第9章 七星剣《プレアソード》

 一気に距離を詰めようとするオルトロスに対して、所々に緑と赤の色のカードをオルトロスの進路に置いて妨害していく、すると先程の緑色のカードのようにFWと浮かび上がりすぐに爆発と風の斬撃をオルトロスに向けて放っていく。「混合術式の爆裂風だ!」と楠木は言う。混合術式とは、二つある属性を1つの術式にまとめる攻撃手段として用いられる物だ。ここで、楠木はある言葉を言い放った。「よく聞けよオルトロス、契約に乗っ取りトーラスが来た!ここから先は、俺の領域セカイだ!」

「ふん、ならば俺の名前と一緒に訳名を···オルトロス、その訳は冥府の警備だ!」とオルトロスは叫んだ。訳名とは、名前と同位の価値を持つ物で、言ってしまえば自分の存在意義を示すための簡単な一言だ。それに習い楠木も「楠木流星、その訳は七星プレアデス大精霊トーラスつるぎだ!」訳名を交わすことで、形式的に命をかけた死闘を始めることを意味するのだ。右手には異能力七星の青炎、左手には炎の剣の由来を持つ術式名であるFSが発動している。楠木は、自身とオルトロスの間に壁を作るように大きな爆撃を加える。「術式変更っ!炎から風へ空気中にある岩石を一点にまとめよその名は束風たばかぜ、訳は風精霊シルフィー穿て!上風ハイサイクロン!」と言うとオルトロスの真上の上空に空気中にある岩石が強風により集まりだした。さらに「術式変更、風から土に空中にある岩石を隕石と仮定、隕石は地に落ちる岩石なり、当たれよ!願わくば、オルトロスが脆くないことを期待する!隕石超落下メガメテオストライク!」と叫んだ瞬間、風の術式により集められた岩石が真っ赤に染まり、内側から爆発して、オルトロスに向かって大小様々な破片が降り注いだ。オルトロスに直撃するように調整した岩石は、オルトロスの持っていた両刃剣ごとオルトロスを潰しにかかった。凄い砂煙さまくが少しの間、オルトロスを覆う。すると砂煙が吹き飛ばされた。そこに立っていたのは、紛れもないオルトロスだっと思っていた。実際、オルトロスの持っていた両刃剣は、文字通りの木っ端微塵と化していた。両刃剣を持っていた時のオルトロスのことを猛牛獣バーサーカーだという印象があった楠木だが、今は単なる魔獣という印象しか受けなかった。なぜなら、両手両足は2つから6つに増え、犬顔の顔が3つになっていたからだ。気配が変わったことに驚いた訳ではなく、単純に根源が3つに増えていたからだ。普通、人間1人に1つの根源であるためにオルトロスは根源が2つと思っていた。ちなみに、楠木は異能力のおかげで7つに根源が増えている。実際、見た感じ二つだったことを確認した。それなのに、今は2つではなく3つになっている。つまり、早い話オルトロスではなく、別次元の化け物になっていた。「なんで、ここにいやがるんだよケルベロスが!」「我が名は、ケルベロス。我の力を解き放ったことをまずは、感謝しておこう。しかし、この体は脆いこの体を使い捨てにしか、考えていない。しかしだ、人間貴様の体を奪えれば私は、この世界で存分に力を震える!だから、人間貴様はここで死ね!せいぜい本気でかかって来るように!」

「···正しき盟約に従い、先代の負債を今代で支払う!深淵の監視者牡牛トーラスの契約に乗っ取り、お前を今度は消す!完全な形でな!!」「炎の術式、炎剣FS!そして、異能混合術式及び装備術式、飛龍火鳥FDBだ!」術式完成と同時に、3方向から青い炎、紫電、毒砲が楠木に向かって来る。楠木は、1度だけ身を縮ませて一気に空に向かって飛ぶ。その後、飛龍火鳥ひりゅうかちょうで作った翼を展開して空中へ逃れたのだ。目の前には、大きな犬否ケルベロスが既に獣化した状態でまるで、蚊をたたき落とすように前足を高く上にあげて一気に振り落とした。楠木は、直撃を避けることはできたが、風圧により遠くの岩壁に体を擦り付ける結果になってしまった。「爆撃術式、空爆用に転用行きます!」と言う声が聞こえたので、楠木はケルベロスの周りに簡素な炎の神殿を作った。時間にして、アーツの弾丸が効果範囲に入るのと同時に、炎の神殿が完成した。ケルベロスの右肩や前足をなど、どんどんと色々な箇所に命中していく、楠木は底が見えた精神力を使い、炎の精霊サラマンダーを呼び出した。緑色のカードと茶色のカード、それに青色のカードの3つをケルベロスを中心にカードと炎の精霊が囲む結界のように置く。その瞬間、各カードの対応した精霊達が出現した。青色のカードから水精霊ニンフを緑色のカードからは風精霊シルフィー、茶色のカードから土の精霊ノームを顕現させた。ケルベロスの魔力が、だんだん弱体化しているのを感じ取れた。それだけではなく、むしろ全ての力が弱くなっているのだった。「精霊結界、聖域ディバイストこの世ならざる全ての力を無力化させる。無力化させるのは、魔力だけじゃないんだぜ!」無言のケルベロスには、その言葉はヒントとして考える要素になった。「だが、主は1人で精霊結界を、聖域を発動させるには、最低でも4人それぞれの根源を持つ者同士が魔法を共鳴させて発動するもののはずじゃが、見た所仲間は、1人ぐらいしか条件に当てはまるものは居ない。しかし、奴も発動させるには魔力が不安定だな!では、どうしてこの聖域が完成したのかだが、むしろ未完成な聖域リディバイストと考えるのが通りだな!」

「何を寝ぼけたことを口走っている、数百年の封印で思考回路がおかしくなったのか?まぁなんでもいいや、もっと自分の目で目の前の敵の根源を覗いて見せろよ!」とヒントのようなものを出す。目を凝らすケルベロス、驚いたような顔を見せた。「そんな、まさかありえない。根源が7つもなんて!」「そして、俺の記憶が正しければ真の聖域は、古代根源の6つで作られる!」と説明するような口調で黒と白のカードを出して、聖域の有効範囲を示す4つのカードの上下に置く。置いた後、白のカードからは、光精霊アルと黒のカードからは、闇精霊マドクが顕現した。有効範囲の形が六角形状に変化した。「これが契約主の魔法にして、最強の結界、この名は真聖域デルバイストルその訳は、最古代根源の精霊トーラス!」と言うと、ケルベロスの周りに並べられた6枚のカードから天に届く柱が出現して、それぞれの柱は、対応するカードの色と同じだった。赤い柱にはF、青い柱にはB、緑の柱にはW、茶色の柱にはGとその周りの黒い柱にはD、白い柱にはHとそれぞれの柱に文字が浮かび上がる。その後、柱に囲まれた有効範囲が連続で発光した。夜と対極にある、優しい光だった。同時に、トゲのある光でもあった。例えるなら、真っ暗の部屋を一気に明るくするようなものだろう。「うぁぁぁ!」とケルベロスが絶叫している。魔のもの以外に対しては優しい光なのだが魔のものにしたらこの光は、まるで高濃度の放射能を浴びせるようなもんだろう。と何となく楠木は考えていた。「さぁ、何となく対等に戦える戦場ステージを作り上げてみたけど、どうするまだこの俺とやり合うってのか?」「無論、術者さえ潰せば我が力を解き放つことができるであろうが!」お互いが、お互いの力量を再び見定めるような睨み合いがしばらく続いた。先に動いたのは楠木だった。楠木は、ゆっくり歩くような速さで真聖域デルバイストルの方に向かって歩いていく。本来この手の結界術式には、無力化を図るためには、制限がある。ひとつは術者の無力化、もう1つは対象の無力化のどちらかだった。ケルベロスは1つ目の制限を解きに、楠木は2つ目の制限を解くために2人の行動目標が定まった時、楠木は既に真聖域に入っていた。真聖域の中では、外と違い空間が5倍も広がっている。さらには、緑深い森林が楠木の目の前には、広がっていた。ケルベロスが駆け出してきた、半ば突進に近い形で楠木にぶつかり、数メートル吹き飛ばした。「創れ、作れ!神器に等しき力を見定め、大いなる勇気のある者の剣を成り立たせろ!その名は真剣その訳は、土精霊ノームを主軸にした混合術式!材料は契約者トーラスの角、創造せよ!七星剣プレアソード」と言うと、土を掴むなりそれが剣へと変わった。「この剣は、魔の者を打ち砕く武器にして、悪意を斬ることも可能としているものだ。」

 「肉体と精神の攻撃かまるで邪剣だな!」「皮肉に思うが、何しようがいいが···この剣は勇者の剣をヒントに作り上げたんだ!だが!勇者の剣と比べると力の質が桁違いなんだぜ!」と言うなりケルベロスに切りかかる楠木。しかし、それを軽々と避けてしまうケルベロス。「厄介だな、そのスピードは!」と奥歯を噛み砕くように言った楠木を見てケルベロスは容赦のない前足の連打を繰り出してきた。七星剣でそれを守る楠木。まさに、防戦一方の戦いになっていた。楠木が一旦距離を取り、そのまま上の木の枝に飛び乗る。その後、七星剣を片手に炎の術式の言霊を口ずさむ。「燃える燃える、炎よ燃える紅蓮の力を我が力に変えよ!FS、その対価は貴様の肉体だ!」と言うと七星剣のブレードが赤く光った。大きくケルベロスに向けて、振りかざす。しかし、ケルベロスの一つ目の頭の青色炎のブレスにより、ケルベロスに当たることはなかった。すかさず、「作れ作れ、大地を創れおごり昂った者には、天罰を岩剣GS土精霊ノーム頼むぞ!そして、炎の精霊サラマンダーノームに力貸せ!炎術式、朧火おぼろび!」とケルベロスが気づいた時には叫んでいた。その瞬間、楠木の姿が虚空へと溶け込むように消えて、後ろから岩剣の斬像が飛んできた。急いで、紫電を壁にするように放つ。それでも、勢いを殺すことの出来なかったケルベロスの足元に向かって岩剣の斬撃が当たった。少しの斬撃でも、傷口が大きく開いた。しかし、すぐにそれは塞がった。続いて、ケルベロスは毒砲を楠木に向けて放っていく、楠木は光の術式を避けながら唱えていく、「光れ!輝け!全てを照らせ!我が道の先に求めるものよ!踊れ狂え、聖者のレクイエム!セイバーライト《SR》!」と叫び、毒砲を止める為、毒砲を放っている3つ目の頭の下から斬撃を与えた。少し触れた瞬間、後ろへ飛ぶケルベロス。どうやら、ケルベロスの攻撃が収まったようだった。そこから、お互いが睨み合いしばらくの間また、硬直状態に陥っていた。しかし、楠木はその間に「剣と炎、剣と水、剣と土、剣と風、剣といかずち、剣と光、剣と闇」と詠唱した。その瞬間、楠木の持つ七星剣が七色に光りだした。楠木の異能力は、この剣に吸収されて強大な魔力を蓄積していく。「終いだ、ケルベロス!一体、現代にお前のような者が居ないか分かるか?その答えは、ただ一つ魔力があれば生き返る魔のバカもの達をそれよりも強大な魔力で殺したからだ!それをここでお前に歴史に消えた者達と同じ末路を送ってやろう!」

 「ならば、その歴史我が断ち切るまで!」お互い、残りの魔力を相手にぶつけた。ケルベロスは、3つの頭から同時にブレスを放っていく一方、楠木は「我が身を迅雷の如き、速さへ加速せよ!その名は、電光速マッハ訳は雷精霊エレクトン!いくぞ、装備術式!光迅マッハノイズ」を発動して、ケルベロスの周りを光速で七星剣は、その間もケルベロスの放つを剣の魔力として蓄えていく、聖域内の魔力を七星剣が飲み始めた時、剣が巨大な魔力に耐えるために巨大化したのだった。それをケルベロスの頭上から振り下ろしケルベロスの魔力の因子すらも残さず吹き飛ばした。最後にケルベロスは「楠木流星よ、トーラスとの契約に従い我らを神聖な天に送ってくれ!」と言って消えていった。きっと、ケルベロスは魔力があれば生き返ってしまう魔の者の体を何となく嫌っていたのだろう。しかも、封印という形で眠らされていたからか、余計に死にたいけど死ねないという状況があったのだろう。

「汝の願い聞き受けたこの楠木流星がその願いを聞き受けよう。」と言うとまるで子供の汗を拭うような手つきでケルベロスの体の表面を七星剣で軽く凪いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る