第7話 スキルの検証

夕食まで少し時間がありそうなのでスキルの検証をすることにした。


「ステータス」


 スキル部分だけ表示できるように考えながら唱えたら上手くいってスキルが頭の中に表示された。


スキル:

 【共通言語】

 【生活魔法】

 【料理:Lv3】

 【交渉術:Lv3】

 【算術:Lv2】

 【速読:Lv2】

 【体術:Lv1】

 【短剣:Lv1】

固有スキル:

 【リセット】

 【イリス(ナビゲーション)】


 頭の中に響く声はスキル扱いなのか、固有スキルに【イリス(ナビゲーション)】が増えてるわね。


 【生活魔法】は良いとして他の魔法は使えないのかな?この【リセット】スキルが全くわからない【イリス】は何か知っているのかしら?


とりあえず《クリーン》を履いているブーツが綺麗になるように唱えてみる。


「クリーン」


 ブーツが少し光ったようにも見えたが、すぐについていた土が消えてなくなった。ブーツの中もサッパリした気がする。


「おぉ、魔法すごい、綺麗になった」


 鞄の中にある水筒を取り出してみると中身が入っていたので部屋にある洗面台に捨てて、洗面台の上で水筒に水が満たされるイメージで《ウォータ》を唱えてみた。水筒の周りに水があらわれ洗面台に溢れていく。うーん、水筒の中に直接は出せないのか……


 洗面台のコップに向かって《ウォータ》を唱えると、コップが水で満たされた。どのくらい出せるかは検証が必要だね、今度街の外で試してみよう。


 さらに水の温度が変えれるか試してみたが、少し冷たい水と少し温かい水になる事がわかった。冷水や沸騰したお湯は無理っぽい…


しばらくするとドアをノックする音が聞こえた。


コンコンコン

「アスカ様、夕食の準備が整いました。」


「はい、今行きます。」


ドアを開けると、執事のサントスさんとモニカさんが廊下に立っていた。


「食堂までご案内致します。」


「お願いします。」


サントスさんの後についてモニカさんと並んで歩いていく


「お部屋凄いね、私あんな部屋初めてだよ、なんか色々と汚さないか心配になっちゃって……」


 小声でモニカさんが話しかけてきた。聞こえていたのがこちらをチラッと見たサントスさんが


「汚しても大丈夫ですよ、きちんと掃除いたしますので」


「あ、はい」


 サントスさんに食堂まで案内された。大きなダイニングテーブルに数々の料理が並んでいる。アルベルトさんたちも席についており給仕をしてくれそうなメイドさんも壁際に立っている。


「そこの空いてる席に座って、家族だけだから遠慮せずに食べて、神様の恵みに感謝を」

「「神様の恵みに感謝を」」


 アルベルトさんたちはお祈りをしてから食べ始めた。私もお祈りのまねごとをしてから料理を口に運んだ。


「おいしい!」


「口にあって良かったよたくさん食べて良いからね」


 少し恥ずかしかったが、空腹には負けるのでテーブルに並んでる料理を食べはじめた。


「アスカさん、さっきも言ったけど今日はここに泊まって仕事探しは明日から始めたらよいよ、もし見つからなかったらうちの商会で働いてもよいからね」


「はい、ありがとうございます。」


サーシャさんがこちらを向いて話しかけてきた。


「アスカさんは魔物を倒したことがあるんですって?それなら冒険者になるのかしら?」


「そうですね、それも考えてますがまず冒険者ギルドに行って話を聞いてからにしようと思ってます。」


「冒険者は危険な仕事だし、女の子が一人で活動するのも心配だわ」


 この国では女性も冒険者として活躍しているがやはり数は少なくなる。どうしても男性の人数が多いためトラブルになることも多いようだ。


「危険を感じたらすぐに逃げるのよ、魔物でも男でも……なにかあったら店に来てちょうだい守ってあげることもできるから」


「わかりました。ありがとうございます。」


 見た目が若いのもあるのだろうけど、かなり心配されている。アルベルトさんもサーシャさんもとても良い人たちだ。


「うちの店は冒険者用の雑貨類も扱ってるからぜひ買い物して行ってくれ、少しはおまけもしてあげよう」


 モーリスさんが笑いながら宣伝してきた。まぁ商人なんだし宣伝するのは当たり前か…


「父さんのおまけはショボいから期待しちゃだめだよ」


「知り合いなら考慮ぐらいする!」


「考慮しても銅貨1枚くらいだろ?」


「そんなわけあるか!」


 商会長と次期商会長の言い争いが始まった。サーシャさんはそれを見て呆れ顔である。いつものことなんだろう。二人とも本気じゃなさそうだし本当に仲が良い家族なんだなぁと感じる。


 そういえばモニカさんの存在感が全くないと思い横を見てみると、すごい勢いで料理を食べていた。食いしん坊キャラだったのか


「あとは部屋に戻って自由にしてもらってかまわないよ、明日の朝も声をかけるからぜひ朝食は食べっていってね」


「なんかお世話になりっぱなしですみません。」


「かまわん、かまわん、若い娘が遠慮なんてするな、これも何かの縁だたまに遊びに来なさい。もちろん買い物はしていってくれよ」


「父さんはそればっかりだね」


 皆が笑い声をあげている。本当に良い家族だな、私もこんな家庭を作れるのだろうか?とも思ったが相手がいないしあんまり結婚とか考えられない。とりあえずこの世界で暮らしていく基盤を作らないとなにも出来ないしね


夕食も終わったので先ほど案内された部屋に戻った。

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