第6話
〇 登 録 者 タチバナ ダイスケ
〇 L V 14
〇 ラ ン ク E
〇 最高達成LV S
〇 達成回数 19
〇 未達成数 0
〇 保有金額 18,460ガル
「ふぅ~…あとすこしで200万もみえてきたのか…この連休すべてをクエストにささげた甲斐があった…」
明日から仕事だという連休最後の夜、日に日に増えていくガルに興奮していた。最近は体もクエストに慣れてきて前ほどダメージが残らなくなってきた、しかし明日から仕事なのでまた週末までクエストを控えなきゃならないのがきつい。
「あれ?太ったか?でもウエストが緩いな…」
翌日の朝、クエストメールが届かなかったので久しぶりにスーツに着替えるとYシャツの首まわりもふくめパツンパツンになっていてクエスト後の深夜にご飯を食べたりしたから太ったのかと少しショックを受けた、だってスーツ買いなおしは経済的にもきついんだもの。
「おはようございます」
「あ、立花さんおはようござ…」
「鈴木さん、どうしました?」
「い、いえ、立花さん連休中どこかにご旅行にでも行ってきたんですか?」
「いいえ?」
「そ、そうなんですか…随分健康的になられたなと…」
「そうですか?」
「はい、肌もなんか健康的にやけてますし、その…身体つきもどことなく逞しくなった気が」
「あ、ああ!健康のために少し運動したんで」
「そうなんですか、どこか雰囲気自体もかわったようなので驚いてしまいました」
「せ、せっかくの休みだったんで日ごろの運動不足を解消してみようかなと…ははは」
俺のデスクの隣にいる我が社人気No1の清楚系美人、鈴木みのりさん24歳(独身彼氏なし)がまだ何か言いたそうにしていたが笑ってごまかしパソコンの電源をいれ仕事モード感をだした。
「あれ?大輔、随分思い切ったイメチェンしたなぁ」
「ん?よう、お疲れ。そんなことはないよ」
「そうか?日焼けしてなんか体もでかくなってないか?」
「1週間の休みでそんなにかわるかよ」
「まぁそうだよな!」
「日焼けは運動不足解消に外に出るようにしてたからだよ」
「そうか、けどなぁ、なぁーんか雰囲気が変わった気がするんだよなぁ」
「日焼けのせいだろ」
「まぁ、そうか…そうだな!うん」
休憩室に飲み物を飲みに行くと同期で気さくな男、近藤元太がにこやかに話しかけてきた、今日は俺を知る会う人あう人がみんな同じことを言ってくる、たしかにクエストを必死にこなしてたから日焼けもしてるし日ごろ運動してなかった分、いくぶんか引き締まってるかもしれないと思いながら水を買い一気飲みしデスクにもどった。
「ふぃ~…やっぱデスマーチ後は定時に帰れていいですねぇ…じゃぁ鈴木さんお疲れ様でした」
「ふふ、そうですね。お疲れ様でした…あ、立花さんこの後なにかご予定がありますか?」
「え?ええ、このあと人と会う約束があるんですよ、じゃぁちょっと待たせているんでこれで」
「え?あ、はい…ではまた明日」
鈴木さんなにか用事でもあったのかな?まぁいい…スマホが2回バイブしたので急いでタイムカードを押しトイレに駆け込みメールをあけカウントダウンのあと異世界につながる部屋へと飛ばされた。
「立花様お疲れ様です」
「アリスさんお疲れ様です、今日はどんなクエストですか?」
「本日は少々危険ですが地下水道の1区画清掃です」
「下水清掃が危険なんですか?」
「様々な生き物がいる可能性もあるので」
「ああ、ネズミとかゴキブリとかいそうですもんね」
「まぁ、そうですね。しかしそのほかにも立花様の世界とは違う生き物なども生息していますのでもしもということがありますのでお気をつけください」
「は、はい!」
アリスさんに脅されるように言われると緊張感が変わるな…淡々といわれるとマジで怖いんだよね……。
「くっさ!……って!い、いまのもしかしてネズミなのか……?」
地下水道に入るとヘドロなのかなんなのか色々な異臭がしたのでタオルを口元にまいていると3,40センチくらいのネズミが横切っていった気がした。
「あ、あんなんゴロゴロいられちゃ掃除どころじゃねぇ……かまれたら指どころか手首がなくなるわ……」
俺はいったん戻ることにした、これは万全の準備が必要だ……。
「どうなさいましたか?」
「ちょっと聞きたいんですが……俺がいた世界もしくはこっちの世界でもいいんですが店で買い物ってしてもいいんですか?」
「はい、かまいませんが原則、異世界同士の道具などの持ち込みは禁止されております」
「そうですか…んー……」
「なにかお悩みですか?」
「ネズミなんかが予想より多かったんで駆除できるものがあればなぁと」
「なるほど、一度地図をお返し願いますか?」
「はい」
アリスさんに地図を渡すとアリスさんは地図になにやら書き込んでいった。
「お待たせいたしました」
「いえ」
「こちらに雑貨屋などの場所を記しておきましたのでお役立てください」
「ありがとうございます!あ、支払ってどうやれば」
「立花様のカードでお支払いできます」
「そうですか、んーしかたない!せっかく溜まってきたけど経費だ!とりあえず店を回ってみます。ちなみにこのクエストって期日があるんですか?」
「5日間以内です」
「え?そんなに!?」
「はい」
「じゃあ、今日は下準備に充ててもいいか……わかりました行ってきます!」
「お気をつけて」
期日が長いってことはそのぶん大変ってことだよなぁ……。
「んー…ん?すみません、あのこれって?」
「あぁ?毒百合の根さ、たまに混じってきて困るのさ」
「危険なんですか?」
「普通の毒百合なら観賞用にはいいんだがね、こいつは駄目さ!素手で触るだけでヤバいからね」
「そ、そうなんですね…」
「ああ、さっさと燃やして処分して来いっていってもうちの人もなかなか動いてくれなくてね」
「燃やせばいいんですか?」
「煙も猛毒だからめんどくさいのさ、一息すったら子供くらいならおっちんじまうんだよ。まぁ、煙になると10分くらいで毒もなくなっちまうんだけどね」
「そ、そうなんですね……あの、僕が処分しましょうか?」
「はぁ?大丈夫なのかい?」
「え?ええ、燃やすのにいい場所があるんですよ」
「そうなのかい?」
「はい!結構広い場所なんで大丈夫です」
「そうなのかい!ならちょっとまってておくれ!」
たまたま通った花屋で毒々しい紫のユリが捨てられているのが気になって尋ねてみてよかった。
「え?」
「この木箱全部そうなのさ!たのめるかい?」
「わ、わかりました!」
「木箱は捨てちまっていいからね!毒が染みついちまってつかいものにならないからね」
「は、はい!あのこれだけあるとあれなんで荷車をもってきます」
「ああ、たのんだよ!」
「はい」
直径40cmくらいの木箱が10個以上店の人たちではこばれてきて俺は急いで荷車をとりにもどり店の人に手伝ってもらって荷車に全部積んだ。
「よし!あとは火をつけるものも部屋にあったし、使えそうなものもいくつかもってきた……とりあえず現地に行ってどこで燃やすかかんがえてみるか」
せっせと荷車を曳き地下水道へむかった。
「ふむ、煙が流出しないようにしよう…あとは設置型の毒団子もつくってみるかぁ」
地下水道の中を歩き回り外につながる場所と区画の区切りを木の板とかをつかって片っ端からふさいで言った。
「よし、とりあえず半分もやしてみようかな…」
厚手の手袋をして木箱をあけていくと結構放置されていたのか2~3箱以外は萎れて乾いていた。
「よし!出口から遠いほうから燃やしていってみるか!」
自分が出入りする場所の目張りの準備をしあちこちに設置した木っ端などを集めたものに火をつけて、次にそこに適当に百合を放り込んでいって脱出した。
「ふむ、煙も漏れてないしあとは順調に燃え尽きてくれるのをまつか」
地下から煙がでていないことを確認してから煙の効果がなくなるまでの間を使って部屋からもってきたものをつかい毒団子をつくることにした。
「聞いてみるもんだな…地味になんでもあるんだよな…アリスさんが用意してくれてると思うけど…やっぱすげぇなあの人」
小麦粉や乾燥したトウモロコシの粉、魚粉もなぜか粉ものだけは品ぞろいがすごい気がするがアリスさんからゆずってもらい木箱の中で適当な棒を使い百合を潰しそこに適当に各粉を混ぜて行き最後に水を入れ2重にはいた手袋で団子にしていった。
「うん!すこぶるクセェ!」
あたり一面に異臭をはなつ毒団子入り木箱に蓋をして時間にして30分以上はたったはずなので少し出入り口のふたをあけてみると煙がなくなっていたので恐る恐る地下水道へ入ってみた。
「……すげぇ……思った以上の惨劇が……」
地下水道の降りるとそこには息絶えたネズミや蛇らしきもの、そして馬鹿みたいにでかい虫や、流れが悪くなっている水には鰐っぽいものまで腹をだして浮かんでいて、大量虐殺現場が目の前に広がっていた。
「と、とりあえず……この大量の死体を駆除するか……」
そこからごみを入れるようにもってきていた袋に次々と種類別に死体をいれては運んでいった。
「ふひぃ……多すぎるだろ……と、とりあえず……今日は団子を設置して終わるか……」
それからかなりの時間がたち外がまっくらになっていたので毒団子をネズミたちが通りそうな場所に設置してふさいでいた板をとりはずしたが死体をどうしたらいいのかわからなかったので一か所にまとめ荷車をかぶせて部屋へもどった。
「お疲れ様です」
「遅くなりました、あの明日の朝仕事に行く前に現場を一度確認したいんですが」
「かしこまりました」
「それと駆除した生き物ってどうしたらいいですかね?一応荷車をかぶせておいたんですが……」
「わかりました、こちらで対応させていただきますのでご安心を」
「ありがとうございます!では今日はこれで」
「はい、お疲れ様でした」
アリスさんに見送られ俺は自室にもどってきた、会社のトイレから異世界に行って自室にもどれるのって電車代が浮いて結構得している気分になるんだよね。
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「なんなのよ……あの量」
「仕事なんだからしかたないじゃない、それで?」
「多分、毒百合を使ってるわね」
「そう、毒百合なんておしえてないのだけれど」
「それは知らないけど、ご丁寧に燃やして使ったみたいね、毒が消えて一間、窒息にみえるけど間違いないわ」
「そう」
「とりあえず無傷で毒もなし、買い取れるものは最高額で買い取るわ」
「ええ、たのみます」
立花様がおかえりになられたあと、ナタリーに頼み駆除したものを引き取ってもらうと連絡が来たので向かった。結局数種類の魔物などもいて結構な額の買取金になったようだった。とりあえずこのクエストを無事に期間内でおわらせたらきっとランクがE+になる。
「不思議な人ですね……まぁがんばってもらいましょう」
気づけばクスっと笑っている自分に少し驚くが彼は面白い人なのでしょうがない。
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