第2話 持ち物とステータスの確認
ボーっとする頭でも自分が横たわっているのがわかる。空が見える雲一つない快晴だ。確か階段から落ちたはず、でもビルの中なので空が見えるのはおかしい。それに背中には芝生のような感覚もあるし、土の匂いもする。完全に外だ。
いまいち記憶がはっきりしない、ゆっくり体を起こしてみる。体を起こした正面には草原が広がっている。ところどころ岩や木が見えるが人工物は見えない。
「草原だ」
あれ?何か変だ?もう一度呟いてみる。
「草原だ」
日本語ではない何らかの言語が自分の口から紡がれた、でも意味は理解できる。
どうなってるんだろう??
『スキル【共通言語】で翻訳されています。』
ビクッ!「今のなに?」
急に頭の中に機械的な音声が流れた。周りを見渡すが誰もいない、見えるのは草原と森だけだ。誰かいるの?もう一度恐る恐る周りを見渡すがやはり誰もいない……
これはもしかすると異世界転移??学生時代に友達から借りた本にそんなのがあった記憶がある。とりあえず自分の状況を確認しよう。立ち上がって周りに危険がないか確認する。
とりあえず近くに生き物はいないと思う……
自分の体を見てみる。生成りのワンピースに革のブーツ、ベルト、ベルトには小ぶりのナイフがぶら下がっている。肩から掛けるバッグも持っている。
このバッグは私ので良いのかな??中身を確認しようとバッグを開けてみると中には何も入ってないように見える。でも手を入れてみると
『使用者「アスカ」として登録されました。』
また頭の中に機械的な音声が流れた。「アスカ」って私か…私が使えるってことかな?などと考えていると頭の中にいろいろな名前が浮かび上がってくる。
「身分証×1」
「ハンカチ×1」
「水筒×1」
「携帯食料×5」
「干し肉×5」
「ナイフ×1」
「薬草×5」
「毒消し草×5」
「低級ポーション×2」
「中級ポーション×1」
「猫のお守り×1」
「貨幣:61,110メル」
「鉄貨×10:10メル」
「小銅貨×10:100メル」
「銅貨×10:1,000メル」
「小銀貨×10:10,000メル」
「銀貨×10:50,000メル」
なんか、いっぱい出てきた、それに小金持ち?物価がわからないのでどれくらいの価値があるかわからないけど、とりあえずすぐに困ることはないのかな?お金が使える場所があればだけど…
それよりこれって鞄の中身ってことかな?どうやって取り出すんだろ?やっぱり手を入れて念ずるのかな??
「100メル」
手の中に金属の感覚が現れた。手を開いてみると500円玉くらいの大きさの銅貨が乗っている。さっきの一覧からするとこれが銅貨かな?もう一度「鞄の中身」と考えてみたら「銅貨×9:900メル」となっていた。
やっぱり自由に取り出せるのね、なら仕舞うのは?鞄に手を入れて「仕舞う」と念じてみた。手から銅貨が消えリストには「銅貨×10:1,000メル」となっている。これで出し入れ自由なのは確認できた。ここまできて「やっぱり異世界なんだなぁ」なんて今更ながら思っていたりする。
鞄の中に「薬草」とか「ポーション」など異世界?RPG?ではお馴染みのアイテムが入ってるし、「携帯食料」とか「干し肉」とかもうお約束ですよね?って感じ。地球では階段から落ちて死んだみたいだし、もう戻れないだろうから…
「お母さん悲しんでるだろうな…」
ぽつりと呟いたら、急に涙があふれてきた。やっぱりもう会えなくなるのは辛いな。でもせっかく生きてるんだから何とかしないとね……あふれる涙を拭った。
「猫のお守り」も気になるけど、鞄の中から「身分証」を出してみた。表面は名前やらステータスみたいだ。レベルやステータスは薄くなってる。身分証は誰かに勝手に作られた?神様?
名前:アスカ
種族:ヒューマン(女)
所属:---
状態:普通
レベル:1
STR:85
VIT:70
INT:260
DEX:105
AGI:75
LUK:100
賞罰:なし
年齢が出てないのは地味に嬉しい。あっても隠すけどね。強いのか弱いのかは分からない、でも1Lvだから弱いんだと思う。裏面はスキルだ。全部薄くなってる。
スキル:
【共通言語】
【料理:Lv3】
【交渉術:Lv3】
【算術:Lv2】
【速読:Lv2】
【体術:Lv1】
固有スキル:
【リセット】
【****】
スキルにもレベルがあるのか、なんで最初から【料理】とかはLv3なんだろ?今までの経験?一人暮らしで自炊してるし、趣味でお菓子とかも作ってたからなぁ、最近は仕事が忙しくてあまりやってないけど…
【交渉術】はクライアントと予算の折衝なんかをしてたからやっぱり経験だね、何に使えるかわからないけど、売ったり買ったりするときに有利?なのかな?
【体術】は学生時代に「合気道」を習ってたからそれかな?【算術】と【速読】はまぁ、計算もするし資料もかなり読む仕事だったから自然と身に付いたんだろうね。
「便利な世界だわ、自分の状態やスキルが見えるから」
よし!持ち物と自分の状態は確認できた。次は体と周りの様子を確認しよう。
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