小話 彼って実際どうなの?


ミレイナ:

「ベティ、サデス」

「彼の面倒見てくれてありがとうね」


サデス:

「気にするな、元パーティーメンバーの仲ではないか!」

「それに彼は教えがいのある良い素質を持った男だ」


ベルティア:

「たしかに、飲み込みは早かったな」


ミレイナ:

「君たちから見て、彼は発掘家としてやっていけそうかい?」


ベルティア:

「二級までなら問題ないだろうな」

「一級も夢では無いと思う」

「ただ、一級上位や特級になれるかと言われると厳しいな」


サデス:

「私も概ね同意見だな」

「学習能力は類を見ないほどだが、才能で言うなら平凡」

「天賦の才があるならば、教えている時点である程度自身の動きを最適化する」

「が、彼にはその兆候はなかった。」

「ただ、何もしていないと言わけではなかったとは思うがね」


ベルティア:

「そうだな、あの動きは足りない穴を別の知識で穴埋めしているという感じだな」

「良くも悪くも頭で考え過ぎている」

「天才ならば体が自ずと動く部分だからな」


サデス:

「あくまでも、我々のような武人ないし戦士としての視点の話だ」

「知性で特級に至る人間も世の中にいる」

「からならずしも、一二級で止まるとは断言はしないとも」


ミレイナ:

「なるほどねぇ」

「私としてはかなり期待してたから、ちょっと残念な評価だね」

「彼は私に少し似ていたからね」


ベルティア:

「良い面でも悪い面でもな」

「だからこそ、魔法ではなく近接戦闘の一辺倒だけ教えたのだろう?」


ミレイナ:

「まぁね」

「魔法なんて最初に教えたら、彼は確実に魔法をすべてを解決できるようしちゃう」

「私も彼も、"自分の持ってる手札でうまく戦う"のが上手いタイプだからね」

「近接戦闘は魔法に比べれば不便」

「でも主軸に組めば魔法よりも汎用性が高い」

「彼にはそっちの方が良いと思うからね」


ベルティア:

「それにしても焦りすぎたな」

「もう少し基礎を育ててから私達の所でもよかっただろう」


ミレイナ:

「それに関してはぐうの音もでないね...」


サデス:

「騎士団に目をつけられてしまったのだから仕方もあるまい」

「まぁ、愚痴には付き合うぞ」

「今日は飲もうではないか!」


ベルティア:

「サデスの奢りだ、さぁ飲むぞミレイナ」


ミレイナ:

「そうだね、高い酒をめいいっぱい飲み明かそう」


サデス:

「ま、待ちたまえ!?」

「君らはザルの酒豪じゃないか!」



サデスは結局その日の酒代をすべて奢った。

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