第4話 進化

その後もスケルトンを倒しながら進んでいたが、新しいスキルが増えることはなかった。


『ポンッポンッ』


 ゴムボールが跳ねるような音が聞こえる。

 スライムだ。

 バレーボールぐらいの大きさで、跳ねる度に沈む身体は気持ちよさそうだ。


『スケルトンと違って可愛いなー!』


『ポヨンッ!ポヨンッ!』


 スライムは俺目掛けて体当たりをしているが全く当たらない。

 可愛くて観察していると、奥から新しいスライムがでてきた。


『増えられるとめんどくさそうだな。そろそろいくか』


 攻撃が当たらないので気にせず歩いていたが、気がつけば大量のスライムが付いてきていた。


『ずっと付いてこられると困るな。

 仕方ないソウルハント』


 スライムは消滅した。


『スキルを獲得しました』


『おっ?』


 頭の中でステータスと唱える。


 種族 ゴースト level7


 ユニークスキル

 ソウルハント


 スキル

 骨生成 骨再生 吸収 鑑定


 吸収

 対象に手を向ける。生命の無いものを吸収できる


 鑑定


 吸収したものを調べることができる。


 スライムの能力か。たしかスライムって小説とかだとゴミも食べたりする雑食だったけ?

 命あるものはダメみたいだな。

 安心したような残念なような、なんともいえない気持ちだった。

 鑑定は使えそうだな。ここが異世界である以上知らないものがあるだろうし。


『そういえば...』


 周辺の光っている石に近づいた。

 鑑定を使えばこの光ってる石の正体もわかるんじゃないのか。

 そう思った俺は石に手を向けた。


『吸収!』


 重力がなくなったかのように光ってる石が浮きだした。そして俺のモヤに取り込まれ消えていった。ソウルハントの時と似た感覚だ。


『鑑定』


 ミスリル鉱石

 魔力を伝導しやすい鉱石。魔道具などに使用される。


 聞いたことのある名前だな。

 てことは、この周辺にある光ってる石は全部ミスリルなのか?

 そう思い他の光ってる石も吸収し、鑑定してみた。


『お?違うやつがあるな』


 オリハルコン鉱石

 非常に高い高度を持っている。アクセサリーなどに使用される。


 アクセサリーは使い道がなさそうだな。

 吸収しながら進んでいると下に進む階段がでてきた。


『下かー。地上から遠ざかってしまうよな』


 でもいざとなれば上に向かって飛べばいいし、別に急いでる訳じゃないしな。

 それに新しいスキルが増えるかもしれない。

 とりあえず進んでみるのもありか。


『よし!いくか!』


 そう決心した。

 階段を降りてしばらく進むと、


『ウオォォォォ』


 ゾンビだ。肉体が腐っているのだろうひどい臭いがしてきた。


『ゲームで見たことあるけど、生は臭いしグロいなぁ』


 しかし襲ってくる気配はなかった。


『目が見えてないのか?』


 ゴーストの俺は浮いているし足音は出ない。

 そのままゆっくり近づいて


『ソウルハント』


 ゾンビは消滅した。


『進化可能levelに達しました。進化しますか?』


『えっ進化?』


 初めての出来事に驚く。


 種族ゴースト level10(進化可能)

 進化先→ヘルゴースト

 進化しますか?

 Yes/No


 と目の前にでてきた。


『ヘルゴースト...ゴーストの上位互換か何かか?』


 とにかく今より強くなれるならそれでいいや。

 俺に迷いはなかった。


『Yesだ!』


 Yesを押した。

 その瞬間、全身を光が覆った。

 不思議な感覚が体を包み、殻を破るように光が弾けた。


『進化が完了しました。

 ヘルゴーストに進化しました。』


 特に変わった感じはなかったが、体から力が湧き出るような気がした。

 ステータスを確認した。


 種族 ヘルゴースト level1


 ユニークスキル

 ソウルハント


 スキル

 骨生成 骨再生 吸収 鑑定


 種族以外は変わってなさそうだが、levelが1にもどっていた。

 しかし、進化前より強くなっている気がした。


『とりあえず強くなったかゾンビで試してみよう』


 ゾンビを見つけ出したがそこで気づいた。

 ソウルハントしか使えないのだ。


『ソウルハント』


 ゾンビは消滅した。


『...』


 つよくなったのかまったく分からなかった。

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