第二章 駆け出し発掘家

第14話 たぶん、顔を金槌で叩かれてましたよ...

 発掘家初日



 通いなれたギルドだが、改めて思うと一階ロビーに入ったことはない

 普段から三階の特級発掘家ロビーに直行していたためだ。

 一階ロビーは三四級専用ロビーとなっているらしい


 一階のロビーに入ると、大衆店のように丸椅子とテーブルが乱雑に並んだ場所だった。


 ちらほらと周りにを見渡してみると、男女比は6対4と男性の方が若干多い程度だ

 男女比が3対7まで偏った世界では珍しいほど男性に偏っている


 冒険者全員に言えることだが、基本的に小汚い格好の者が多いようだ。

 道具の整備もされておらず、ボロボロで汚れている。


 とはいえ、俺も虎戦で籠手がぶっ壊れたままなんだよなぁ


「タダノさんちょっとよろしいですか?」


 後ろから突然声を掛けられた。

 振り向くと受付さんが立っていた。


「ミレイナさんから、タダノさんの施設案内を頼まれまして」

「どうでしょうか?」


 流石ミレイナさん、アフターケアもばっちりだ


「ぜひお願いします」


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 ロビーから渡り廊下を歩いき、別館に案内された。


「こちらが商業施設が集まる別館となります」

「魔道具店、鍛冶屋など発掘に必要な道具が一通りそろってます」


「あ、そしたら鍛冶屋に行きたいんですけど」

「防具壊れていまして...」


「あらあら、でしたらこちらになります!」


 受付さんは手慣れた様子で案内してくれた


 店頭に付くと、受付の人がカウンターに置かれたベルを鳴らした

 すると店の奥から、晒を巻いた薄い桃色の短髪の女性(?)が出てきた。

 胸が真っ平だ。正直、中世的な男性だと言われたら納得するほどの見た目をしている。


「新人の案内かい?」


「はい、彼の防具が壊れてしまっているみたいで」


「どれ、ちょっと見せてみな」


 カウンターから身を乗り出した店主が俺の腕をつかんでぐっと寄せてきた。


「うん、これならすぐ直るよ」


 気付くとするすると防具を剝ぎ取られていた。


「あ、すいません」

「一応、刀も見ていただきたいんですけどいいですか?」


「ああ、よこしな」


 腰につけていた刀もサラッと剥ぎ取られてしまった。

 刀身を見ると難しい顔をしながら口を開いた。


「案内が終わるころには直せてると思うから後でとりに来な」


「いつもありがとうございます!」

 受付の人はニコニコとあいさつをしていた。


「装備をお願いします。」

 俺も改めて、お願いをして店を後にした。


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 ・

 ・


「こちらは魔道具店です!」

「ポーションなどの薬品や道具を買えますね」

「また、魔石の換金などもこちらで行っております」


 あー、ベルティアさんが金になるって言ってたっけ

 鹿の魔石15個が道具袋の中に入ったまんまだった。


「いらっしゃーい」

「何か買っていくかい?」


 ピンクの髪をしたすごい巨乳の人が出てきた。

 割と奇形寸前の大きさをしている。鍛冶屋の店主と対照的すぎるだろ...


 買っていくかと言われても、無一文に等しいためまずは魔石を売ろう


「これの換金をお願いします」


「はーい、これは...465金ね」

 金、この国の通貨らしい

 なんというか、前の世界から考えるとかなり率直な名前に感じた。

 ちなみに1金あたり、100円ぐらいの価値っぽい


 鹿の魔石結構旨いな

 と思ったが、虎とエンカウントしたらシャレにならんし、命が掛かってるって考えると微妙な金額だ


「買い物したいんですけど、初心者におすすめの装備とかありますか?」


「ポーションと閃光石、あと各種遺跡のマップかな?」


「それじゃあ、ポーション5本と閃光石3つでお願いします」

 閃光石、魔力を入れると数秒後に強い光を放つ石だ。

 格上のモンスターに会った時の逃走用に必須アイテムらしい


 マップは、行く場所決まってから買えばいいから後で買う


「はい、これ毎度あり~」

「あ、そういえば、今裏で姉の方が呼んでましたよ」


「あ、そうですか」

「相変わらず仕事がお早いですね」

「鍛冶屋の方に戻りましょうか、タダノさん」

 受付の人が、鍛冶屋の方に手招きしている。


 え、今姉って言ったよね?

 あの超乳の魔道具店の人の姉って鍛冶屋の人なの?

 髪の色以外遺伝子仕事してなさすぎだろ⁉


「姉の前でその顔しなくてよかったですね」

「たぶん、顔を金槌で叩かれてましたよ...」


 顔に全部出てたらしい


 ・

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 ・


 何事もなく装備を受け取った後、また一階ロビーに戻ってきた。


「あとは、依頼の紹介ですね」

「あちらに掲示板があります。」

「あの掲示板に張り出された依頼を受注・達成することで報酬がもらえますね」

「発掘家の方は、基本的には魔石の換金が収入源なのですが、依頼を達成することでも収入は得られますよ」


「依頼、どんなものがあるんですか?」


「そうですね、三四級だと遺跡以外の場所に出たモンスターの討伐が基本ですね」

 割と荒事なら何でもする感じかな?

 本来は、遺跡外のモンスターは開拓者ギルドや騎士団が討伐するらしい

 しかし、中央はそもそも前線がないため、開拓者がおらず、騎士も治安維持が主な仕事らしい。

 なので、中央だけは発掘家がモンスターの処理などを行うそうだ。


「説明する事項はこれぐらいですかね」

「何か質問ありますか?」


「いえ、大丈夫そうです。」

「案内ありがとうございました」


「では、よき発掘をご期待しております」


 受付の人はぺこりと頭を下げると受付へ戻っていた。










 さて、とりあえず依頼とか見てみるか...

 と意気込んだ時には、3人の男性発掘家に囲まれていた。


「兄ちゃん、ちょっといいかい?」

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