第5話 ロリ先生の入浴と俺の性欲

謎の契約を終えると彼女が、


「じゃあ...ご飯も食べ終わったし、次はお風呂に入りたいわね。浴槽は洗ってあるのかしら?」


と聞いたので、お風呂というワードに少し胸を高鳴らせながら、


「あぁ、今日はまだ洗ってないんだ」


と言うと、


「じゃあ、洗ってくるわね」


と言われた。しかし、さすがになんでも任せすぎだと思い、


「いや、俺が洗うよ。ご飯も作らせちゃったし」


と言ったのだが、


「さっき言ったけど、潔癖症があるから、自分がキレイだって確かめたお風呂にしか入れないのよ。だから、私にやらせて」


と言われてしまったので、お願いすることにした。


「あなたは何時に寝るのかしら?」


なぜそんなことをいきなり聞くんだろう。


「11時かな?」


「じゃあ、まだ時間に余裕があるわね。心行くまでお掃除してくるわ!」


なるほどそういうことか。じゃあ、何時間も掃除をするということか?

 そう言うと彼女はルンルンで風呂場へと向かって行った。その背中を見ながら、ふと、こんなことを考えた。


 もし、彼女が俺の妻だったらどうだろう。俺はソファに座りながら、目を瞑って考える。可愛いし、何やっても基本的に怒んなそうだし、怒っても可愛いし、様々な面で豊富な知識を持ってるし、可愛いし、イラつく言い方も、可愛いから許せるし、家事はなんでもやってくれるし、それよりなにより可愛いし...え、最高の奥さんになるんじゃね?! と思ったところで、相手が5歳ということを思い出した。結婚なんてできるはずないし、彼女が成年になるまで待っていたら、俺はすっかりおじさんだ。夢見られてるだけでも幸せってか、トホホ~...なんてことを考えているうちに、俺は眠くなってきた。きっと彼女のことだから、時間をかけてしっかり掃除してくれるだろう。そう考え、彼女が掃除を終えるまでの間、少し休むことにした──────










 ねぇちょっと、という声と共に、体が揺さぶられる感覚がしたので、俺が目をあけると、めちゃくちゃ可愛い女の子の顔がすぐ目の前にあり、


「起きてってば」


と言った。


「うわぁ~!!!!」


再び一気に心臓が高鳴った俺は、危うくソファごと倒れるところだった。


「あら、驚かしてごめんなさい。だって、全然起きないから...」


と彼女が言ったので、興奮した心臓をなんとかなだめ、


「驚いたっていうのもあるけど、可愛...


「風呂を沸かすのは、どうやるのかしら?」


無視だけでなく、割り込みという新技も使った合わせ技で、発言が無かったことにされた俺は、 


「ふろ自動、ってとこ押したら自動で沸くよ」


と、いたって普通に教えてあげた。


「わかったわ。ありがとう。お湯は熱めとぬるめ、どっちが良い?」


と聞かれたのだが、熱め、と答えようとしたところで、あることを考え、数秒の間の後、


「今日は、ゆっくり浸かりたいから、ぬるめかな」


と答えた。すると彼女は、


「分かったわ」


と言って頷いた。はぁ、危ない。危うく熱めと言ってしまうところだった。

 そう、俺がぬるめのお湯にゆっくり浸かりたいのには、ちゃんとした(?)理由があった。


 それは、彼女が浸かった後の湯船にゆっくり浸かる…というものだった。熱めのお湯にしてしまえば、彼女があまり湯船に浸かってくれないかもしれないし、その後の俺も、彼女の浸かった湯船を楽しみきれない。あぁ、我ながら天才だ!!

 欲を言えば、一緒にお風呂に入ったり...なんて考えていると、


「押してきたわ。あれ、給湯は自動で止まるのよね?」


と彼女が歩きながら聞いたので、ニヤニヤ顔を真顔に戻し、


「うん。止まるよ」


と教えた。よかった、まぁまぁ自然に答えられた。

 それから2人でテレビを見て、ちょっと間を置いてから、俺がドキドキしながら、


「お風呂…一人で入るの?」


と聞くと、


「あ、当たり前でしょ?! 急に何を言い出すのよ!」


と、顔を真っ赤にして言われてしまった。


(ですよねー。悲しいわぁ)


 彼女の顔は、再び赤みを帯びている。その赤みは怒り? それとも...なんて考えていると、


「お風呂、先にいただくわね」


と言われた……ん?! なんと?! 彼女から、「先に入る」と言われたではないか!!

 彼女のことだから、「一番風呂は差し上げます」とか言ってくるんだろうなと思っていたのだが、自分が先に入ったら、彼女の浸かった湯船に入ることができないので、「先に入って」と言われたら、死んでも拒絶するつもりだったのだが、まさか彼女から言ってくれるとは!!


「もちろん。いいよ」


と普通に言ったものの、心と体はかつてないほど興奮していた。ついに、ついに俺にも幸福が訪れる…!! 今までの人生を、耐えてきた甲斐があった…!!

 

(♪~お風呂が沸きました)


待ちに待った音が聞こえてきた。すると彼女が、


「じゃあ、お先に失礼するわ」


と言って、立ち上がった。

 シャンプーどこにあるか一緒に行って教えてあげようか? ボディソープも、なんなら一緒に入りながら教えてあげるよ、と言うと彼女は、結構です、と言って、パジャマと歯ブラシを持って、脱衣所へ消えていってしまった... ん? パジャマ? 歯ブラシ? そんなの無かったよね? どこから持って来た? と思って、部屋を見渡すと、そこには先程まで無かったはずの大きなキャリーバックが置いてあった。俺が眠っている間に、どこからか持ってきたのだろうか。一体どこから? それより俺は、その中身に興味が湧いていた。


(もしかして…下着…とか?!)


と思い、キャリーバックに近づいた俺は絶句した。なんとそのキャリーバックには、24桁の英数字でロックがかかっていたのだ。当然、諦めた。くっ、さすが、抜かりないな。だが俺には、ラストにとっておきの入浴タイムがある!!


 俺は、身体が異常に興奮して、その場にじっとして居られず、とりあえず脱衣所に行ってみた。すると、浴室のドアの向こうからは、水の音が小さく聞こえた。おそらく、浴槽に浸かっているのだろう。今彼女が入っている湯船に...俺は...このあと...!!


 そこでようやく、自分で自分が壊れているのに気が付いた。

 リビングに戻って深呼吸する。吸って...吐いて...自分に言い聞かせた。落ち着け。別に彼女の素肌に触るわけじゃないし、彼女の裸を見る訳でもない。大したことはない。ただ普通に風呂を楽しむのだ、普通に...すると、


「あがったわよ」


と声がした。見ると、彼女は、下はピンクのパジャマのズボンを履き、上には黒いタンクトップを着て、髪を丁寧にバスタオルで拭いている。先程までは着込んでいて分からなかったのだが、少し胸に膨らみがあるように見えた。いや、ロリコンなので、もちろん貧乳派なのだが、やはり女性の胸はいいなぁと見つめていると、


「なによ」


と言って隠されてしまった。慌てた俺は、咄嗟に誤魔化す。


「いや、そんな格好で寒くないのかなぁって思ってさ」


「ええ、平気よ。風呂上がりすぐに服を着ると、ムレて、せっかくキレイになったのに、また汗をかいちゃうでしょ? だから嫌なの」


次に彼女は白いバックから何かを取り出し、手に出したかと思ったら、それを顔へ持っていき、ゆっくりとのばしていった。


「何それ」


「あぁ、これは化粧水。お化粧するわけじゃないけど、肌が乾燥するといけないから」


なんとなくそのまま見続けていると、次は青色のものを出し、その中のクリームを手ですくうと、それを腕に塗り始めた。


「それは?」


「これは保湿クリーム...って、さっさとお風呂入ってきたら?」


と言われたので、たしかにそうだと思い、俺は脱衣所に向かった。

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