第3話
リアである私は10歳の時、神殿で水属性のみと判定されていたけれど、今は光と水になっているだろう。そして我が家は王宮魔導士を輩出するほど魔力量も多い。私も王宮魔導士を目指せるかも知れないわ。
そう思うと目の前が開かれたように明るくなった。
明るい笑顔の私とは反対にその場にいる家族は黙ったまま。驚きを隠せないでいるわ。お兄様が口をハクハクさせながらも
「リア、どうしたんだい。思い出しました、とはどういう事かな?」と聞いてきた。
どこまで話せばいいのかしら。
悩んだが、過去の事だしと家族に全てを打ち明ける事に決めた。自分の過去であるリディス・サルタンの事。生まれ変わった事を。
父と母はやはりあの当時の事を知っており、複雑な顔をしたわ。当時の貴族社会で貴重な光属性の娘が自殺したとセンセーショナルな話題だったみたい。
私が死んだ後、身体からは虐待の痕が見つかった事や、婚約者の不貞が娘を死に追いやった原因だった事だとか、当分話題は尽きなかったらしい。
現在はフィアンがラストール公爵家を継ぎ、男爵令嬢だったアイラが夫人となり王都から離れた領地で暮らしているとの事。4大公爵のうちの1つ、ラストール公爵、爵位はそのままだが、失脚したようなもので貴族の派閥も様変わりしたそうな。
あの二人は私の中だけで呼び捨てにするわ。それ位は許されると思うの。
「リアの過去は分かったわ。けれど、貴女がリディスだった事は家族だけの内緒にしておきましょうね。辛かったわね」
お母様がそっと抱き寄せてくれた。その柔らかく温かな温度に包まれると堰を切ったように涙が溢れて出た。
私は今、幸せなのだと。
それから数日は念のためとベッドで過ごす事になったが、もうすぐ始まる学院のためにメイジーと準備を始めた。
「お嬢様、学院では再度魔法鑑定があるそうですよ。覚悟なさって下さいね」
「騒がれるのは嫌だわ。でも、仕方がない事よね」
私の過去は家族しか知らないけれど、邸の者には光魔法が使えるようになった事を伝えた。前回私が死んで以降、光属性は生まれていないようで現在国に30人いるかどうかの数みたい。
お父様はお城勤めをしている。宰相補佐。私が目覚めてからすぐに国王陛下に娘が光属性に目覚めたと申請した時、陛下にすぐに王子との婚約を勧められたらしい。けれど娘は半月も目を覚まさず、身体は後遺症があるかも知れないと言って断ってくれたみたい。
私としては爵位関係なく、今度こそ、自由に生きたい。そして私だけを見てくれる方と幸せな家庭を築いていきたいわ。
もちろん、後遺症はないわ。しっかり治したもの。
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