第2話 ロリ先生の登場

 そんな生活を何年も続けていたある日のこと。その日もいつものように公園のベンチに座っていると、ピンク色のボールが転がって来た。それを追いかけて来たのは、5、6才ぐらいの女の子。薄紫っぽい色のモフモフな服を着ていて、可愛い。髪は短めで、長いの方が好みなのだが、それでも可愛い。ボールを手に取り、


「はい、どうぞ」


と俺が優しく言って手渡すと、


「ありがとっ」


と恥ずかしそう言われた。人見知りなのだろう。ますます可愛い。今すぐにでも頭を撫でてあげたいが、初対面でいきなりボディータッチは嫌われてしまうと思ったので、欲をなんとか堪え、その子が走って行く後ろ姿を見つめた。

 すると、今まで気付かなかったのだが、少し離れたところに、木の幹に隠れ、こちらを見つめる女の子を見つけた。5才ぐらいだろうか。というか、めちゃくちゃ可愛い!! いや結構マジで可愛い。今まで公園で見てきた数々の女の子の中でも、1番可愛いのではないだろうか。ロングの髪に黒いロリータ服を着て白い小さなバッグを身に付け、更に透き通った白い肌に、キレイな目、小さな鼻、ふっくらした唇と、かなり顔が整っていた。ちょっと怒っている感じが、これまた可愛い!! 正直、めちゃくちゃタイプだった。


「どうしたの?」


優しく声をかけたつもりだったのだが、あまりの可愛さに性欲と心臓が高鳴って、声が震えてしまった。それを聞いたその子は、ため息を一つ吐くと、


「今見てたけど」


と、ちょっと大人びた綺麗な声ながらも怒りのニュアンスを含んだ声でそう言って、俺の方に近づいて来る……ん?! ち、近づいてくる?! どうしよ!!そして、俺の目の前に来ると、腰に手を当て、こう言った。




「あなた、それでもロリコンなの?」




…え? …今何て言った…?

 俺が何を言われているのか分からず、混乱していると、その子は腰から上半身を折り曲げて、顔を近づけてきた。

(ち、近いってぇ…!!)

心臓がバクバクしている。


「え?」


やっとのことで声を絞り出したが、それは、拍子抜けしたものだった。


「あの子のこと可愛いって思ったのよね?それなのになんで体も触らず逃がしたわけ?」


その子のキャラが段々分かってきて、心臓がそこそこ落ち着いてきたので、なんとか質問に答える。


「い、いや、いきなり初対面で触ったら、嫌われちゃうかなぁって思って...って、子どもに向かって何言ってんだ?俺は」


俺はバカか。いくら態度や発言が大人でも、相手は小さな子ども。こんなことを話すなんて、間違っている。すると、


「はぁ~...」とその子は大きなため息を吐いた。


「あなたいくつ?」


やはり発言は子どもとは思えない。


「32だよ」


あえて淡々と答える。


「いつからここにいるの?」


「25ぐらいからだったと思うよ」


俺が曖昧な記憶ながらも答えると、その子は目を細めて、


「大人の女に興味ないでしょ。まさか童貞?」


と聞いてきた。これにはさすがに驚いた。この子の親は、一体どんな教育をしているのだろうか。


「そうだよ。よくそんな言葉知ってるねぇ~」


驚きを隠し、それまでのニュアンスを崩さぬようにそう言った。すると、


「たしかに年齢的にはまだ5歳だけど、私を子ども扱いしないでちょうだい。というか、一度もヤったことないロリコンが、毎日幼女を見てたら、ストレス溜まるでしょう。「それ」も相当不満なんじゃない?」


と言ってその子は俺の下半身の「それ」を指さした。俺が見ると、気付かないうちに、それが...その...元気になっていた。俺が焦ってコンビニの袋で隠すと、


「まあ無理はないわね。童貞ロリコンが黒髪ロングのロリータ服少女を見たら、誰だって起つわよ。顔も好みなんでしょ?私の顔がロリコン好みの顔なのは大体分かるわ」


と、その子は言った。さっきから、まるで全てを知ったかのような発言が続いている。この子は、本当に、一体…


「君は一体、何者なんだ?」


すると、その子は少し考えた後、


「あなた、家はあるの?あるなら連れてって。そこで教えてあげるから」


と言った。


「親には言ってあるのかい?」


俺が当然の疑問を投げかけると、


「それなら気にしないで。家に帰るつもりは無いから」


迷いなど微塵もない顔でそう言った。


「でもこれって誘拐になるんじゃない?」


「だから子ども扱いしないでってば」


「いや子どもじゃなくてもお持ち帰りは誘拐だよ?」


と、ちゃんと正論を言ったのだが、彼女は無視して歩き出した。

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