第4話 震える土、蠢く岩達4


 もう大丈夫。それにしても、お姉ちゃん達は大丈夫かな?


 もし、破片が当たってたら、何言われるかわかんない。


 私は辺りを見回すと、お姉ちゃんが戻ってくるのが見えた。


 やったー!!って後、後ろに岩人形達が……。


 お姉ちゃん達の馬鹿ー!!!


 せっかく、まいたのにー!!


 ってことは後ろも……やっぱり。


 後ろを見ると破片の落ちた辺りの土や岩が徐々に人形の形に変化している。


 ふ、増えてる。信じらんない!!!


 いくら“ソウルブラッド”でもむちゃくちゃよ。


 こんな谷の側に逃げて来るんじゃなかった!!


 私は荷物を置いてからズボンの腰から銃を取り出すと、


 無我夢中に岩人形の方へ連射する。

 

 ドン ドン ドン ドン ドン ドン


 運良く、岩人形の体の付け根をピンポイントに当り、砕け散る。


 よし、これで少しは持つだろう。


 あっ、お姉ちゃん達が戻って来た。


「お姉ちゃん達、私を見捨てて何処いってたのー。」


「見捨ててないわよ。


 たまたま上を向いたら、小さな黒い物体が見えたのよ。


 あんたの寝ている間にも 度々、こういうことがあったからね。


 もしや、と思ったのよ。

 

 一応、あんたに声掛けたけど、聞いてないでしょ。」


 そうだったっけ。


「聞かないお前が悪い。もうすぐ、大群がおしよせる。」


「しかも、落ちて来た岩人形達は囮よ。


 きっさので私達を足止めして、ある程度の数が集まり次第、


 一気にたたくつもりだったのよ。」


「まったく 、今回の生物兵器は興味深い。


 恐らく、変異したウイルスや細菌が岩や土に侵食して、動物のマネごとをする。


 生物の歴史の新たな1ページなのかもしれないな。」


 ラーフィは実験動物を見てるように、紅茶を飲みながら岩人形を眺めていた。


「そんなことより、逃げなくいいのー?


 っていうか、あそこで岩人形と戦っている人達、誰? 」


「はあぁー、あんたねぇー。頭を打って記憶喪失でもなったの?


 私の能力を忘れたの?


 昔、ここに住んでいた知らない人よ。


 多分、しばらくは持つでしょ。」


 お姉ちゃんはそう言って、デザートを食べていた。


 そーいえば、お姉ちゃんの能力は過去を操る力があったんだっけ。


 ということはこの土地の昔の住人と岩人形と戦ってんの?


 なんか、かわいそー。


「残念だが、そうはいかないらしいね。


 あの様子だとただの人間の十人百人くらいじゃ、


 あのウイルス達にはとてもかなわないね。


 本当に興味が尽きないね。」


 再び、私はお姉ちゃんが呼び出した住人達に目をやると、


 戦っているが岩人形に文字通り遊ばれていた。


 ある人は岩人形に人間ジャグリングされ、


 またある人は人間サッカーなど本当に遊ばれていた。


 しかも、ほんの数体の岩人形が数百人をものともせず。


 もう一方では、岩人形の形が整いつつある。


 本当、タチが悪い。

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