第2章 アーツの小物

 今日は、楠木がいつもは行かない武器屋を見に行くことになった。このカペラでは、どんな人種がどんな思想を持っているのか未だに分かり合えていないので、とりあえず抑止力のために武器を持っていた方が良いというのが社会での常識となっている。なので、武器屋は街に1店舗は必ずある。今日は、休日なので近くの大型の武器屋をアーツと一緒に見に来ている。中へ入ると、すぐに名前と顔、そして指紋をまとめてとる機械を通った。アーツは、これが初めてだから少しびくびくしていたが、大した事が無かったからか、少し拍子抜けした顔をしていた。このような、大型の武器屋では、普通1階で近接武器を2階で遠距離武器を売っている。もちろん、この店もこのテンプレに乗っ取って営業しているらしい。楠木は、たまに来るのだがそれは、武器を探す為でなく料理用の包丁の研石を買うためだ。通常の包丁の研石よりも武器としての研石の方が遥かにスペックが高いのだ。今日も楠木は、小刀タイプの研石を買った。その間、アーツは目を輝かせていた。買い終わった時、一通り1階の武器を見終わったらしく一緒に2階へ行って武器を見た。アーツは、銃系統の武器を熱心に見ていた。その中には、昔ながらの銃口の所に小刀が着いている戦争銃タイプも置いてあった。なんで、こんな所に置いてあるのだろうと楠木は思う。アーツは、銃系統の武器の中でも機関銃を熱心に見ていた。機関銃の中には、「BRODM8」や「KSM」など危険度が相当高い機関銃が、そこらじゅうに置いてある。アーツは、デルタシリーズの機関銃を見ている。一応、お金は持ってきてある。が、デルタシリーズが買えるほどのお金はないのだ。デルタシリーズは、対人だけでなく、対自分以外を想定されている武器なのだ。作ったのは、デルタラティス·β·オブレインという男だ。ここから遥か遠く離れた水木すいぼくの惑星にいたとされている。その為、今日は見るだけになってしまった。と思って帰ろうとした時だった、集団の黒ずくめのどこから見ても泥棒ですというような風貌の輩が店の物をかっさらっていくのだ。店長さんは、怖いのと店が無くなることへの不安で今にも泣き出しそうになっている。楠木は、「ったくいい歳したおっさんが泣くなって」と楠木は思い。店長に楠木は、駆け寄る「あの、店長さんもしもあいつらを自衛部に渡すことができるとしたら?」と楠木は、店長さんに問いかけた。「なんでも、1つ好きな物を持って行ってくれて構わないから、必ず品物だけは、取り返してくれ!」と店長さんから頼まれた。この辺では、楠木は人助けの道では有名なのである。楠木は、アーツを店長さんの所に残して、黒づくめの集団の1人に駆け寄った。楠木の指先からゆらゆらとした白い玉のような物が飛んでいき、黒づくめの集団のひとり、またひとりと触れていく、その瞬間まるで意識を一瞬にして削ぎ落とされるような感じに相手を気絶させていったのだった。1階は、そこまで戦い向きの異能力を持っている者はいなかったようでその戦い方で制圧した。ゆっくりもう一度、階段を上って2階へ行くと、重装備していた。先程の技が効く可能性を諦めた方が良さそうだった。「ったく楠木さん的には、理想的平和を掲げてそれ通りに行動したいんですが···仕方ぁーない···のか」あいにく、楠木はいつも護身用としても戦闘用としても武器は持たないそれは、武器よりも自分の異能力の方が危険度としては高い事を知っているからだ。先程の白い玉が手のひらの上で不自然に回り始める。何周か回ると7色の玉に変わった。「七星プレアデスを発動する···」と楠木は小声で言った。七星とは、楠木の持つ七つの根源で術式を組み上げる異能力のことだ。「母なる大地と大いなる水、その根源は青とおうに従属する!その形は獣、訳は天罰において両手を天罰の名の通りに具現化せよ!氷獣のAOS!!」と叫ぶ。それと同時に、青い玉と黄色の玉以外の色の玉が溶けるように消えてしまった。その変わりに青色と黄色の玉がまた、不自然に回りだし、小石程度の氷の金属が出来上がった。その氷の金属を手の中で砕くと、両手から氷の金属で出来たクローのような形状の物が出来上がった。これが、氷獣の爪だ。その爪で楠木は男たちの方に飛びかかっていくのであった。これは、もはや制圧戦と化している。

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