第7話 座学① 神々と歴史

「なんか君、ヘトヘトじゃない?」


 ミレイナさんが困り顔で問い掛けてくる


「座学が増える分、朝動いておこうと思いまして」


 苦笑いしながら嘘を吐いた

 本当はバ神に対しての苛立ち発散のためひたすら運動していた。


「良きことかな、でも他の事に支障がない程度にね」

「じゃあ、座学を始めようか」

「一回目は神々と歴史についてだよ」 


 神々と歴史...

 ラグナロったあれか!


「まずね、神について」

「この世界には複数の神がいます」


 "います"

 断言をしている


「ミレイナさん、神がいると断言してますが、根拠は何なのですか?」

「俺みたいな異邦人ならともかく、この世界の元々の住人確信してる理由が気になります」


 理由は想像つくが、確認はしておくべきだろう


「ふむ、それは君たち異邦人の存在と祝福の存在が根拠の一つ」

「二つ目に文献の存在、これは発掘家が遺跡から持ち帰ったものだね」

「三つ目に神託者の存在、異邦人関係なく、ごく稀に神の啓示を受ける人間がいるのさ」


「なるほど、ありがとうございます」


 真っ当だ、しかし神託を受けれるのはごく稀なのか

 あの悪夢はレア度高いとかやめてくれよ...


「では、次に行こうか」

「神には階位が存在する」


 まぁ、主神がいる時点で多少の上下関係はあるのは予測してた


「まず、主神様だ」

「この世界を作ったとされる神で、原初の神達の創造主ともされてる」


 話を聞いている限りだと一番まともな神様ってイメージだな


「次に三大神」

「主神様が最初に作ったとされる3神だ」

「それぞれ、破壊、創造、維持を司るとされてるね」


「次に主神と三大神達で10個の現象を作った」

「火・水・雷・大地・時間・空間・生命・死・感情・知恵」

「それらの現象から生まれた神を十神と呼ぶ、ここまでが原初の神々だ。」


 主神、及び主神から派生した、神によって作られた神が原初の神々なのか


「原初の神々は、多くの生命や文明を作った」

「その中には人間も含まれるよ」

「そして、人間は人間達で新たな神を作ったのさ」

「それらは文明神と呼ばれてる」

「科学、魔法、人、善、悪など、数え切れぬほどの神がいるのさ」


 人の文明から生まれたから文明神か

 善悪も人間が居なければ発生しない概念だもんな


「私もよく知らないけど、文明神の中にも階級があるらしいよ?」

「なんでも、万人が持つ倫理や感情などから生まれた概念神や、道具や物に信仰が宿り神化した末端神などがあるらしい」

「私は神学の専攻ではないから詳しくはわからないよ」


 八百万の神的な神もいっぱいいるんだな

 原初の神々と文明神の生まれの差はわかった

 ところで、あの頭を空っぽそうな神はどれだろうか?

 まぁ、あんなヤツ末端の末端だろ

 どうせ"ちくわ"とか"はんぺん"の神様だろあんなん


「それでは次に、この世界の歴史についてお勉強だ」

「この世界は元々の神と人間の距離が近っかたらいし、太古には同じように生活していたそうだ」

「しかし、ある時に文明神が戦争を起こした。」

「文明神は原初の神々とは違い、人間によって生み出された、だから文明神の力は人間達の信仰に依存するそうなんだ」

「つまるところ、文明神による信仰の奪い合いが始まったのさ」


 宗教戦争か…


「その戦争に呆れたのか、原初の神々は自分たちで新たに世界を作りそちらへ移動したそうだよ」

「それが今の神々の世界だね、神界とでも言おうか」

「原初の神々がいなくなったあとも文明神たちは争い続けたそうだ」

「その結果、しびれを切らした一部の原初の神が文明ごと洗い流してリセットしたりしたそうだよ」

「しかも、何度かあったらしいね」


 あのバ神も言ってたなぁ


「そのリセットされた文明の遺産が地中に埋まり今の遺跡となっているのさ」

「また、人類生存圏の外にも大規模な旧文明の遺産があるとされているね」

「最終的には文明神達も神界へ行ったんだ」

「ただ、神々は今でもこの世界を熱心に見守ってくれてる」


「そんなところかな」

「質問あるかい?」


「特にないっす」

 この世界に神パワー?が宿ってるって話以外は概ねあのバ神が言ってたことと一致してるからな


 これ以上は、ミレイナさんに聞いても詳しいことは解らないだろう

 専攻ではないと言っていたからな




 ・

 ・

 ・


 なんやかんや一日が終わり、眠りについたのだが…









「やっほー!元気にしてるかー?」


 悪夢、二日目


 え、毎日くんの?

 切実に辞めてほしいんだか? 


「流石に毎日やる気はないわよ」


 この悪夢はお前の気分次第なのかよ


「今日は私達の話をしてたみたいだからついでにねー」


 なに、授業外のなんかおしえてくれんの?


「え?嫌よ、面倒くさいし」

「あっ、そうそう今日はゲストに来てもらってるのよ」


 何だコイツ

 てか、ゲスト?


「なんと、"ちくわの神"と"はんぺんの神"に来てもらいました」


 気付くと目の前に人間サイズの竹輪と三角はんぺんが鎮座していた。


「「どうも」」


 あっどうも、タダノです

 いや、どうしろと言うんだよ。この状況…


 後ろのバカもこの状況にニヤニヤしてやがる


「アンタが私を勘違いしてたから連れてきてあげたのよ」


 あぁ、昼間のあれか

 そんな事でちくわとはんぺんの神様をつれてくるんじゃあないよ

 迷惑でしょうが!


「私達は暇だから迷惑はしてないよ」

「それにシュヴィ様の選んだ人間を見てみたかったからね」


 浅はかな思いつきで二柱には非常に迷惑をかけてしまい、申し訳ないです…


 というか、"シュヴィ様"って…

 こんなのが上司にあたるとは、お労しや…


「君もヅケヅケというね…」

 二柱は苦笑いをしておられた。


「これで私の偉大さがわかったかしら?」

「神だって簡単に呼び出せるのよ?」


 うるさいぞ、神の皮を被ったチンパンジーめ

 二柱の謙虚さを少しは見習え

 これだから末端の神はよー


「誰が末端じゃい!!」

「ホントに口悪いわね、アンタ」


 お前のせいだけどな


「はは、仲がよろしいのですね」

 はは、よろしくないですよちくわ様、はんぺん様


「そうだ、これもなにかの縁だろう」

「私達の祝福をあげよう」


 ほほう、どんな祝福ですか!?


「右手からちくわを出せる」

「左手からはんぺんを出せるようになるよ」


 ・

 ・

 ・


 はっ!


 夢か…

 気付くと朝になっていた。


 あんなしょうもない祝福もらっても仕方ないしなぁ








 何故か両手にはちくわとはんぺんがあった

 二柱から祝われたのだ

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