第11話
「ふんぬぅ!!……お、おわったぁ!!」
「おう!お疲れさん!!今日はもう上がりだ!」
「お疲れ様でした!」
「おう!ダイスケ助かったぜ!」
1日休んだらなんか元気一杯になって身体がかくる朝からクエストをうけた、今日は前に手伝ったことがある棟梁の元、建築現場に土台の岩や柱などを運んだ。
「おめぇ、だいぶ力仕事も様になってきたな!」
「ありがとうございます!けどまだまだですよ!」
「はっ!まぁおめぇは常に一生懸命やってくれっから助かるぜ、また頼むぜ!」
「是非おねがいします!」
依頼書にサインを書いてもらいアリスさんの元に戻った。
「お疲れ様でしたシャワーを浴びてお仕事がんばってください」
「はい!行ってきます!!」
俺は異世界の家のクローゼットをあけ中に入って俺の家の空き部屋の1つのクローゼットから戻ってきた。
「おはようございます」
「立花さんおはようございます」
「おはよう」
職場につき挨拶をすると鈴木さんと田中さんが笑顔であいさつを返してくれた、やはり昼ご飯を一緒にしてよかった。
「そういえば、麻婆豆腐とエビチリ美味しかったです」
「え?ふふふ、美味しいですよね、立花さんの口にあってよかったです。おすすめしたかいがありました」
「何の話?」
「お互い近場のスーパーが一緒で昨日総菜を買いに行ったらばったりお会いしておすすめの総菜を教えてもらったんですよ」
「そうなんだ、立花さんは自炊しないの?」
「簡単な料理は作れるんですが中々時間が」
「ああ、そうよねぇ」
「特にデスマーチ中は……」
「あ、ああ……」
俺と田中さんは過酷な仕事を思い出し朝からげんなりした。
「おい、大輔」
「ん?なんだ明夫か。どうした?」
「今日ちっと付き合ってくれ」
「えぇ……」
「そんな顔すんなよ、飲みに誘ってるわけじゃねぇんだ、飯食いながらお前に頼みごとがあんだよ」
「わかったよ」
「サンキュー」
大学時代の同級生で同期入社の中野明夫は何故か気が合って未だにたまにこうして誘ってくれる基本いいやつだ。
「急でわりぃな」
「いやいいよ、それで頼み事ってなんだよ」
「ああ…実は俺……結婚することになってよ」
「ふぁっ!?」
「驚きすぎだろ!」
「だってお前!彼女いたの!?」
「ん?ああ、お前がデスマーチをこなしている間にできたんだ」
「そ、そうなのか」
「ああ、ちなみに相手はお前も知ってるやつだぞ」
「え!?」
「聞いて驚け?中之森梓だ」
「ふぁぁぁぁ!?」
「あははは!おどろいたろ!取引先であって意気投合してよ!もう先月から同棲してんだ!」
「そうか、すごいなお前、あのみんなのアイドル中之森さんをGETするなんて」
「まぁな!それで式をあげるんだけどよ」
「おお、おめでとう!」
「サンキュー、お前に友人代表のスピーチを頼みたい」
「ぶっ!」
「頼む!」
「お前意外と交友関係ひろかっただろ!もっとちゃんとした人に頼んだほうがいいって!」
「いや、俺はお前に頼みたい…お前がそういうの苦手だってのは俺が一番知ってる…けど俺はお前に頼みたいんだ……」
「くっ!……友人の晴れ舞台だ……俺なんかで良ければ快く引き受けさせてもらうよ」
「式は半年後だ!やっぱお前は最高だ!恩に着るぜ!」
真剣な目で頭をさげられたら断れないよなぁ…めでたい話だし…必死にあいさつをかんがえよう……。
「おい!今日は俺がお前に頼みごとをしに誘ったんだ」
「お前のおめでたい話を聞かせてくれたんだお祝い代わりに今日はおごるよ」
「……すまん、そういってくれるなら今日は世話になる」
「ああ、ほら早く帰ってやれよ」
「おう!お前もきをつけてな!」
「ああ、またな!」
1時間ほど食事をし店を出て別れたので俺は急いで帰路についた。
「なぁ!ちょうど2対2だしいいだろ?」
「困ります」
「行かないっていってるでしょ!」
駅にむかっていると女性の怒鳴り声が聞こえたのでつい見てしまった。
「あれ?田中さん?鈴木さんもか…ナンパか」
「なぁ!いいじゃねぇか!」
「きゃっ!ちょっと離しなさいよ!」
「二人ともお待たせ、またせちゃった?」
「あ゛ぁ!?」
「お、おっそーい!結構まったんだよ!ねぇ?」
「え?う、うん!もう用事はおわったの?」
「!?う、うん!じゃあ行こうか」
「ええ!」
「はい!」
はぁ~と深くため息をついて覚悟をきめて二人に声をかけ男達の間にたつと田中さんがのってくれて俺の腕にだきつき、鈴木さんももう片方の腕にだきついた。
「ちょっとまてよ!」
「はい?二人の知り合い?」
「ぜんぜん」
「いいえ」
「そう、じゃあ少し急いでますので」
「てめぇ!女の前だからって調子のんじゃねぇぞ!」
「きゃっ!」
「いてっ!?」
「ちょっと大丈夫!?」
「え?ええ……俺は大丈夫ですよ」
肩をつかまれ思いっきり殴られたけど全くと言っていいほど痛くもなく逆に殴った男が拳を抑えうずくまってしまった。
「てめぇ!そいつになにした!」
「殴られただけですけど……」
「ああ?ふざけんな!」
「あぶない!」
「がっ!」
もう一人の男が殴りかかってきて鈴木さんにあたりそうになったのでかばいながら男のパンチを受け止めた。
「いい加減にしろよ……!」
「がぁぁぁ!!」
「も、もうその辺で!」
頭に来たので思いっきり拳を握りつぶしてやろうと力を入れるとパキパキという音がきこえ男は耐えきれず泣きながら膝をついたところで鈴木さんが止めに入ったので手を離してやると拳を抑えうずくまって動かなくなった。
「お前らの面はおぼえたからな?次この辺で見かけたり二人にちょっかい出したらゆるさない」
「ひぃ!」
「さ、いきましょう」
男達に脅しになるかわからないけど昔見た不良映画のセリフをそれっぽく言って騒ぎになりそうだったので二人を連れてその場を後にした。
「ふぅ~!怖かったですね!」
「立花さん!殴られたところ大丈夫ですか!?」
「え?全然何ともないので安心してください」
「立花さん強いんですね」
「そんなわけないじゃないですか、内心ドキドキでしたよ」
「そう?最後なんて結構さまになってたけど?」
「あれは昔見た映画のまねをしただけです……はは」
「ふふふ、なにそれ!」
「でも助かりましたありがとうございます!」
「いえ、駅まできましたしもう大丈夫だと思うんで気を付けてかえってくださいね」
「はい!っていうか3人同じ方向だから同じのに乗るんだけどね」
「え?そうなんですか」
「じゃあ、降りるまで一緒しましょうか」
俺たちは同じ電車に乗り二人が椅子にすわり俺は吊革につかまって二人の前にたった。
「席あいてるんだから座ればいいのに」
「いやぁ、昔から立っていたので癖で、すぐ着きますしこのままでいいです」
昔、妊婦さんに席を譲ろうとしたけど声をかける勇気が中々でなくてやっと決心して声をかけようとしたら他の人に先を越されてしまったことがあってから俺は座るのをやめていた……かっこ悪いから絶対言えないけどね。
「じゃあ、私は次だから」
「お疲れ様でした」
「のりこお疲れ様」
「みのりお疲れ」
「大輔くん今日はありがと、また明日ね」
「え?」
ニコッとわらって手を振りながら田中さんが電車を降りていった。
「………………」
「………………」
急に名前で呼ばれて動揺している間に気まずくなって無言になってしまった。
「あ!次ですね」
「そうですね」
ぎこちなく言い合いに電車を降り駅を出た。
「では俺はこっちなので、お疲れ様でした」
「はい、あっ…だ、大輔さんまた明日」
「ふぇ!?ま、また明日」
顔を真っ赤にしながら鈴木さんが駆けていった。
「おかえりなさいませ」
「え?ただいまもどりました」
「遅いお帰りでしたね」
「すみません…クエストを受けれず」
「いえ、それはタチバナ様の自由ですのでかまいません」
「大学と職場が同じやつが今度結婚することになったから友人代表のスピーチをしてほしいと頼まれまして」
「タチバナ様にそのようなご友人がいらっしゃることに驚きを隠せません」
「と、友達くらいいますよ!」
「そうですか、とりあえず上着を脱いでください」
「え?」
「左右別の女性の匂いがひどいですよ?」
「ああ、同じ部署の鈴木さんと田中さんが絡まれていて助けた時についたんですかね」
「そうですか」
「一発殴られたんですが俺があまりにも弱そうだったのかかなり手加減してくれたから全然痛くもないしケガもありませんよ」
「はぁ~…それはLVが上がったためだと思います」
「え?」
「タチバナ様がお強くなっているんです」
「そ、そうなんですね」
その後も少し今日のことを話ししているといつのまにか部屋着に着替えていた…すごいスキルだなアリスさん…。
「本日のクエストも無事にS評価で達成いたしました」
「おぉ!親方ありがとうございます!」
「それと…お気づきになられませんか?」
「え?」
「昨日のお話通り、わたしが必要だと思う物を購入いたしました」
「え?あっ!言われてみればカーテンが違いますね!」
「……そこですか?」
「え?」
「お足元と今ご自身が着ている物をよくごらんください」
「ふぁ!?カーペットが敷いてある!あれ?部屋着が綺麗でおしゃれに!」
「お気づきになってくださり安心いたしました」
「俺のものまで買ってきてくれたんですね!」
「はい、下着類や休日などに着ていただく私服を何点か購入させていただきました」
「す、すみません、助かります」
「いえ」
「お金は足りたんですか?」
「はい、円換算ですとまだ500万ほどあります」
「おぉ!この調子で明日は朝と夜にクエストやれるといいなぁ」
「そうですね」
その後シャワーを浴びるとシャンプーなども変わっていたり肌触りのいいタオルに変わっていたりと驚いたが一番おどろいたのがベッドが変わっていたことだった。
「それでは私はこれで」
「あ、はい!今日もありがとうございました!」
「いえ…タチバナ様」
「はい?」
「タチバナ様はすでにこちらの人の常識では測れないお力を得ておりますので力加減に気を付けてください」
「え?わ、わかりました」
「それと…」
「はい?」
「これから先、いろいろな異性の方がすり寄ってくると思いますのでおきをつけを」
「あははは!そんなことはないと思いますよ!」
「ならいいのですが」
真顔でいったアリスさんの言葉がわすれられなかったが俺は新しいベッドと布団の寝心地のよさにあっさり眠りについてしまった。
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