第6話『ステータスオープン!』

 最悪だ、もう出来れば金輪際出会いたくない生物第一位に出会ってしまった。


「ひどいいい方ね、折角転生させて上げたのにー」


 不貞腐れた顔しながら目の前の女は愚痴っていた。

 前回は輪郭しか掴むことが出来なかった姿も今ははっきり視認することが出来るようになった。

 特徴的な緑の長い髪をした姿で、服装は絵画に描かれた女神のような....


「そうそう私はとても偉い女神なのよ」









 痴女?


「なんでそうなるのよ!!!!」


 だってほぼ全裸じゃん

 言い訳しようがないほど痴女スタイル決まってんだろお前


「女神と言えばこういう姿がスタンダードなのよ!ありのままの美しい姿してるのよ普通は!!!」


 マジかよ、女神全員痴女なのかよ

 もう終わりだよ、この世界


「勝手にハルマゲドン宣言しないでもらっていいですかー」

「わかったわよ、これでいい?人間にはちょっと刺激が強すぎたわね...」


 手をパンと叩くと痴女スタイルから淡い黄緑色のワンピース姿になった


 ていうかさー、なんで俺の前にお前がいるわけ?


「それはねー、私のあげた祝福が解放されたのよ!」

「なんと、寝てるときに神託を受けることが出来ます!!!」

「どう?うれしいでしょ?」

「私ほどの神から神託受けれるなんて幸運よ!」


 完全に呪いだわコレ

 祝福じゃなくて寝てるときに悪夢見せられる呪詛だよ

 なんで今更こんな呪いが解禁されたんですかね


「貴方のレベル的なアレが上がったのよ」


 あの世界ってレベルあんの?


「厳密に言うとレベルじゃないわね」

「魂の大きさが変わってるのよ」


 魂の大きさ?


「そそ、貴方オオウサギを何匹か倒したでしょ?」


 大体10匹ぐらい倒したな


「それでオオウサギの魂があなたの魂の糧となってあなたの魂が成長した」

「って感じの表現がしっくりくるかしらね?」


 あの世界だと生き物の殺生で魂が成長したりするのか?


「そうね、ただそれ以外でも成長するわよ」

「あの世界には神が残した聖遺物なんかも残ってるから、それを壊したりとか」

「魔力を多めに纏った無機物なんかを倒しても成長出来るわね」

「あと、稀だけど感情の隆起でも上がったりするわね」


 本格的にレベルみたいな感じだな


「魂の器がもっと大きくなれば、さらにいろいろな祝福の恩恵が受けられるわよ!」

「効果は使えるようになってからのお楽しみ!」


 願わくばそれが呪いでないことを祈る


 あ、そういえば、お前俺の体になんかしたか?

 髪の色とか変わってんだけど...


「さっきからお前お前って、私の名前は女神シュヴィ様よ 、覚えておきなさい」


 名前あったんだな...

 聞いたことない名前だし、俺がいた世界とは違う神なんだろうな


「で、体だっけ?したわよー」


 マジでコイツなんかやらかしてたのかよ


「とはいっても、体の再構築ね」

「貴方は完全に体が滅びてたから、作り直さざるおえなかったのよ」


 おいおい、それ大丈夫なのかよ

 なんか前の体と変わってたりしないのか?


「強いて言いうなら、世界に対して最適化された体になってるわね」

「本来、転生・転移した人間は1ヵ月ぐらいかけて体を世界に慣らすのよ」

「貴方はその必要がないのよね」

「だから、魔力のコツが掴みやすかったり、体も昔同様に動かせたのよ」


 なるほど、成長が早く感じてたのはそういうことだったのか


「本当にそれだけよ、ほかは依然と変わりないわね」

「そうじゃないと貴方を転生させた意味ないしー」


 まぁ、それは感謝するよ

 もらい物の力や体で何かやっても楽しくないからな


「でしょー!私は気遣える神なのよ」


 すぐ調子乗るなコイツ



 あ、そういえば今は体あるんだな俺

 前と違って魂だけでなく体もこの空間に来ていた

 ということは、殴れるな!


「アンタまだあきらめてなかったのね...」

「まぁ、前回の契約も無理矢理だったし、殴りたいなら殴れば?」

「でも、痛くしないでね☆」


 そういって女神は頭を出してきた。

 多分何かしらで殴れないのであろうが、一応殴っておこう


 俺は手を振りかぶり、渾身の勢いでこぶしを神の頭に振りかざした







 痛あああああああああああああああああああああああ

 なんだこのクソ石頭!


 硬いなんてレベルじゃない

 完全に鉄の塊みたいな硬さをしてる

 てか、夢なのになんでこんな痛覚感じるんだよぉぉぉぉ


「折角だから、触覚と痛覚を完全再現したわ!」


 ドヤ顔がまたムカつくなぁ!


「さっき言った魂の大きさが私と貴方だと違いすぎるのよ」

「確認すればどれだけ違うかわかるわよ?」


 確認?どうやってするんだよ?


「空に手をかざし、こう唱えなさい」

「ステータスオープン!」


 マジか、あるのか?

 まぁ、レベルみたいなシステムあるから視覚化できる仕組みがあってもおかしくはないのか?


 とりあえず試してみるか

『ステータスオープン!』


 俺は空に手をかざし、呪文を唱えた















「で、出るわけないじゃないwwwwwwwwww」

「馬鹿じゃないのwwwwwwwww」


 よこでクソ女神が腹を抱えて笑っていた


「そんな騙される奴いるぅ?wwwwwww」

「笑いすぎておなか痛いわぁwwwwww」


 ・

 ・

 ・


 俺は目が覚めたら朝になっていた。

 このやりきれない思いをどうしたらいいのだろうか...


 とりあえず、滅茶苦茶素振りした

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