第32話 ロリ先生の完全対応と俺の不安 後編

「さぁ、お昼ご飯の時間だよ」


「はーい!! ごはんは、おじちゃんが作るの?」


「ううん、今日はまこちゃんがいるから、レストランで食べまーす」


「やったー!!」


「イェーイ!!」


……ぬり絵より、レストランの方が機嫌取れるなこりゃ。


「じゃあお出かけする前に、お片付けしてくださーい」


「は~い」


2人が片付けをしている間に、俺はコップをお盆に戻し、キッチンまで持っていった。再び待たせないように手早く洗ったつもりだったが、洗い終えるとすぐに、2人が片付けを終えて1階に下りてきた。


「もう終わったの?」


「おわったよー」


「ちゃんとキレイにしたの?」


「うん!!」


かなり散らかっていたが……まぁ、彼女がいるから早いのは当たり前か。そう納得すると、出かける準備をして、3人で家を出た。


「まなちゃん」


「ん~?」


「この白い線の上歩いていこう!! 黒いとこ歩いたら負けだよ!!」


「うん、いーよ!!」


そして2人で一緒に、道路の白線の上を歩き始める。俺も小さい時はよくやったなぁ。あるあるだなぁ。……なんてことを考えてる場合じゃない。もし2人が、白線ばかりを気にして、前方や曲がって来た車に気付かなかったら……。それだけは、絶対に避けなければならない。

 小さな決心をした俺は、いつも以上に近くを走る車に集中した。俺がそんな重要任務に迫られる中、彼女たちもまた、危機に直面するのだった。そう、道路の白線というのは、直進する際、曲がり角で必ず途切れてしまうのだ。これでは、白線の上を歩き続けられない。


「いくよ~!!」


しかし、子供というのは「無理」という言葉を知らないのだ。大人から見れば無理なことにも、子供は全力で取り組み、できると信じて疑わないのだ。


「えいっ!!」


まこちゃんジャンプ!! も、当然半分も行かずに終わってしまった。あるあるだなぁ。


「3回までは、黒いとこ踏んでもいいことにしよう!!」


そして急に追加ルールを作る。これまたあるあるだなぁ。そんなTHE・こどもなまこちゃんに微笑みながら、車に警戒しながら、いつもよりゆっくり歩くこと10分、以前来たあのレストランに到着した。

 相変わらず隠れ家のような雰囲気を持つそのレストランの店内は、やはり客が多かった。


「3名様ですか?」


「はい」


そう答えると、こちらへどうぞー、と窓際の席に通された。


「また来ていただいて、ありがとうございます」


前回接客してもらった店員さんが、当然のように笑顔でそう言った。


「覚えてるんですか?!」


前回の来店からは日が空いているし、これだけの客数を毎日こなしているのだから、忘れて当然なのに。


「えぇ、娘さんがあまりにも可愛いものですから」


あぁ、なるほど。たしかに、彼女の顔面は強すぎて、一度見たら強烈に印象に残るだろう。彼女は今日も、完璧なロリ顔をつくっている。


「今日は、可愛い女の子がもう1人増えているようですが。こんにちは」


店員さんが笑顔でまこちゃんにそう言うと、まこちゃんは恥ずかしそうに、


「こんにちは」


と答えた。やはりまこちゃんは人見知りのようだ。その姿は、店員さんの言う通り「可愛い」。

 その後、ハンバーグも美味しかったけど、別のも食べてみたいなと思った俺が、とんかつ定食とサラダ、そう、「サラダ」を注文し、彼女たちは2人ともお子様ランチを注文した。

 料理を待つ間、2人は手遊びをしていた。その遊びは有名なもので、もちろん俺もしたことがあるのだが、(え、そんなのあったっけ?)という新機能がたまに出てきて、一緒にやろう!! なんてことを言われたら終わりだなと思った。そんな新機能も、彼女はしっかりリサーチ済みのようで、完璧に対応出来ている。さすがだ。

 2人の手遊びを微笑ましく見ていた俺だったが、事件が起きたのは、3ゲーム目終了後。


「ねぇ、次はおじちゃんも一緒にやろう!!」


(あぁ、やはり言われてしまった……!! 断ったらまた冷められちゃうかもしれないし、でも許諾しても、いちいち教えてもらいながらやったらもっと冷められちゃいそうだし……いや、でも……いや……あー!! どうするのが正解なんだ~!!)


「お待たせしました、とんかつ定食です」


(店員さん……!! 神タイミング!!)


「あ、料理来たから、また後でやろうね」


「うん!!」


よし、これでなんとか乗り切った。子供に言う「後で」は、結局子供は忘れてくれるものだ。

 2人のお子様ランチも到着すると、


「いただきま~す!!」


と言って、3人で食べ始める。初めて食べたとんかつも、もちろん美味しかった。そしてお子様ランチのオムライスの上にはもちろん、旗が刺さっていた。


「ハンバーグおいしいね!!」


「からあげもおいしいよ!!」


2人が楽しそうに昼食を食べる姿を見て癒されていた俺だったが、ふと、不安に苛まれるような、ある可能性に気付いてしまった。そう、この癒し空間には絶対に似合わない、最悪な可能性。

 今日の計画である、幼女との性的行為。それは、ロリコン教育の授業の終わりと言っていい。ロリとの接し方を教えに来た、彼女の「先生」としての最後。つまり……

 

 彼女とはもう、一緒にいられなくなるのだろうか。

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