第7話
「えぇ……」
翌朝なんと4時!アリスさんに優しくたたき起こされて異世界にきて今、目の前に広がっているのは毒団子を食べたネズミ、そして多分だけどそのネズミをたべた昨日はみなかったエグイほど鋭い歯がたくさんついた魚や蛇、そして鰐に似た生き物の死体が昨日より少ないがこれでもかってくらい転がっていた……。
「どうなさいましたか?」
「滑車とロープそれに丈夫な棒を3本ほしいんですが」
「わかりました、こちらに」
余りに大きな鰐やらを外に出すにはもはや一人の力では無理なので俺は試しに部屋に行きアリスさんに道具をかりた。
「櫓滑車~!!……はぁ……がんばるか」
どこぞのネコ型ロボットの真似をしてみたがむなしくなったのでせっせと滑車をつかって引きあげようと思ったが重くて無理だった。
「ん~……」
「立花様」
「うひぃ!?ア、アリスさん!おどかさないでくださいよ!」
「それは申し訳ありません、しかしそろそろ向こうのお仕事の時間になられますが?」
「え!?ヤバ!!しかたない!これこのままで大丈夫ですかね?」
「はい、大丈夫だと思います」
「よかった!じゃあ仕事に行ってからまたお願いします!」
「かしこまりました」
アリスさんに見送られ自分の部屋にかえりシャワーを浴びなんとか遅刻せず出社できた。
「んー……」
「立花さん何をそんなに考えこんでるんですか?」
「え!?あ、ああ鈴木さん、いやちょっとね」
「??」
「重いものを滑車で釣りあげたいんだけど重すぎて」
「え?……んー、それだとドラムにロープを巻き付けるようにしたらどうですか?」
「え?」
「釣りなんかもクルクル回して巻き取りますよね」
「ああ!なるほど!試してみます!!ありがとうございます!!」
「!!…い、いえ!お、お役に立ててよかったですぅ!!」
なるほど!巻き付けか!テコだね!テコ!さすが鈴木さんだ!
両手を握って最大限の感謝をし仕事をこなしながらもあれこれ考え終業とともにメールが届きタイムカードを押してトイレから異世界にむかった。……いつもタイミングいいけど監視されてるわけじゃないよね……ね?。
「お疲れ様です」
「お疲れ様です!あの!」
「あの虐殺現場は私の方で依頼し撤去しておきました」
「え!?そ、そうなんですか?」
「滑車とロープでは持ちあげれないものもおりましたので」
「そうですか……次までに何か方法をかんがえます……」
「いえ、勝手な真似をして申し訳ありません」
「いやいや!ぶっちゃけ処分の方法もしりませんし助かりましたから!と、とりあえず清掃にむかいます!」
「はい、いってらっしゃいませ」
アリスさんに見送られ気分をきりかえ……あ!ゴミをあれでひきあげればいいんだ!
「すみません、アリスさんあの樽みたいなものってありますか?」
「なにをなさるおつもりで?」
俺は頭をかしげる姿が殺人級にくっそ可愛いアリスさんに考えていることを伝えた。
「なるほど…わかりました、こちらに」
ほんとなんでもあるんだな……この隣の部屋ってないものあるのかな……。
「ございますよ」
「ふひぃ!?ありがとうございます!行ってきます!!」
さらっとこたえられると怖い!。
「ほんとにきれいさっぱりなくなってるなぁ……よし!奥から掃除しますか!」
きれいさっぱり死体がなくなっていたので溜まって流れを止めているゴミやヘドロなどを次々袋に入れては滑車をつかい引き上げた。ドラムにまくって素晴らしい!ありがとう鈴木さん!ありがとうアリスさん!
「このゴミはどうしたらいいんだろ…聞くの忘れてた……」
「お疲れ様です。ゴミは専門の業者が回収に来る手はずをとっておりますのでこのままこちらにおためください」
「うぉ!?アリスさん!?わ、わかりました」
「それと日をまたいだので本日はこれくらいになさったほうがよろしいのでは?」
「え?もうそんなに!ありがとうございます!あと半分もないので明日には終わらせれると思います!」
「かしこまりました」
「そうだ……念のため」
「?」
「まだ毒団子が余っているんでせっかくだし掃除した場所以外においといてみます」
「そうですか」
残りの毒団子全部をまだ掃除が終わっていない場所にばらまいて自室にもどりシャワーを浴びて眠りについた。
「おはようございます」
「おはようございます……」
「まず、クエストに向かう前にそちらでお顔をあらってください」
「え?は、はい」
異世界へつながる部屋の洗面所で顔を洗うと座るようにいわれるがまま座るとテーブルにアリスさんがサンドイッチやサラダなどを並べだした。
「あの、これは?」
「みてわかりませんか?朝食です」
「は、はぁ」
「はぁ~…昨日もそうですが依頼後、食事もなさらず就寝なさっているようなので朝はしっかり食べてくださいね、倒れられて未達成では意味がありません」
「ああ、なるほど……ご迷惑をおかけします……では遠慮なくいただきます」
「はい」
「ん!!うめぇ!!」
「そうですか、よかったです」
「朝からアリスさんと食事できるなんてテンションあがるぅ!!おっしゃぁ!いってきます!」
「……いってらっしゃいませ」
若干、朝からドン引きされた冷たい目をされた気がしたが嬉しいものは嬉しい、そうだ俺はランクをあげてお金をためてアリスさんと食事に行くんだ!
「って……うっそぉーーん……」
目の前には毒団子を食べて死んでいる生き物が数体死んでいてさっきまでのテンションが嘘のようにまず死体を袋にいれたり滑車でひきあげた。
「どんだけいるんだよ……はぁ……まぁ…いいやろう!早くやって次のクエストやらなきゃ!アリスさんとのデートのために!!」
モチベを回復させこれから仕事があることもわすれハイペースでテンションの赴くままがむしゃらに清掃した。
「おっしゃぁ!あとは……これで……!!」
最後に水を流し汚れを下水にそのまま流し一応清掃はおわった。
「お疲れ様です!アリスさん終わりました!確認は誰に頼めばいいですか?」
「お疲れ様です、確認はこちらでいたします。時間もそろそろ迫っておいでなので手続等もこちらでおこないます」
「はい!いつもありがとうございます!あ!借りてた道具は荷車につんで外においてあります」
「かしこまりました、お仕事をがんばってください」
「!はい!!いってきます!」
表情はないけどたまに優しい言葉をかけてくれるアリスさん…くぅ……どこまでもモテないおれのハートを鷲づかみだぜ!と思っていると寒気がしたのでアリスさんをみれずに自室にもどりシャワーをあび仕事にむかった。
「あっ!立花さんおはようございます」
「おはようございます」
「うまくいきましたか?」
「え?」
「滑車です」
「あぁ!はい!ばっちりです!ありがとうございました!」
「いえいえ!お役に立ててよかったです!」
「いや、ほんと助かりましたよ!御礼にお昼ごはんぐらいはおごらなきゃってくらい感謝してますよ!」
「え?ほんとですか?」
「え?もちろんですよ!」
「じゃ、じゃあ、よろしくお願いします」
「え?」
「へ?……あの、お昼さそってくださったんですよね?」
「あ、ああ!俺なんかといいんですか?」
「はい!全然!これっぽっちも問題ありませんよ!」
「そ、そうですか、ではよろしくお願いいたします」
「はい!たのしみにしてます!」
「あ、あの……」
「なんですか?」
「俺気の利いた店をしらないのでできれば鈴木さんが行きたい店を……」
「ふふふ、いつもコンビニですもんね。わかりました任せてください」
「御礼なのに申し訳ない」
「いえいえ、じゃあお昼に」
「はい」
鈴木さんがデスクに戻っていったので俺はこっそり財布の中身を確認した…8千円!…足りるのかな…女性とランチなんてしたことないから相場がわからん…しかしおろしにも行けない…しかたない最悪カードをきるかぁ。
「立花さん、ではいきましょうか!」
「そうですね」
「ん?みのりどこかいくの?」
「うん、立花さんとお昼してくるの」
「へぇ…って!えぇぇ!?みのりが男とランチぃぃぃ!?しかもなんで立花さん!?」
「ああ、昨日困っているときに助けてもらったのでお礼です」
「そ、そうなんですか…みのり…まさか…」
「???」
「さ、さぁ!時間も限られてますし立花さんいきましょう!」
「え?ええ」
鈴木さんと仲がいい田中さんが大声上げて驚くから周りから注目され気まずい中、鈴木さんに手を引かれ会社を出てその後近くの決して一人では来れないだろうというおしゃれなカフェ?でランチをした。料理が来るまでと食べ終わるまで色々話をしたが鈴木さんは清楚で誰にでも優しい可愛らしい人だが気さくな人だと思った。隣の席だしいい人でよかったよ。
「立花さん、お疲れ様でした。今日は楽しかったです、あの…もしよろしければまたお昼を…」
「鈴木さんもお疲れ様でした。ええ、お礼のつもりだったんですがこちらが楽しんでしまって申し訳ない、また機会があればまた一緒してください」
「は、はい!」
「いつでも気軽にこえかけてくださいね、ではこれで」
「は、はい!お疲れ様でした!またあした!」
俺は鈴木さんに礼をして退社準備をした。予想ではそろそろアリスさんからメールが…ほらきた!。
「ちょっとみのり!」
「なに?のりこ」
「あんた急にどうしたのよ」
「なにが?」
「なにがじゃないでしょ!今までさんざん色んな部署の男から誘われても休憩室にすら付き合わなかったあんたがランチなんて!しかも立花さんなんかと!どういうことよ!」
「なんかなんて立花さんに失礼でしょ」
「あ、あんた…まさか…立花さんに…」
「な、なによぉぅ!あ、ああ!もうこんな時間かえりましょ!」
「ちょ!ちょっと!!みのりってば!!あんた相手は選びなさいよね!!」
恥ずかしそうに顔を赤く染めた鈴木みのりをみて焦る田中のりこが急いで帰り支度をし後を追って退社した。相談に乗る振りをして難攻不落の友人がどうやって落とされたのか飲みにでも誘って根掘り葉掘り聞くのが目的だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。