最初の事件(リトライ)

瞳を開くとそこには───。

泣きながら抵抗する女性と女性を押さえつけて卑猥な行為をしようとする男性が目に飛び込む。

はて? 路地裏で凌ぎの仕事をしていたように思うが……。


……惑うな。


女性はまだ成人していないだろう。

男性は四十半ばとみえる。

やけに視界が低く、見覚えのない個室。

いや、低いのではない。

のだ。

非力で小さな手のひらを見つめると自らの衣服も乱れていることに気づく。

瞬間、現場状況がコマ送りで再生された。

記憶にあるのは何らかの理由でいきどおりを感じ、逢魔が時に外を歩いている情景から。

そこにあの男性が現れ、騙されてからおけぼっくすなるこの場所に連れてこられた。

も抵抗し、殴られたようだ。

そのあとの記憶はないが目の前の女性は記憶にあった。だ。受付にいた。

殴られた私を見て慌てて入ってきた結果、この状況のようだ。

何故私がこのような幼子になっているかも疑問だが、先にすべきはこの状況を打破することにある。分析終了。

私の

得物はない……か。

私は目をカッと見開いた。

その瞬間、バチバチっと言う弾ける音がする。

機械だらけの部屋の電流を操り、最初は軽く、

椅子は幸いゴム素材のようだ。

離れた瞬間を見計らい、躊躇わずに掻き集めた電流を放った。

男性の声にならない断末魔が響き渡る。

そこで目眩を起こし意識を低迷させた。

情けない、小さな身体ではこれが限界か。


「……カ! 」


扉が開く音、大勢の足音、耳障りな甲高い大小する電子音。

私は柔らかいものに抱きしめられた。


ねぇ……! 」


少年だろうか。、か。

……悪くない気分だな。心配する者などとうに居ないと思っていた。


私は、から───。




『ファーストコンタクトフェーズ終了。セカンドコンタクトフェーズに移行します───ジジ……』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る