




 徐々に命中精度が上がってきてる。




 このままじゃ、ヤバイ!!




 私達に接近する球(岩人形)だけ打ち払い、先を急いだ。






 しばらくすると、頂上が見え始めた。




 頂上付近はなだらかな斜面で、無数の岩石が不規則に並んでいた。




 その周辺を所々に薄い雲が覆う。




 そんな景色を眺める暇無く、登り続けた。




 ある岩に触れようした時に、またも妙な違和感に襲われる。




 そう、虫が手から腕に這い上がるような感覚。




 私達が乗っていた岩と同じ感覚。




 よく見ると岩の形が人の形をしている。岩人形にソックリ。




 特に岩と岩の間に小石や砂利などが溜まっている部分、岩人形の手足に似てる。




 ん!?気のせいか、小石や砂利がさっきより増えてない?しかも、


 岩自体が震えてない!?




 って、岩人形っぽくない?!!




 もしかして、待ち伏せしてたの!?




 ウソォォォ!?


 なんで、私達の上に岩人形が居るのぅ!!?




 もしかして、球(岩人形)が崖にぶつかった瞬間に、


 ウイルス達が乗りうつったってこと?




 もしくは崖にしがみついたのかな。




 どっちにしても、迂闊に岩へ触れないじゃないの!!




 お姉ちゃん達もそれに気づいたらしく、その場から動けずにいた。




 こうしている間にも、徐々に下から来る岩人形は


 確実に私達との距離を縮めている。




 また、球(岩人形)の命中精度も上がり、かなりの確率で私達に命中しだている。




 その上に下手に動けないじゃ、本当に八方ふさががりじゃないの。




 そのため、動けないストレスと先の見えない不安が、


 刻々と私達の気力と体力の消耗していく。




 このままじゃ、ジリ貧じゃない。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る