第11章 闇創造《ダーククリエイター》

 期限当日に差し掛かった、真っ暗な暗闇の中、楠木とアーツは夜の公園にいた。すると、雪花が来た。政府に後方支援バックアップを取ってもらうことと、微力ながらも戦力になると覚悟を決めていた。公園の東口と西口から、ぞろぞろと集団が歩いてきた。楠木が2日前に頼みに行った事は、「仲間となって一緒に戦って欲しい!」と言うことだったのだ。それを楠木は思い当たる所をお願いして回った。しかし、実際に加勢してくれるのは、2グループだったのだ。狼牙とその父である狼武の狼流武術がろうぶじゅつ拳狼粉砕けんろうふんさいの狼流道場のグループと鬼術の中の音牙鬼道おんがきどう鈴鬼すずき。この2グループはその道では優秀すぎて、疎まれることが多い家柄なのだ。この2つのグループの中を見るとクラスメイトの珠里と狼牙がいた。そして、もう1つグループが来た。政府主導の防衛部隊であり、暗部から引っ張り上げられた、軍部であった。今、トップに君臨するのは、あの事件の時に楠木に1番初めに潰された中の1人である。志麻だった。

「政府の命令だし、暗部の頃の俺たちは狂っていた」と言い捨てて身辺警護の陣形をとる。アーツの得意分野となった(少し教えたら楠木よりできるようになった)情報戦データアップが行われた。作業の開始と同時にアーツの顔から喜怒哀楽が消えた。今夜、第7万回目の闇創造の駆逐掃討作戦が始まります。作戦開始予定は、1時間後におよそ3キロ先の廃工場です。

「よし、じゃあ始めにみんなにこれを持っていて貰おうかな」と言って楠木は灰色の原石を取り出した。これは、石自体が何らかの能力を持つ石になっていた。近くにあった木の棒を取り、原石を空中に置くように投げる。その後、思いっきり原石に木の棒をぶつけた。原石は、砕けてみんなの手元の中に誘導されるように飛んでいった。楠木は残った2つの原石の欠片を掴むと、1つをアーツに渡した。原石の欠片が全員、受け取った。

「それはいいや。今は、無くされたらたまったもんじゃないからなくすなよ」と楠木は言い、「では、作戦開始で死なない限りは道があるからな!」と単に死なずに帰ろうと言っていた。それから、5分くらいして、未来が来た。未来が言うには、「あの事件の前後で何も変わった所は特になかった。しかし、突然黒いモヤが地球を飲み込んだらしい。」と言った。それから、一通りの調べ物が終わり、ようやく1時間の準備が終わり。ようやく、時刻となった。

「―最終命令を受諾!これより対象の殲滅に移ります。なお、これまでの戦いのデータを学習装置マルチデータにて獲得済みです。周辺を気にしたいところですが期限が近いので始めさしてもらいます!」と言うその少女はおもむろに笛を吹く。数多もの物音がした後、重々しい足跡が近ずいてくる。

「よお〜、死亡確定ガラクタ!今夜は、楽しませてくれるのか。お前が楽しませる···なんて事は、ないよな!」と呆れた声を出した。

「いえ、多少なりとも全力を出すつもりですが?それに、約16万と4000人の死の記憶とあなたの戦闘データは既に把握済みですので!」と言うと一気にアーズは闇創造の懐に入ると、銃口を両手で持ち、持ち部分を思いっきり闇創造の横腹に向けて打ち付けた。銃身は崩れ使えない状態になってしまった。すかさず闇創造は、虚空から槍を取りだし真上に思いっきり投げる。その槍の放射線状の先に彼女の右肩があり、それを貫いた。その彼女を庇う形で、3人のアーズが飛び出してきた。闇創造は、頭上で一本指を天に指してくるりと一周回した。闇創造の頭上から黒いモヤが現れて、その中からなんと小石程度の隕石が降り注いだ。4人のアーズは撲殺状態になってしまった。残りのアーズが現れた。闇創造は、表情を変えることなく先程と同様に撲殺した。一方、楠木とアーツは公園でありえないものを見るような顔をしていた。アーツは現在、情報収集モードの無表情アーツとなっていた。

「···最終信号、開始後10分で私と同じ脳波信号の個体は、全て死にました。これを無駄にしてはいけません。叩くならここからです!」と現状と考察を述べていた。動くなら今だ、と楠木は圧倒的な力を前に自分は一体何ができるのか、一瞬考えてしまった。しかし、それをいつまでも考えているのではない。すぐに勝算を考える。しかし、勝算がほぼ無かった。何せ、相手の能力が未だに掴めていない。時間は、刻一刻と過ぎ去っていく。軍部から先に攻撃を仕掛ける手立てになっていたので、定刻に従って闇創造に攻撃を仕掛けた。1分後、軍部の主力は対核兵器用の武装に変わっていた。それもそのはずだ、闇創造の指先から出てくる黒いモヤから小規模の核弾頭が射出されていた。すぐさま、割り込みを入れたのは狼流道場のメンバーが武術によって飛んでくる核弾頭を空気中で全て吹き飛ばした。その様子を見て、闇創造その黒いモヤに向かって右手を突っ込み何かを掴んで引き抜いた。彼の右手には、自動照準のショットガンが握られていた。それを容赦なく撃ちまくる。黒いモヤから核弾頭、闇創造の手から銃弾が放たれる。それを守るような形で楠木は戦場に降り立つ。アーツと一緒にだ。しかし、アーツは物理的には遠く離れたビルの屋上にいた。アーツと楠木の距離は500メートルに及んでいた。しかし、心の距離は、0よりも近かった。楠木は、闇創造の方にかけ出すと同時にアーツは、弾丸で正確に闇創造の右肩、左足を撃ち抜いた。少し、楠木は何かを考えている。

「おかしい、何かが変だな」と心に引っかかったが闇創造の顔は、手の届く所にあった。楠木は思いっきり手を握り言い放つ。

「世界は、破壊されるためのものじゃねーんだよ!」と叫びながら左頬を殴った。横方向に回転して、倒れる闇創造は笑っていた。

「能力名は、吸収物質ブラックホールではないんだろ、異次元移送ボックスだよな」と楠木は、確証のない憶測を言う。さらに楠木は続ける。「しかし、お前の中にも地球は無いんじゃないか、もう1つ惑星を取り込んだからだろう、終焉の惑星ブラックホールを取り込んでいるから、異次元転移の中の八割は飲み込まれる運命にあるんだろうよ」と憶測に憶測を重ねる形であるがしっかりと説明した。楠木はバックステップをとった。闇創造は、右手を勢いよく上げた。黒いモヤが楠木に襲いかかる。

「右に照準5度、下に照準8度修正し空間断絶を試みます!」と言って球の先に刃がついた、弾丸を撃ちまくる。闇創造は、それを見るなり標的を楠木から弾丸の雨に変えた。黒いモヤがそれを飲み込んで消えた。闇創造も少し驚いた様子を見せた。なぜなら、闇創造がそのように操作していないのにも関わらず、そのような形に変わったのだから。

「音牙鬼道の最終目的は支援、攻撃それに無効化だ。この家の流派がいくら支援に重点を置いているからってぇー乗っ取りをできないわきゃないのさ!」と珠里の兄弟子に当たる。亜珠は言う。とここで闇創造は口を大きく開き、話出した。黒いモヤから遮蔽物を射出しながら叫ぶ。

「ギャハハ、なんだか勝手に盛り上がっている所悪ぃがどういう様に俺が世界を飲み込んでんのか知らねぇのか?」楠木は、黒いモヤが頭に浮かぶ。

「こういう風にしたんだよっ!」と言いながら天に向けていた手のひらを下にして思いっきり握る。その瞬間、空中にさまよっていた黒いモヤは、闇創造の立っている位置を中心に空一面に爆発的に広がった。その勢いで黒いモヤから人型の黒いモヤが町に降り注ぐ。

「一旦、全員退け!町に降り注ぐあの異物を止めるぞ!」楠木が言い、町の各地に散らばり、広がっていく。闇創造は、無言のまま。命令を出す。

「壊せ、殺せ、潰せ、全て消してしまえ!」とニッコリと笑って言った。

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