第5話 震える土、蠢く岩達5
「どうやら、長くは持たないようね。」
そう言って、お姉ちゃんは紅茶を飲み終えた後にコップを地面に置く。
「お前の出番だな。」
「お前呼ばわりしないでよー。」
私はお姉ちゃん達の食べ終わった食器を片付ける。
もー失礼しちゃう。
ラーフィは顔は美形だけど、中身はくそガキだよ。
後で締めてやる。
山を目指して、私達は谷に沿って進んだ。
「グズグズするな。」
「はいはい分かりましたよ。やればいいんでしょ。」
やれやれ、もう少し愛想よければいい子なのに。
しょうがない、子供の言うことだし。
私も大人になって対応するか。
しばらくすると、山の麓に辿り着いた。
じゃ、やりますか。私達は手頃な大きな岩に乗り、私は岩に触れた。
すると乗っていた岩がみるみる細長く伸びていった。
山の三分の一くらい進むと、急にぐらぐらと揺れ始めた。
下を見ると、岩人形達が私達を振り落とそうと岩を揺らしていた。
その直後に岩に触れていた手から妙な違和感を覚えた。
そう、虫が手から腕へ這い上がって来る様な感覚。
なんか気持ち悪ーい。
私は急いで能力を解除して、岩から手を離した。
私の能力は物体やエネルギーの大きさを変えることができる。
つまり、カセットコンロの火を火炎放射器並みの火力したり、
小石を岩の大きさに変えることできる。
「お姉ちゃん達、そろそろ崖に跳び移って。」
「まだ、大丈夫でしょ?」
「いいから、早く。」
私は強引にお姉ちゃん達の手を引いて、岩から崖に跳び移らせた。
そして、崖に跳び移った後に乗っていた岩に異変が起きた。
まるで、岩が身震いしているとしか言い様のないにブルブルと震え始める。
「なんなのよ、あれ!?」
私はその光景に唖然としていた。
岩が縮むのは当然だとしても、ブルブルと震えることはありえない。
少なくとも、私の能力が原因でブルブルと震えることはない。
「あの現象は恐らく、岩人形達が岩に接触することによって、
ウイルスや細菌が侵入すると岩の構成物質に何らか変異する。
そして、ウイルス達が増殖するたびに、
変異による伸縮が起こったためにブルブル見えただろうね。」
私の疑問をラーフィは学校の先生みたいに説明してくれた。
気持ち悪い。
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