第1話
目覚ましの音が部屋に鳴り響いて目が覚める。時計を見ると、いつもより30分早い時間である。
俺は、寝ぼけた頭で『なんでだ?』と思いつつ、目をあけて、部屋を出る。
そして、洗面台に向かうと、俺の妹(鳥山 風華)が、「おはよぅ~~」と、魂を抜かれたかのような声であいさつしてくる。
そんな、風華に「おはよ」と短く返し、顔を洗って、リビングの椅子に腰をかける。
そして、机にある母が作ってくれた、目玉焼きパンを食べながら、目覚ましが早くに鳴った理由を思い出す。
『あぁ、今日、高校の入学式か』そう思っている間にも、パンを食べ終えて、高校の制服へと着替える。
そして、いつもなら絶対に触らないワックスに手をかけている。いわゆる、高校デビューだ。鏡を見ながら髪と戦うこと15分、鏡の前から離れて、朝ごはんを食べている風華に「おかしくないか?」と聞いてみる。
すると、「・・・誰?」と、まさかの返事である。
「はぁ?お前の兄の鳥山 優誠だけど・・・」「ホントに?」
「ホントに!」
「薄い本の隠し場所は?」
「2段目のタンスの奥」
「悪いテストの隠し場所は?」
「ゴミ箱の中」
「ホントにお兄ぃだ!!」
「風華、家に帰って来たらお話しようか」
「すいませんでした」と、朝から兄妹コントをしていると、時間はギリギリになっていた。「ヤバい時間だから、行ってくる、鍵閉めといてくれ」
「はぁ~い」
「行ってきます」
「行ってらっしゃぁ~い」と、のんきな返事が返ってくる。その声を自転車に乗りながら聞き、急いで学校まで行く。
俺の高校は動物園だった 静寂の吹雪 @Fubuki1030
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