第4話

 「おっしゃぁ!やるぞぉ!!」


 クエストをはじめて約1週間、仕事終わりや早朝にクエストをこなし一流の社畜としてしっかり仕事もやった……そして明日からやっと1週間の休み、今日の仕事終わりのクエストか ら1週間がっつり頑張ってみようと思う。


〇 登 録 者  タチバナ ダイスケ

〇 L    V  6

〇 ラ ン ク    F+

〇 最高達成LV   S

〇 達成回数    4 

〇 未達成数    0

〇 保有金額    2100ガル 


 わかるかね?4回のクエスト報酬でもこれだ!もうすぐ月収にとどいてしまうのだよ!ということは1週間がんばればもっと稼げるってことでしょ!これはアリスさんとの食事はおしゃれな店でいい雰囲気だせんじゃね?ということで意気揚々とクエスト内容を確認する。


「今回のクエストは2日にわけて行います」

「え?」

「本日は講習を受けていただき、明日がクエスト本番という形になります」

「わ、わかりました」

「講習費用は経費なのでこちらが用意しておりますし講習の終了証を提示して頂ければクエストクリアとなります」

「わかりました」

「では、本日は私がご案内いたします」

「え!?」

「なにか?」

「いえ!おねがいします!!」

「はい、ではまいりましょう」


まさかアリスさんと一緒に出歩けるなんて!幸先のいい最高の連休になりそうだ!


「つきました、立花様カードをお貸しください、私が受付を済ませてくるので少々おまちを」

「はい!おねがいします!」


なにかごっつい男たちや女性たちにもごっつい人が居る中、すたすたと華奢なアリスさんが歩いていくのは目立つなぁと思ってみていると受付嬢はアリスさんに負けず劣らずのルックスをもつ女性で眼鏡のせいか知的でクールなビューティーさんで驚いた、意外と世の中には美人は多いのか?それとも俺の周りにたまたまいなかっただけでどこにでもいるのか?などと自問をしていると受付をおえたアリスさんが戻ってきた。


「受付は終了いたしました、あの眼鏡の女性の指示にしたがって講習を行ってください」

「わかりました、ありがとうございます!なんかもうありがとうございます!」

「………………それではご武運を」

「はい!」


アリスさんが心なしか冷たい目でみながら戻っていった。


「あなたがタチバナさん?」

「はい」

「はじめまして私が今回あなたの担当となったナタリーと申します、よろしくお願いいたします」

「立花ですナタリーさん本日はよろしくお願いいたします」

「………………」

「どうかしましたか?」

「いえ、それではまずは座学となりますのでこちらへ」

「は、はい」


ここの 制服なのか少々タイト目なスカートで前を歩くナタリーさんだったが後ろからの不躾な視線にも女性は敏感だと会社の子たちが話しているのをきいている紳士な俺は必死に凝視しない様にしながら後に続いた。


「座学はこちらになります」

「はい、ありがとうございます」

「終わりましたら先ほどの受付におりますのでお声がけください」

「わかりました」


ナタリーさんを見送り部屋に入ると少年少女数名が席に座っていた。


「なにあの人……」

「あの年でデビューすんのかよ」


ヒソヒソと俺を見ながらいう少年少女達だったがデビューとか言われてもよくわからなかったのでとりあえず一番後ろの端の席にすわった。


「おそくなって申し訳ございません……うん、全員おそろいのようなので本日の講義をはじめますね、本日講師を務めさせていただきますカリンと申します」


色々な荷物を持って現れたローブをきた小柄な女性がぺこりと頭を下げ顔をあげると丸い大きな眼鏡がよく似合うおっとり系美人でおどろいた。


「それでは、本日みなさんには薬草と毒消し草の見分け方と採取の仕方をおぼえていただきます」


講義が始まりなにかメモでもとらなくてはとアリスさんに手渡されたカバンをあさるとノートとペンが入っていたので助かった。


「……というようにどちらも根は残してください、それから10本が束になるようにまとめて、この水を浸した布を切り口にまいてください」

「ZZZZZ……」

「ふむ、萎れたら買取が下がるのか…すみません」

「え?は、はい。なんでしょうか」

「茎の長さや太さ、それと硬さ、葉の数なんかも買取には関係あるんですか?」

「えっとですね、どちらもあまり大きすぎると茎と葉が硬くなるのでできれば花やつぼみのない物のほうが理想ですね、それと葉の数は多いほうがいいですがこちらも緑が濃くなっていると少々硬くなりすぎてしまっているかもしれません」

「わかりました、ありがとうございます…なるほど…」

「い、いえ」


周りの若い子たちが眠る中、俺はアリスさんとのデート資金のためその後も真面目に講義をきいた。


「それでは本日はここまでとさせていただきます」

「ありがとうございました」

「!?は、はい、お疲れ様でした」


俺が礼をいうと驚いた顔をしたカリンさんがペコリと頭を下げ退室したので俺はそのままナタリーさんの元へと向かった。


「ナタリーさん、講義がおわりました」

「はい、お疲れ様でした、では次は実技講習となりますので移動になります」

「はい、お願いします」

「はい、ではこちらに」


だいぶ遅い時間になっているが明日は休みなので集中して実技にうつることにした、実技っていうくらいだから実際に薬草なんかを採取するんだろう。


「ではこちらになります」

「ここは?」

「闘技場です、まずはご自身にあう武器はありますか?」

「え!?闘技場!?……い、いえ……武器はもったことがないので……」

「さようでございますか、ではアドバイザーに相談なさって見てください、ガルドさんお願いいたします」

「ん?おう!ナタリーこいつの適性をみたらいいのか?」

「はい、一度も武器をもったことすらないそうなので無茶させないでくださいね」

「がっはっは!まかせておけ!」

「それではタチバナ様わたしはこれで」

「は、はい!ありがとうございました」

「おい、タチバナっていったか?お前の武器を選ぶぞ!こっちにこい!」

「は、はい!よろしくお願いします!」

「おう!まかせておけぃ!」


スキンヘッドで日焼けしたガチマッチョで大柄なガルドさんに色々話しかけられたりちょっと体を押されたり手をみせたり腕を伸ばしたりさせられた。


「おっし!おめぇには2つ武器の適性がありそうだな!」

「二つもですか!?」

「馬鹿か!二つしかだ、普通の奴はもっとおおいわ!」

「そ、そうですか…はは……」

「まずショートソードだな、これなんかいいだろう。それと弓だ」

「弓!?」

「おう!んじゃ早速この模擬専用の武器をもて、実技指導してやる!」

「え?」

「俺がお前の講師なんだよ!ほらいくぞ!」

「は、はい!」


そのご俺はガルドさんに武器の構え方や使い方、手入れの仕方まで習い、そして体力の限界を迎え死んだ。


「なんだ!もうへばったのか!」

「す、すみません」

「ちゃんと飯を食って寝てんのか?おめぇはそんなひょろひょろしやがって」

「昨日は2時間ねました……ご飯は今日はまだ……」

「はぁ!?馬鹿かてめぇは!なにやってたんだよ」

「し、仕事を……はは、すみません」

「てめぇは飲み込みは悪くはねぇ!たりねぇのは体力だと思っていたが足りねぇのは休息と飯だ!身体が資本だぞ!」

「すみません……」

「てめぇはなんでこの仕事やろうとおもったんだ?」

「え?……それは…そのぉ」

「なんだ?女のためか?」

「そんな!……まぁそんな感じなのと…今の仕事は自分が何をやっていて誰の役にたっているのかもわからないんですが、この仕事はちゃんと俺を見てありがとうって感謝してくれるんですよね……それがうれしくてってのもあるかもしれません」

「へっ!そうかよ!んじゃ頑張らなきゃならねぇな!」

「はい」

「今度から武器のことなんか困ったことがあれば俺を訪ねてこい、いつでも相談にも訓練にも付き合ってやる」

「いいんですか?」

「おう!とりあえず今日は合格だ!かえって飯食ってゆっくりやすめ」

「はい!ありがとうございました」

「おう!」


俺はガルドさんに礼をいい受付にいった。


「ナタリーさん、実技おわりました」

「はい…って!タチバナ様だいじょうぶですかっ!?」

「え?は、はい、ガルドさんに色々おしえていただきました」

「そ、そうですか…それでは本日の講義はすべて終了になります」

「はい、ありがとうございました」

「タチバナ様のカードはのちほどアリスにお渡しする約束になっておりますが問題ございませんか?」

「え?そうなんですね、けど夜も遅いんでアリスさんには明日にするよう言ってみます」

「ふふ、かしこまりました」


女性の夜道は危ないからいっただけなのになぜか笑われてしまったがその後、部屋に戻るとアリスさんがいたので事情をつたえた。


「わかりました、では明日の朝とりにむかいます」

「はい、おねがいします」

「はい、では本日はお疲れ様でしたゆっくりお休みください」

「ありがとうございます…では」


アリスさんに見送られ自室にもどってきて服だけ脱いでそのまま眠りについた。


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「ナタリー」

「あら、明日じゃなくてよかったの?うふふ」

「……うるさい」

「あなたを女の子扱いしてくれる貴重な子じゃない……ふふ、それに私を凝視しないように一生懸命目をそらしてたわよ?」

「……そう、それより今日の彼の評価はでてるんでしょうね」

「アリス!」

「カリン?」

「あのタチバナさんって人すばらしいわね!私の講義を最後までちゃんときいてくれて質問まで!!」

「そ、そう」

「ええ!今度個人的に相談に乗ってあげようと思うわ!」

「!?」

「おう?アリスきてたのか」

「ご無沙汰しております」

「マスター、タチバナ様の評価は?」

「ああ、Sだ」

「え!?」

「ぶっちゃけあいつは戦闘にはむいてねぇ、適応武器も片手剣と弓しかなかったしな」

「ではなぜ……」

「飲み込みの速さと素直さ……それと心意気がいい」

「そ、そうですか」

「お前の担当なんだろう?」

「はい」

「女のためっておめぇのためか?何を約束させたんだ?」

「え?」

「!!」

「約束というほどのことではありませんがD級になったらお祝いで一緒に食事をしてもいいとだけ」

「ほぉ~お前がか?随分めずらしいじゃないか」

「それでモチベーションがあがってくれたのでしたまでです」

「あらぁ~、ほんとにそれだけ?」

「……当然でしょ」

「ふぅ~ん…じゃあギルドの担当は私だから私も食事の約束でもしてあげようかしら」

「二人とも抜け駆けはなしです!私も参戦します!!」

「がっはっはっは!」

「……二人とも好きにしたらいいわ…まぁ無駄だと思うけど」

「ふぅ~ん、おもしろいじゃない!」

「まけません!!」


挑戦的な視線を送るアリスにナタリーはニタリと不遜な笑顔で答え、ふんぬとカリンも気合を入れていた。


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「ふがぁぁ~…がっ!……はぁはぁはぁ…なんか急に寒気が!!」

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