第5章 現れたひとつの黒い道

 楠木達がアーツについて、話し合っている頃、イグニスターの南に位置する都市のバスタで1人の男が寂しげに立っていた。彼は、地球を跡形もなく消し去った。この星、イグニスターの住民はその事実は、もはや歴史の闇に隠れてしまっているが、カペラ政府はその事を危機として認識しているようだった。これまで、彼の前には暗部組織ダークサイドが戦いを仕掛けてきたが、一人として生き残った者は居ないのだ。それは、彼の異能力だけでなく敵の力を飲み込んでしまうことが、最大の要因となっている。彼の生まれは、遠く離れた地球である。しかし、もう男の故郷は跡形もなく塵さえ残っていない。その彼は、彼の故郷でも嫌われていた。だからこそ、彼も自分の故郷を嫌っていた。嫌いという感情が、彼の支えだと知らずに、彼は彼自身の心の支えを自分自身で壊してしまった。「ふふふっいざとなったらこの星ごと消せるんだぜ!消されたくなかったらもっと楽しませろ!」と叫ぶ。彼は、心の底に分かっている。彼自身も、制御出来なくなっていることが誰かに倒される事を願っている。そんな、どうしようもない状態の彼のことを静かに狙う集団がいた。今は、丁度午後11時をすぎた所だ。「今日もぶっ殺されに来たかぁー」とひとつの木陰を見ながら高笑いした。「私たち複製少女アーズの前の複製少女達は知らないがこの複製少女はそうはいかない」と黒い眼帯をした少女達は手に機関銃、KTR30を構えて既に戦闘態勢に入っている。少女達の総数は5万人で、しかも彼を取り囲んでいる。「考えて出てきた戦法が蜂の巣か···呆れて星を消しかけねーぞ!まぁ昨日よりは、楽しめそうかなぁ」と彼の近くの虚空からロングソードが形成される。「勝負だ!闇創造ダーククリエイターここでお前の墓場を築く!」と複製少女は、言う。「何度殺っても変わらない威勢だけは褒めてやるよ。だから、ひと思いに死ね!」と彼は返す。彼は、人々から闇の創造する者ということで闇創造呼ばれている。今は、自分の本当の名前を知っているのは、彼しかいないくなってしまった。こうして闇創造の無双劇ワンサイドゲームが始まった。楠木の周りを一斉に銃弾が飛んでくる。さながら、爆撃戦と言うよりも花火に近いかもしれない。爆心地の中心からドラム缶を蹴ったような爆音が放たれた。「知ってるか?俺、闇創造は人が作れる物なら勝手に作れるんだぜ!例えば風とかな」と終焉を宣告するような顔で説明した。複製少女達は、上を見るとそこには、爆心地の中心の上から放射線状に、彼女達が打った銃弾があり、そのまま彼女達に降り注ぐ。彼女達は、叫び喚くことなく死体の山を四方に4つ作った。それでも、彼女達の総数はまだ1万人弱もいる。彼女達は、距離を取ろうとするしかし闇創造は、その距離を埋めるように距離をドンドン詰めていく。後ろ歩きと前歩きの速さの差を思い出してみれば分かるだろう。彼女達が距離を取るよりも速く距離を詰められてしまった。闇創造の右手に握られたロングソードがアーツの右肩を貫いた。左手には、わかりやすい拳銃が握られていた。アーツは、その拳銃に両足を撃ち抜かれてしまった。そのように1人また、1人と死体が増えていくのだ。遂には、最後の1人までも息のしない死体マネキンに変わってしまった。彼は、本当の悪だ。殺した相手がここにいたという痕跡だけならまだ分かるが、自分の痕跡までも消してしまうのだ。彼の右手から黒いモヤが彼女達を捉え、虚空へ連れ去るのだった。「はぁーつまらん遊びも本気でやるとそこまで飽きねぇな!あと何日、この星は持つんだろうなハハハッ!」この時、この場を支配していたのは確かな嫌悪感だった。だが、その嫌悪感さえも黒いモヤが飲み込んでしまった。

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