スキル【リセット】を抱えて旅に出る。

蒼井由奈

第1章 異世界に転移しました

第1話 異世界へ

ん?ここはどこだろう?

頭がボーっとする、確か会社の非常階段で足を踏み外して………




 急がないと打ち合わせに間に合わない!

 今日は私が初めて任せてもらった仕事のクライアントへの最終プレゼンだ、私が遅刻するのはヤバい!


 私は「蒼井あおい 明日香あすか」26歳、いたって普通のOLだ。そこそこの地元大学を卒業し、そこそこの地元企業に就職した。就職して4年、今の部署に配属されて初めてリーダーとして任せてもらった仕事、規模は小さいけどクライアントと一緒に作り上げていくのは遣り甲斐があって楽しい。


 仕事が楽しすぎて大学時代から付き合っていた彼とも別れてしまった。結婚も考えてたけど、彼は「結婚したら仕事を辞めてくれ」って言うから喧嘩して別れてしまった。仕事楽しいんだもん無理だよ……


 クライアントへの最終プレゼンの時間が迫ってきている。部長からの指示で少しプレゼン内容に変更があったから私はぎりぎりまで資料の修正をしていた。ギリギリだけど部長の太鼓判も貰ったし絶対に成功する。それで今日は打ち上げだ!


 私はプレゼンの資料を抱えてエレベーターのボタンを押す。下行のエレベーターはまだ13階を指している。


「時間まで後3分、なんで来ないの!仕方ない階段で行くか…」


 5階にある会議室まで10階からなら走れば間に合うはず。そう思いビルの非常階段のドアを開け、ダッシュで階段を駆け下りていく。


「あっ!!」


 バランスを取ろうと思ったけどもう遅かった、階段を踏み外して足を痛めたのがわかる。それに駆け下りている勢いで体はすでに宙に浮いている。


 天井が見えた、次に階段が見えた、重力に従って体が落下していく感覚がある。世界がゆっくり動いている。「これは助からないなぁ」踊り場まで距離がある。「プレゼンどうなるだろ?」「ミケのご飯誰か上げてくれるかな?」「お母さん、ごめんなさい」次々にいろいろな思いが頭をよぎる。


 そして過去の記憶が頭の中を駆け巡る。「これが走馬燈かぁ…」落ちる前に戻れないかなぁ??


そこで私の記憶は途絶えた。





『被験者「蒼井 明日香」へのシステムによる介入を開始します……介入に成功しました。』

『第24階層世界イルヴァーシルの情報をインストールします。』

『被験者の名称を「蒼井 明日香」から「アスカ」へ変更します……成功しました。』

『被験者の経験からステータス及びスキルを設定します……成功しました。』

『スキル【共通言語】を取得しました。』

『スキル【料理:Lv3】を取得しました。』

『スキル【交渉術:Lv3】を取得しました。』

『スキル【算術:Lv2】を取得しました。』

『スキル【速読:Lv2】を取得しました。』

『スキル【体術:Lv1】を取得しました。』

『固有スキル【リセット】を取得しました。』

『固有スキル【****】を取得しました。』

『第24階層世界イルヴァーシルへの転送を開始します。』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る