第9話 座学② 魔法と祝福 後編
「次に祝福について説明しよう」
「神からもらえると使えるようになる魔法と言えばいいかな」
「魔法と同様に、祝福を使うには魔力は消費する」
魔力を消費して手からちくわ出したり、はんぺん出したりできるやつだな
「ただし、魔法と明確に違う点がある」
「それはイメージを伴わなくてもよいということだ」
それだけで十分チートだ。
やってみるとわかるのだが、魔法を発生させるためのイメージを作り出すのは相当な苦労をする。
それをノータイムで出せるというだけで十分強いのだ
実際、"ちくわ"と"はんぺん"は、何も意識せずとも出したいと思って魔力を手に集中するだけでポンと出せる
「魔法よりも簡単に扱えるし、魔力の消費も低燃費な場合が多い」
「まぁ、普通に考えて魔法の上位互換だね」
「ミレイナさん、質問が一つ」
「やっぱり祝福や奇跡は異邦人しか持ってないものなのでしょうか?」
転移・転生者は基本的に、神によってこの世界につれてこられる。
そう考えると、転移・転生者は祝福を持っている場合の方が多そうだよな
あのバ神も神の間で流行ってるとか言ってたし
でも、現地人はどうなるんだろうか?
ミレイナさんの両親は敬虔だと言ってた。つまりそこには信仰が存在するはずだ。
そんな現地人達を神々が無下にするとは考えにくいが...
「それに関しては、異邦人以外も結構祝福を持っている人はいるよ」
「というのも、神々は私たちを常に見ておられるからね」
「気に入った人間には祝福を送ってくれるのだよ」
「かくいう私も、君と同じ神に魅入られたようでね」
「ほら、これ」
そういうと、ミレイナさんは左手からはんぺんを出して見せた。
二柱はミレイナさんにも祝福を授けたようだ
「こんな感じで、神は常に私たちを見てくれているのだよ」
はんぺんを頬張りながらミレイナさんは説明していた...
「希少な例だが、場合によっては複数の神から祝福を受ける者いたりするね」
ミレイナさん、貴方はもう希少な例です。
はんぺんとちくわの二柱から祝福されてます。
それに俺はダ女神が加わって3人の神から祝福もらってます...
「あと、祝福は"強さ"によって強化されたり、変化したり、増えたりするんだ」
「君もオオウサギを倒して"強さ"が上がっているはずだよ?」
ああ、魂の大きさが変わるって話してたやつか
多分、この世界では、『魂の大きさが変わるから強くなる』という情報が認知されてないのだろう。
そもそも神託が貴重な点で、神視点の情報である魂の大きさなんてものを知ることが出来ないはずだ...
そういった情報面で見れば、俺の祝福はいいものなんだろうな...
しかし、現状だとメリットに対してデメリットの方が大きいんだよなぁ
「ちなみに、祝福が増えた場合は、その瞬間に使い方を理解できるんだ」
「頭の中にパッと知識が手に入る感覚だね」
これは俺も感じていた。
朝起きた時点で、練り物の祝福の使い方をなぜか知っていた。
どうすれば出せるか、どれだけ魔力を消費するのか、そういった知識が頭の中にすでにあったかのように存在していたのだ。
「"強さ"によって魔力量が上がったりするが、魔法は成長しない。」
「魔法を成長させるには、地道な鍛錬しかないからね」
「それに対して祝福は成長する」
「ここが大きな差だね」
「また、祝福にも強さがある」
「前回の座学で、神には原初の神や文明神などが階位みたいなものがあると説明したね」
「神の階位によって祝福の強さは変わってくる」
「原初の神々の祝福は、それ単体で戦略と言われるほどには強い」
「文明神も上位の神ならそれに並ぶほどの祝福があるだろうね」
祝福は祝福した神の力に応じて強くなると
「ただし、祝福は使いすぎてはいけない」
「祝福はね、使いすぎると神に近づいてしまうのさ」
「悪意のない神なら全くの問題はないのだが、場合によっては....」
「祝福が暴走してしまうんだよ」
「自我が崩壊し、無作為に暴れるんだ」
確かバ神曰く、主神になれるほどの力がこの世界に蓄積しているらしい
神に近づく...
神が転移・転生者に祝福を授けて成長させ、最終的には祝福を通して転生者達を依り代にして顕現しようとでもしてるのか?
「その状態に陥った時点で、この世界では討伐対象のモンスターとなるよ」
「救う手立てがないからね...」
「まぁ、練り物の祝福ならいくら出しても問題ないと思うけどね」
あのバカな神が悪神か邪神か知らんが、多分悪意は無さそう...?
そもそも、現状だとアイツの祝福って俺起因の発動じゃなくて、アイツ起因の発動だからかなりイレギュラーな部類なんだろうなぁ
それにあの神が策略を巡らせるほど知性ある神じゃないから大丈夫だろ
「ちなみに、この世界で強い人ってみんな祝福持ちだったりするんですか?」
「うーん、持ってなくても強い人はいるけどねぇ」
「でもやっぱり強い祝福持ちは強いよ」
「私の知る中だと、世界でも五指の実力者とされてる剣士がいたりするね」
「持ってる祝福は『剣の祝福』だよ」
まぁ、なんともテンプレ的に強そうな祝福と肩書だこと
「剣で何でも切れたり、剣を無限に召喚したり、剣からビーム出したりしてるね」
何でもありかよ
「祝福に関してはこれぐらいかなぁ」
「何か質問あるかい?」
「いえ、大丈夫っす」
現状使える祝福もないし、聞いてもあんまり意味ないんだよなー
使えないもんを勉強する気にもならんし
・
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「それにしても、座学は飽きるねぇ」
ミレイナさんは呆れた顔でつぶやいていた
「まだ座学2回目ですけど」
この人、前に"教導ギルド"とか言ってなかったけ?
その割に、体育系方面によりすぎでしょ
「君は色々段階すっ飛ばしてるからね、知識もなんやかんや勝手に補完してるっぽいし」
「あんまり教える必要ないでしょ」
「それに詰め込めるならもっと別方面詰め込みたいね」
「それはありがたいんですが...」
「俺はこの世界の国とか職業まだ何もしらないんですけど...」
「今は割と学生気分で呑気に遊んでますけど、急に社会に出されても困りますよ?」
ミレイナさんは少し考える素振りをした後にハッとしたように明るい顔になった。
「そうか、じゃあ職場体験でもしてみよう!」
「"発掘家ギルド"へ行ってみようか」
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