第13章 欠片《ピース》

 「遅かったな随分と!」闇創造ダーククリエイターが壊されていく街並みを見ながら言い放った。そこに現れるは楠木と沙羅、珠里に狼牙。そして、アーツだ。彼らは言った、守ると世界を救うでもなく誰かを助けるでもない。今の状態を完全に維持するために守ると。闇創造の手の中から黒いモヤのかかるレイピアが作られた。音速の域を超えたスピードで楠木の肩を狙った突きを繰り出す。しかし、音速のスピードでさえも超えられなかったものがあった。それは、楠木の大きな一歩と目の前に突き出した拳だった。急な行動だったため反応するのが難しかったのだが、それ以前に楠木の拳が当たった瞬間、一瞬だけ能力の使用が不可能なったのだ。当然、それは楠木の行った工作なのだが、その時には手元のレイピアは、欠片すら残さず消えていた。一旦、距離を取ろうとする闇創造だったが今度は、アーツが両足の太ももを確実に射抜いていく。たまらず、闇創造は、戻ったばかりの能力を使って手中から盾を出した。弾丸を完全に防ぐ。珠里の術式である攻撃、防御を数値に表せると定義付けした状態で減防げんぼう音牙鬼道術を発動させる。その後、相手の力をそれとは違う種の力でねじ伏せる。狼流武術、拳狼粉砕の崩防ほうぼうが狼牙によって放たれる。闇創造の盾は粉砕される。沙羅は、電糸を張り巡らさせた状態で闇創造のバックステップをとる。その後、沙羅が思いっきり糸を引っ張ると高圧電流線が闇創造目掛けて包囲をしようとする。しかし、闇創造の周りが爆発的に地面が上がり、結局闇創造に攻撃が当たることはなかった。闇創造が虚空を蹴った瞬間、黒いモヤが広がりその場にいた全員が吹き飛ぶ。黒いモヤから爆弾が落ちたのだが、一瞬すぎて誰にも分からなかった。かろうじてが全員無事だった。しかし、5対1で有利な戦況を丸ごとひっくり返されたのだ。楠木は、何か引っかかるものを感じていた。「アツ、情報処理を緊急で申請する!」と一つ一つ限られた時間内で紐解いていくことにした。

「了解、承認したよ流星!」と答えるなり目を閉じるアーツ。「質問1、闇創造の黒いモヤは、初めは何と俺は捉えていた?」「回答1、終焉の惑星ブラックホール!」

「質問2、黒いモヤから実際に取り出したのは?」「回答2、槍やレイピアのような武器や人型の黒いモヤです···」

「質問3、以上のことから俺は闇創造の能力名を何と仮定した?」「回答3、異次元転移ボックスだよ。」

「さて、闇創造これからお前の能力の種明かしを初めるよ、まず第1にお前の根源が白と黒だと言う事を念頭に置き直す。」それは、1度目に楠木が闇創造を殴った時に一瞬で解析したデーターだった。「この時、異次元転移ボックスや終焉の惑星ブラックホールといった能力である可能性も高い。しかし、それなら黒いモヤから黒いモヤが出てきた理由が分からない。そこが今回の核となってくる。」楠木は、1人だけ立ち上がる。沙羅などには、絶望の色が見えていた。しかし、楠木のその考えは違っていた。まるで、何か秘策があるような顔をしていたが実の所は何も分からない。だから、喋ることを辞めなかった。「そこで、思い出した地球消滅事件の時のことをだ!お前は、周りに黒いモヤが一部でも触れていないとお前の能力は発動しないんじゃねーの?」と説明している時に、携帯電話がなった。軍部からだった。「空間的な次元の歪みが観測できた」とそこで楠木は、元々考えていた2つの答えが1つに確定していた。「最終ヒントが届いたぜ!お前の能力はブラックホールだろうが宇宙の理に干渉できるような簡単なもんじゃない。実際は、空間と空間の間の長さを操作をするだけの能力だろ!あとは、そのラグを修正する時にお前自身が別の空間の移動を設定するだけで消滅させたり、出現させたりする。つまり、どこかに移動点ワープ点がある。お前の簡単な手品小細工の出来上がりという訳だ!能力の時間制限があると言ったところかな!例えば、1つずつしか能力が使えないやその能力を使ったら最後、10分間はそのままとかかな?」例えば、A地点のものをB地点に移動する時に物体から見れば数億という膨大な数の空間を移動する。その時には、微量のラグが生じるがそのラグは、コンマ1秒もかからずに修正されている。その為、人間には物体が途切れずに移動しているように見えるのだ。しかし、闇創造はそのラグを大きくすれば無の空間が空間の狭間で生じる。ラグを小さくすれば光の速さまでスピードを上げることが出来る。そんなことをすればゴムの弾性のように元に戻ろうとする。そこ一点に全てのベクトルが集約される。まるで、飛行機に一つ穴が空けられると気圧を揃える為に、空気が一気に外へ出るのと同じように空気が集まる。当然、そんなことをすれば飛行機のように空中分解してしまう。しかし、楠木は小さく笑っていた。

「つまりは、俺の勝利に傾き。お前の勝利は揺らいだことになるが問題ないね!」と傲慢にも程のある事を言うとおよそ10メートルの距離をたった1歩で闇創造の近くまで接近して、殴り飛ばした。廃工場を通り越して道路まで吹き飛んだ。その距離は4000mぐらいだろう。闇創造は、黒いモヤから鞭を取り出し振り下ろす。

「お前の戯言は戯言で止まってるのに過ぎないんだよ!」と言うなり、黒いカード地面に叩きつけて闇術式を発動する。

「その名は、反逆者ペテン師訳は闇精霊マドク。空間Aと空間Bを範囲として、生命体のみを空間と一緒に逆の位置に定義せよ!空間移動術式ABフィールド!」唱えると楠木と闇創造のいた位置が逆になり両手を振り向く力を蹴りの力に変え、勢いよく闇創造を蹴り飛ばす。その様子を見ながら闇創造の近くまで歩いてくる。

闇創造が手を上に挙げると瓦礫の山が楠木目掛けて落ちてくる。しかし、気にせずに手のひらを真上にして瓦礫を触る。その瞬間、瓦礫の山が次々と空気に溶けるように消えていく。要は、現れた瓦礫も異能力の力であり、楠木の行動を制限するようなものではないということだ。「よーく、見ろよ。これが、本当の消滅だ。まぁ、すぐにはぶっ潰すことは、しねぇから安心しな!その代わり、記憶を覗かせて貰うがな!」と言うと楠木は、闇創造の頭を一瞬触り、回避と防御の体制に入った。「···はい、トーラスよろしくー!」

「さっきから、大気が揺れて精霊たちが怖がってるのだが何か知らないか?」

「ああ、よろしく。」と無視しながら言うと距離を一定以上取る。その間も槍や剣を飛ばしてきていた。どうやら間合いに入られないようにずっと動き続けている。楠木の頭の中ではガシャガシャと機械が動くような音がしているが、それは精霊が契約の遂行を行っていることを意味していた。20分、闇創造の攻撃を避け続けた所で、「出たぞ!流星!」と頭の中で言葉がひとりでに言われた。トーラスだ。

「なら、死なない程度に蹴散らしといて!闇創造の記憶見てくるから!」

「うん、は?」

「それじゃあ!」

「このバカが〜!」とトーラスは叫んでいたが楠木は、気にはしていなかった。この間に楠木とトーラスが行ったことは、単純なことだった。楠木とトーラスの魂の入れ替えだ。トーラスの立場に変わった楠木は、闇創造の記憶を断片的に見る。

  行間1

 ここは、太陽系の中でも四季豊かな多種多様な人間族が住む。奇跡の惑星。地球。この地球には、いくつもの国ができた。その中でも国土と経済力が反比例している国、日本にある男が生まれた。俺だった今は、闇創造だったな。俺は元々、黒鉄翔太くろかべしょうたと言う名前があった。この時代、地球では人間族には、異能力が宿らないという迷信が信じられていた時代に生まれてしまったために親からは、見捨てられ世間から化け物扱いさられたのだ。当時、4歳の頃だ。ある者は、そこに居ただけで俺を抵抗のないと判断すると暴力で襲い。また、ある者は俺の事を異物と呼びゴミ同然の用に扱った。俺は、10歳になると異能力を隠しながら生活出来るようになっていた。それなのに、この国の政府ゴミ野郎達は異能力者の居場所を失わせる。異人排除法という、事実上の全ての能力者の断絶を行なったのだ。その頃を俺はよく覚えている。異能力者の集団で生活をしていた。安息の地にいた時をその法律ができてからは、しばらくは隠れることができていた。しかし、1週間も経つとその魔の手は俺の仲間に襲いかかった。男だろうが女だろうが子供だろうが捕まえられて、その先には死しかなかった。法律施行から1ヶ月で俺も捕まった。そこで、何かが切れた。決して到達してはいけないボーダーラインを超えてしまったのだ。牢屋を出て、向かったのは対宇宙次元研究と言う人体改造を行う研究だった。しばらくは、そこでモルモットとして協力した。そのおかげで、無酸素・真空状態などのあらゆる状態でも生きることができるようになった。そこからは早かった。精神だけでなく、能力のリミッターが外れてしまった。自分以外を空間の狭間に、何もかも押しつぶさせた。そこからは、俺は色々な惑星を旅した。しかしとある惑星で、ある少女と出会った。とある組織に追いかけているエルフの少女だった。彼女を守るために俺は立ち上がった。しかし、彼女は裏切った。置き手紙を置いてどこかで屍になってしまったと考えると、俺はこの惑星の存在価値が無くなったような気がして、地球と同じように気が付いたら消滅させていた。この時、黒鉄翔太という名前から闇創造という徹底的に悪に染まってしまった。楠木は、闇創造の記憶を見てから思った。

「エルフの少女の死んだ姿を実際に見ていない!ということは、生きているかもしれない!」というとトーラスと変わる。その瞬間、闇創造の顔が近くにあった。そこで、体を下に動かして、顎に向けて思いっきり叫びながらアッパーを食らわせる。

「何、勝手に諦めてんだよー!黒鉄翔太!」倒れながら、驚きの顔を浮かべている。闇創造否、黒鉄翔太に近くで叫ぶ。「お前やその仲間たちもアルタも全てお前が諦めなければ助けることができたんじゃねーの?」

「なぜ、お前がその名前を知ってる!」と怒りをぶつけて殴りかかろうとしたがすごい勢いで楠木は横腹を蹴り飛ばす。アルタとは、闇創造の救いたかったエルフの少女の名である。2回跳ねて動きを止める。それでも、黒鉄翔太は立ち上がる。

「ごめんな、記憶を覗かせて貰った。しかし、生き地獄ってのは違うな。結局、お前が何もかも諦めて、惑星消滅現実逃避してるだけだろうがもう諦めろ。過去で絶望したお前自身しか見てないお前は、もうここで打ち止めだ!」と言いながら楠木は、得意な術式の準備する。自分の根源7つの反発だけで近ずいてくる生身の人間を簡単に気絶させることの出来る術式。白霊術式だ。「白霊成就の型、現実戻し《ターンリアル》!」白い玉が黒鉄翔太に飛ぶ。黒鉄翔太は、空間のラグの所要修正時間を0にして光速で楠木の懐に入る。すると、「アルタはこのから少し離れた惑星シリアスにいるぜ!ここでお前の戯言をぶち破ってやるから会いに行ってこいよ!白霊成就の型、気結断絶きけつだんぜつ!」と言うと手の中から白い玉が出現して殴りかかろうとしていた黒鉄翔太の拳に触れた瞬間、強い爆発を生み出して気絶した。

「良かったわ、欠片使わずに済んで!」

「あぁ、この欠片結局なんなの?」

「ただの、物理法則を超えて所有者の生命を保証させる霊装だよ」

「これ使わずに済んで良かった良かった。ってアツ何、デルタワースト取り出して!」

「準備してください!」「何を!」「3.2.1!はい、全力ダッシュ開始!」「嘘、嘘嘘嘘ー!たった今、死力を尽くした壮絶なバトルが終わったところなんですけど!」

「アブナイことしないでよって何回目!」と言うと全力ダッシュで楠木を追いかけながらゴム弾を装填してから楠木の頭にヘッドショットを行った。楠木は、気絶したアーツの気ずかいは、少々手荒らしいと教訓を得た楠木だった。結局、今回も楠木は病院送りになったのだった。

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