第3話 スキル
どうやら幽霊になってしまったらしい。
小説などで見たことがある。これはおそらく異世界転生だ...。
そういえばこの体って何ができるんだろ。
浮いてるってことは飛ぶこともできるのか?
あるのかも分からない神経を集中してみた。
徐々に高くなっていく。
『おお!飛べた!』
そのまま宙を旋回してみた。
めちゃくちゃ楽しい。鳥っていつもこんな気持ちなのかな。
調子に乗ってスピードを上げてみた。
『ゴオオオォォォ』
風切り音が聞こえる。
やばっ。曲がりきれねえ!壁にぶつかる!!
反射的に目を閉じた。
...あれ。痛みがない。
そっと目を開けた。
真っ暗だった。
前に少し動いてみると、光が目に入ってきた。
元の場所だ。
後ろを振り返るとむき出しの石の壁があった。
通り抜けたのか?
壁を触ろうと手を伸ばしてみた。
手が壁のなかに飲み込まれていく。
やっぱりさっきのは壁の中か。
確認できたのは飛ぶことができる。
物体や体に触れることができない。
この二つだった。
通り抜ける事が出きるので、真上にひたすら飛び続けたらおそらく地上に出れるだろう。
だが、今すぐ地上にいったところで幽霊の自分と話をしてくれる人間がいるとは思えなかった。
ここを進んでみるか。
飛び回ってる時に気づいたんだが、俺が今いる場所から右側に道らしきものがあった。行く宛もないのでとりあえずここを行くことに決めた。
少し進むと、前からカシャッカシャッと何かの音が聞こえてきた。
誰かいるのかな。
だんだんと音が近づいてきて、その正体が見えてきた。
剣を持っている骨だった。骨が歩いてるのだ。
『ス、スケルトン!?』
その言葉と共に目があった。
俺を認識した瞬間、剣を振り上げて襲いかかってきた。
ヤバい切られる...と思ったが剣は俺の体の中をすり抜けていった。
剣が通った道は一瞬モヤが無くなるが、また集まってきて元に戻る。
俺には当たらなかったのだ。
その後もスケルトンは剣を振り続けているが、一回も当たっていない。
でも困ったな。攻撃を受けることはないけど、触れることができないから攻撃もできない。
小説とかだとステータスとかかで...
と思うと突然目の前に文字が出てきた。
種族 ゴースト
ユニークスキル
ソウルハント
これは...。すぐに理解できた。アニメとかでよくあるやつだ。ここが異世界なら確かこれを押すと...
ソウルハント
対象に手を添える。
対象の魂を狩り取り自分の物とする。
幽霊の俺が使えそうなスキルだな。にしてもユニークスキルってレアなやつとかの名前じゃなかったっけ。
とりあえずソウルハントを使ってみるか。
スケルトンの体に手を添え、頭のなかで『ソウルハント』と唱える。
スケルトンの身体がモヤのようになって、俺の手と1つになっていく。
『カランッ』
スケルトンが持っていた剣だけが地面に落ち、スケルトンは消えた。
『スキルを獲得しました』
『うわっ!!』
急に頭のなかに機械音のような声が聞こえた。この声の正体は分からなかったが、とにかくスキルを確認したかった。
頭のなかで『ステータス』と呟く。さっきの文字がでてきた。
種族 ゴースト
ユニークスキル
ソウルハント
スキル
骨生成 骨再生
スキルが増えていた。
さっきのスケルトンを倒したからか。
新しいスキルを押してみた。
骨生成
骨を生成することができる。
骨再生
破損した骨を元に戻すことができる。
これスケルトンの能力だよな。もしかしてソウルハントで倒した相手の能力を奪うことができるのか。
もう1つ気になる点があった。
『ゴースト...幽霊だと思ってたけど、さっきのスケルトンと同じような存在なのかな』
改めて実感した。俺は本当に異世界にゴーストとして転生したのだと
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