第7話

 夜はクラウディアとお互いの親睦を深める事に集中したいと思う。


それでいい感じになれば、その、あの、・・・ウォッホン・・ゴホン。


 夜も更け、寝着に着替え、そわそわと自室から繋がる寝室へ行く。

クラウディアはまだ来ていない。


寝台の中心より左側に入り、座った姿勢をとり枕をクッション代わりに腰部に当てる。


しばらくするとクラウディアの私室に繋がる扉がガチャリと開いた。


入ってきたクラウディアが何やら戸惑っている様子なので、私の空いている右側を軽く二度叩いてみる。


するとモソモソと私の右側に入ってきた。


「もう少し後ろへ。」


そう促すと、私の腕とクラウディアの腕が軽く当たる。

それだけなのに最高に楽しい。


隣に柔らかく温かい存在があるだけで胸が高鳴る。

私は布団の中で片膝を立てる。理由は聞かんでくれ。


「話をしよう。今まで話した事があることも。話した事がないことも。」


それからたくさんの話をした。

好きな本や好きな音楽。

好きな場所や好きな菓子。


初めて会った日のことも話した。

あれはクラウディアにうまい菓子をたくさん食べて欲しくてあんなことをしてしまった。そしてうまそうに食べる姿をいつまでも見ていたかった。今思えば子供過ぎて恥ずかしい。


クラウディアは怖かったそうだ。

だが失礼があってはいけないと頑張って笑顔を見せていたそうだ。

あの時のことを「一目惚れだったのだろうな。」そう言うとクラウディアは驚いた顔をした。


「最近のお気に入りの小説は『刀鍛冶の異世界クラフト生活』という物語ですわ。」


「あぁ。それだったら私も読んだ。非常に面白かった。特に面白かったのは敵国に捕らえられた女戦士を救出する話しだな。」


「私もその話しが大好きですわ。」


「最近は『ふざけたラビリンス』を時間のあるときに読んでいる。」


「私は途中で止めてしまいました。気持ち悪いオランウータンが出てきますでしょう?

それがどうしても受け入れ難くて。」


「ならばそこは読み飛ばせばいい。その後の闘いなどなかなかのものだぞ。」


「そうしてみますわ。殿下は『転生したら無人だった。だからライフスタイル重視で生きていく』ってご存じですか?」


「いや、知らないな。」


「きっと気に入っていただけますわ。

島の領主になって領地を発展させていく様子は色々と考えさせられますわ。」


こんな風に他愛もない会話をしていると時間はあっという間に過ぎて行った。


 このまま話し続けていると夜が明けてしまいそうなので、そろそろ寝ようと思う。話しの続きはまた明日。


 クラウディアの手を取り「また明日」と言いながら指先に口づけをする。


「お休み」と、ぐっすり眠って欲しいので額にも口づけをする。


「いい夢を」と、いい夢を見て欲しいので瞼にも口づけをする。


これでクラウディアの頭の中が私でいっぱいになればいいのに。


やはりクラウディアは秒で寝た。


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