第9話

〇 登 録 者  タチバナ ダイスケ

〇 L    V  34

〇 ラ ン ク    E+

〇 最高達成LV   S

〇 達成回数    21

〇 未達成数    0

〇 保有金額    47,920ガル 


「エグイ!金額のたまり方がエグイです!!」

「駆除したものが高額で引き取ってもらえましたので」

「そうなんですね、ありがとうございます!」

「いえ」

「やべぇ…こんなに努力が目に見えるなんてモチベの上がり方がひでぇ」

「やる気があるのは素晴らしいことだと思います」

「とりあえずカードも確認しましたし、明日からはまた仕事終わりにがんばります」

「かしこまりました」


 日曜の昼に屋敷の駆除と清掃を終わらせて自宅で休んでいると夕方にアリスさんがカードをもってきてくれた、金額がエグイことになっていた、誰かに感謝されてしかもこんなに大金がもらえるなんて最高だと思いその日は気分よく寝れた。


「立花さんおはようございます!」

「鈴木さんおはようございます」


会社に行くと隣の鈴木さんが満面の笑みで挨拶してくれた、アリスさんもこれくらいの笑顔をむけてくれたらなぁ。


「!?」

「どうしたました?」

「い、いえ、一瞬寒気がしたもので」

「風邪ですか?」

「いえ、そういう感じではないですね」

「一応気を付けてくださいね」

「ありがとうございます」


なんだったんだろ?と思いながらデスクについてPCに電源をいれた。


「立花さん」

「はい?なんですか田中さん」

「もしよかったら昼にいきません?」

「え!?のりこ!?」

「え、ええ、それは構いませんが」

「ありがとうございます、じゃあ行きましょ」

「は、はい」

「ちょっとまって!立花さん!私もいいですかっ!」

「え?ええ、じゃあ3人で……田中さんいいですか?」

「みのりあんたお弁当じゃないの?」

「きょ、今日はちがうの!」

「そう、なら3人でもいいわよ」


今まで仕事以外の話をしたことがない田中さんに声をかけられ驚きながらも結局、3人で田中さんの案内で店にむかった。


「ここはお蕎麦もお魚もおいしいんですよ」

「そうなんですね」

「はい、私お昼はガッツリ派なんで」

「健康的でいいですね」

「ええ、立花さんはいつもコンビニのゼリー飲料ですよね」

「ああ、前はそうだったんですが最近はちゃんと食べるようにしているんですよね」

「そうなんですか」

「ええ、前はちゃんと食べると午後から眠くなるからってお腹が常に少し減っている状態で仕事をしてたんですが、最近は空腹にたえれなくなってきまして」

「引き締まった体になりましたもんね、ジムにでも通い始めたんですか?」

「いえ、健康のために休みの日は外に出るようにしたり自宅で身体を動かすようにしているだけですよ」

「そうなんですね、健康的でいいですね」

「体を動かすことはいいですね、夜はすぐ寝てしまいますしおかげで光熱費が浮いて案外経済的ですしね」

「ふふふ、現金ですね」

「あははは、そうかもしれません」

「…………」

「どうしたの?みのり」

「のりこはどうして急に立花さんを食事に誘ったの?」

「ああ、最近逞しくなったし仕事も早いからなにかあったのか食事しながら聞いてみようと思ったのよ」

「そう」

「ええ」

「あ…、こ、このお刺身ほんとうに新鮮でおいしいですね、鈴木さんもどうですか?」

「え?あ、ありがとうございます」

「おいしいですよね」

「そうですね!」


なんとなく気まずい雰囲気になった気がしたので耐えきれず鈴木さんに俺のお刺身定食のお刺身をわけて、場を濁した……と思いたい。


「え?私達自分の分は自分で払いますよ」

「ええ、誘ったのは私ですし」

「いえ、会社の近くの美味しいお店を教えていただいたし楽しい昼食がとれたお礼をさせてください」


正直6千円のランチは痛いがクエストを頑張って貯蓄しているしせっかく同じ部署の女性と昼食をとれて仲良くなれたし安いもんだと思い3人分の代金を支払った。


「なんか気を遣わせてすみません」

「いえいえ、デスクが近いですし仲良くお話してくれて楽しかったですから」

「私までありがとうございます」

「いえいえ、前にまた昼食をという約束が守れてよかったです」

「立花さん、また一緒しましょう」

「是非」

「あっ」

「鈴木さんもまた誘ってください」

「はい!」


にこりと笑い礼をし俺たちは午後の仕事にむかった。


「よし!では俺はこれで、鈴木さん、田中さん今日はありがとうございました、ではまた明日」

「お疲れ様でした」

「お疲れ様」


席を立つと同時にスマホがバイブしたので挨拶をし急いでタイムカードを押してトイレに行ってメールを開いた。


「お疲れ様です」

「お疲れ様です、今日はどんな依頼ですか?」

「本日は狩りです」

「狩り!?」

「はい、街の外にでて東へ15分ほど歩いた場所にある森ででもいいので5体狩りをしてください」

「期限は?」

「明日の昼までです」

「わ、わかりました」


俺は荷車に長さや太さがちがうロープやスコップ、そして弓と矢とショートソードを用意し教えてもらった森に向かった。


「暗い森ってこえぇなぁ…………」


アリスさんから渡されたランタンは火がついてなく代わりに光る石が入っていた、それをかざしながら真っ暗な森へ意を決してはいった。


「狩りって言ってもやったことがない…弓はあるけど当てれる自身もないしなぁ…」


通った道がわかるように木に大き目な傷をつけては地面に足跡がないか調べつつ歩いた。


「んー…仕方ない罠でも作るか」


異世界に来るようになり暇な時間にサバイバルや色々な雑学なんかも調べていたのでロープや自然の木をつかった簡単な罠を仕掛けることにした。


「ふぅ……こんなもんかなぁ……」


結局10個ほどの罠をあちこちに仕掛けることができた、落とし穴もつくりたかったが木の根が張り巡らされていてスコップが刺さらなかった。


「お疲れ様でした、狩れましたか?」

「全然です、動物すら見つけられませんでしたよ」

「そうですか…」

「罠をいくつか仕掛けたので明日の朝見に行ってみます、なので少し早めに来たいのですが」

「かしこまりました」

「じゃあ、今日はこれでおやすみなさい」

「お疲れ様でした、おやすみなさいませ」


アリスさんに見送られ自室に帰りシャワーをあび眠りについた。


「おはようございます」

「うぇ!?え?起こしに来てくれたんですか?」

「はい、まずお着替えを」

「はい、ありがとうござい……え?」


身体をゆすられ目を覚ましアリスさんが視界にはいったので急いできがえようとするとそこは異世界と繋がっている部屋だった。


「何度起こしても起きなかったのでベッドごとこちらに」

「そ、そうなんですね…すみません」

「では顔を洗って朝食をどうぞ」

「!?いつもありがとうございます!!」

「いえ、何度おっしゃってもお食事をないがしろにされていられるようなので」

「う゛…すみません」


その後、美味しく朝食を食べまだ日が昇る少し前の森にいった。


「まぁ、素人の罠にはまるような野生動物なんていないよ……いたぁ!?」


1つ目の罠に立派な鹿のような生き物がかかっていた。


「逆さ吊りになって頭に血が上って死んだのか?」


みると耳や鼻、そして口と目からも血や体液がでて息絶えていたのでロープをほどき回収し鹿もどきを袋に入れた。


「これ…1匹で荷車が満杯だ」


仕方ないのでアリスさんの元に1度もどった。


「アリスさん、1匹とれたんですがどうしたらいいですか?」

「お見せください…………」

「どうしました?」

「い、いえ、ちなみにこれはどのように?」

「昨日のうちに罠をしかけてたんですが1個めにいきなりかかってたんですよ」

「そ、そうですか……こちらは私がお引き受けいたしますのでどうぞ他の罠も見回ってください」

「はい!時間がもったいないのでいってきます!」


鹿もどきをアリスさんにわたし空になった袋を荷車にのせ再び森にむかった。


「お?今度はオオカミみたいなのがかかってる!…んー…なんとかなるか」


2つ目の罠にはオオカミのようなものがかかっていて息絶えていた。


「うそでしょ…………」


3つ目の罠にかかっていた大蛇をみて絶望し、オオカミと大蛇を袋に入れ再びアリスさんの元に戻った。


「…………ご一緒致しますので罠の場所すべて案内させていただけますか」

「…………はい」


呆れた顔をしたアリスさんを案内し残り7つの罠すべてを回った。


「……………………」

「……………………」


10個めの罠にかかっていた大きな熊のような生き物をみて俺たちは言葉を失った。


「…………は、はは…た、大漁ですね」

「…………どうやればすべての罠にかかるんですかね」

「わかりません…………」

「はぁ~……こちらは私がなんとか致しますので、立花様はお仕事のご準備を」

「え?でもアリスさんを一人残しては」

「森は私の方が慣れておりますのでご安心を」

「そ、そうですか、では俺はこれで」

「はい、お疲れ様でした」


いつも通り淡々と見送ってくれたアリスさんを残し森をあとにしてシャワーをあび着替えて出勤した。


「やっぱスーツが小さいな…しかたない今日の帰りに買い替えるか…」


小走りで駅に向かう中、窮屈になったスーツがうざくてボーナスを下ろす覚悟をきめた。


「それでは俺はこれで、お疲れ様でした」

「お疲れ様でした」

「立花さんお疲れ様でした」


いつもどおり定時に仕事を終わらせてタイムカードを押したんだけどメールが来ない。


「ん…なにかあったのかな…もしかして森でなにかあったんだろうか」

「あ、立花さ」

「立花様」

「え?アリスさん?どうしたんですか?」

「本日はお召し物の調達をしてください、行きましょう」

「え?ちょっと!」

「そのスーツでは見苦しさが倍増なさっておりますので」

「うっ!…買いに行こうとは思ってたんですよ…」

「そうですか、では参りましょう」

「一緒にですか?」

「はい、そうですが?まさかご自分でお選びになられるという暴挙をなさるおつもりなので?」

「お店の方に選んでもらおうと…ってアリスさんが選んでくれるんですか?」

「ご不満でも?」

「い、いえ!じゃあ申し訳ないけどお願いします!あ、コンビニでお金おろしていいですか?」

「かしこまりました、スーツをお選びになられたらクエストの確認をお願い致します」

「わかりました」


 こ、これは買い物デートってやつじゃ!日頃頑張ってた甲斐があった!神様ありがとうございます!!


「デートではございません」

「ひっ!す、すみません!!」


やっぱり心が読まれて!?こ、怖くて聞けない…………。


「今の…………彼女なのかな…………」


並んで歩く二人の背中が見えなくなると鈴木みのりはショックを受けたように帰路に着いた。





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