第10話 三次藩お抱え忍者鴉ラー助と狼犬鉄

 〜 大将よ、実はワシも今迄の様に頻繁にこっちには来れん様になるやも知れんのじゃ。薄々、分かっとるじゃろうが毎度の様に、各地のワシ等の陣営を回りながら、薬屋も無いような奥出雲のど田舎から出っ張って来とった。世の中の戦況が時事刻々と変わって来よるからのう。

 そこでじゃ、ワシは是非とも早急に大将を三吉殿に引き合わせておかにゃならんと思うてのう。その時は追って知らせるから宜しく頼むよ。都合によっては、大将の仕事の日に重なるやも知れんが此れだけは付きおうてくれんか。

 それとな、ワシと会う時はええんじゃが、一応は三次藩の殿さんと会うからには前垂れ姿での面談はやめてくれるか。

 その時の連絡はラー助に頼むからな 〜

 案の定、国久公よりの呼び出し依頼の日は与作の勤務日に当たっていた。そこで急遽、浅田屋の主人に掛け合った。

「旦那さん、申し上げにくいんですが」

「何じゃ、お前の言いそうな事は凡そ察しがつくで」

「明日、休みを・・」

 と言うやいなや主人は

「オオゥ、そうか例のお師匠さんと会うんじゃな。よかろう。休みの日を変えちゃるよ。行ってこいよ」

「有難う御座います」

 えらい簡単に許可をしてくれるな、さてはお師匠さんの正体がバレたかな。旦那さんはしょっちゅう商いで比叡尾山や代官所に出入りしており、噂話の情報を聞き得ておるやも知れないと与作は感じた。

 与作は急遽、昨日のうちに実家に帰り、親父の礼装もどきの着物を借りて来ると別荘に置いていた。

 此処からならばお城は直ぐ近くだ。

 巳の刻頃に来てくれと言われており、城中に入る段取りは付けておくからとお師匠さんから聞いていたが、今日は何せ一人での登城である。いや、自分だけじゃないか、鉄も玉もラー助もいる。皆んな家族だ。

「ヨシャ!堂々と入るぞ。付いて来い!」

「エイエイオー」 

 威勢のいいラー助に押されていっきに坂を駆け上がって行く。

 城の正門前に到着すると門番が二人いる。近づいて本日の登城の理由を告げようとしたところ、その後ろから国久公が急ぎ駆け付けて来た。

「オウ、大将、よう来てくれたな。鉄ちゃんも玉ちゃんも有難うな」

 早速、玉はお師匠さんの懐の中に飛び込んでいる。

 すると空からラー助が舞い降りて来た。

「ラーちゃんもよう来てくれたのう」

「ナンノ、ナンノ」

「ハハ、早速ワシの真似をしおってからに」

「大将よ、きつうなかったか、この坂は。ワシゃ此処へ来る度に嫌になるよ」

「いえいえ、これくらいは何とも有りませんが、然し、緊張しとります」

「ハハハ、大将らしゅうもない。三吉殿もワシじゃと思うて気楽にせいや」

「然し・・・」

「まぁええ、ワシに任せとけ」

「宜しくお願いします」

 城内に入ると三吉の殿様が出迎えに入口で待っていた。

「オォ、与作殿、よう来てくれたのう」

「本日はお招き頂き誠に有難う御座います」

「まぁ、気楽に入ってくれえや」

 城内に入ると家来たちが何人も行き交いして庭や廊下ですれ違った。その都度、国久公と三吉の殿様に挟まれて歩いている町人風の髷を結った小男に怪訝そうにチラッと見やりながらやり過ごして行った。其れに、なにしろ恐ろしい程の大きな狼犬とこれまた可愛い仔猫まで一緒ときている。其れが廊下から座敷の上を歩いているではないか。

 大広間に入ると国久公が気を使ってくれ、いきなり

「此処で話そうや」

 と自ら座布団三枚を一段低い畳の上に車座になるようにして並べた。

 此れには与作が恐れておののいた。

「大殿様、此れはとんでもない事で御座います」

「大将よ、其れを言うなと約束したよな」

「三吉氏、此れでええな」

「ワシに何の異存はありませんよ」

「よし、決まった。後は気楽にいこうや」

 賢い鉄は離れて隅っこの方でお座りをしている。其の横にラー助もちょこんと座っている。玉は何時もの様に大殿様の膝の上だ。

 するといきなり三吉のお殿様が声をかけてきた。

「与作殿よ、この度は浅田屋には大変迷惑を掛けたのう。前の代官が仕出かした不祥事の件、ワシもこの通り謝る、許してくれ」

「とんでも御座いません。浅田屋への寛大なるご処置痛み入ります」

「ワシの管理不行き届きをええ事に、あり得ん事をしでかしゃがったよ」

「然し、浅田屋救出に際しては相当に面白い手を使い、新手の牢破りをしたらしいのう」

「誠にもってすまない事を致しました」

「何の何の」

 と其処へ国久公が口を挟んで来た。

「そうじゃった、そうじゃった。仲々に傑作な事じゃで。ありゃワシと大将と忍者一家の合作じゃ。其れに薬屋でないと出来ん手で」

「でも其れまでの段取りは、みな大将が付けといてくれたから解決したんでぇ」

 と国久公は与作と忍者一家に助け舟を入れてくれた。

「其の時に、あの男に任せとけば何もかも解決するよ、と大殿に言われたましたが何で部外者の与作殿に分かるんだと思いましたよ」

「此れも大殿様に的確な指図を頂いたお陰で御座います。玉の嗅覚で牢内での主人の毒殺を免れる事が出来ました」

「危うく長年に渡り世話になっとる浅田屋を消すとこじゃったよ」

 お殿様は再度も詫びを述べながら大殿様の懐の玉の頭を撫でたのである。「ニャ〜ン」

「玉ちゃん、ようやってくれたな。有難うよ」

 さらに喉を「ゴロニャーゴロニャー」鳴らしている。

 そして次なる要望を告げて来た。

「そりゃええがのう、与作殿、お主の優秀な能力を三次藩の為に活用させてくれんかのう」

「ワシも家老も楽しみにしとるんじゃ」

「代官所役人等の揉め事、傷害事件もお主や忍者一家が解決してくれた事じゃろう」

「いえいえ、私は何もしておりません」

「嘘を言うな、人間技とは思えぬお白州の庭に天から落とした証拠の品はラー助の仕業じゃろうが。其れに比熊山の物の怪とは絶対に与作殿じゃで」

「・・・・」

 ところが離れて大広間の隅にいたラー助が叫んだ。

「ワシジャ、ワシジャ」

 此れには全員がたまげまくった。

「ほれみろ、ラーちゃんは正直で!ハハハハ、こりゃ又、傑作じゃ」

「ワッハハー、いやぁ、凄い!凄い!」

「大将、嘘はつけんのう」

「ハハハハー、ほんまじゃ、ほんまじゃ」

 此れには実際、与作もびっくりした。だが本当の処は何時もお師匠さんとラー助が会話をしている時、常にワシじゃとかワシ、ワシというもので名前の「ラー助」を言われて咄嗟に口を衝いて出たのであろう。

「然し、皆んなして当藩の内輪揉めをよう丸う収めてくれたのう。ほんま感謝しとるよ」

 常に寛大な心を持ち合わせている三吉のお殿様は何度も与作に向かって頭を下げた。

「お殿様、お辞め下さい、勿体のう御座います」

「分かった、分かった。じゃが是非共、今後も力を貸してくれんかのう。然し、与作殿の凄い才能には恐れいったよ」

「有難う御座います。今日は大殿様から声掛けして頂きこうした席を設けて頂きました。私も非常に嬉しゅう御座います」

「でも、私は現在浅田屋に籍を置いておりますし今すぐ急に辞められない義理が御座います。もう暫くは様子を見させては頂けないでしょうか」

「うん、そうじゃのう」

「でも、鉄やラー助は何時でも藩としてお使い下さい。私が浅田屋で仕事をしている間は一日中幾らでも動いてくれますから」

「そりゃほんまか、ええんか」

「どうぞ、どうぞ。鉄もラー助もお殿様が大好きです。喜んで犬笛を吹くだけで直ぐに駆け付けてくれますから。其れにラー助は天守閣からカラス笛を吹かれるか、窓に何か目印を置かれていると、どんなに離れていても見つけて飛んで来ますから。

「こりゃ楽しみじゃのう」

「よしゃ、決めた!鉄とラー助は三次藩の召抱え忍者第一号じゃ」

「おお、三吉氏、そりゃええ考えじゃ。犬はとも角、カラスが活躍するなど日本國中何処を探してもおらんぞ」

 こんな痛快な事が有るであろうか。

 現実に中国地方の山奥の三次藩で カラスのラー助が忍者鴉として任じられたので有る。

 忍者が大ぴらに公表される事などあり得ない事であるが、ましてやカラスと狼犬など聞いた事がない。

 何という事であろう。何時も騒々しいラー助が召し抱えになるなど到底考えられず、三吉のお殿様の茶目っぷりには呆れるものも多かった。然し、戦国の世の中にあって一服の清涼剤として歓迎する者も多かったのだ。

 だがラー助は頭が良くて、全く現実離れをした大活躍をしたのである。

 誰にも為し得ない空からの見張りと追跡、時に上空からの急降下攻撃、其れに超高速な情報伝達能力と人間の言葉も喋り、正しく空飛ぶ忍者として面目躍如たる能力を備えていた。

「そりゃええが与作殿にはワシから苗字帯刀を許しておるんじゃが、ついては此の近くに家屋敷を提供しょうと思うとるが如何かのう。今は一里半も向こうから通うとるんじゃろうが」

「とんでも御座いません。丁稚奉公には身に余る光栄でございます」

「然し、私には起きて半畳、寝て一畳も有れば十分で御座います。其れに、此の近くには別荘も所有致しておりますので必要は御座いません」

「なに!浅田屋ではそんなに給金を貰ろうとるんか」

 其処へ国久公が嬉しそうに口を挟んで来たので有る。

「そうじゃった、そうじゃった三吉氏、与作殿と忍者一家の邸は小さいが屋敷は相当に広いぞ。ワシも一度だけ寝た事が有るが快適じゃったよ」

 と言いながらゲラゲラ大笑いをしている。与作も思わず苦笑いをしてしまった。

「そうか、其れなら忽ちはええな」

 三吉のお殿様は、国久公と与作の言っている別荘の事が全く飲み込めなかった様である。

「然し、何れにしても、今から其方には教習所や学問所を開設してもらわにゃならんので、この近くにおって貰わんとな」

「分かりました」

 だが大殿様がポツリと寂しそうに呟いた。

「そうなるとワシも寂しくなるのう」

「大殿、何でそうなるんですか」

「あぁ、いや、何でもない、こっちの話しじゃ」

 お師匠さんにしてみれば、今迄の様に楽しかった炭焼き小屋での忍者一家との触れ合いや、大将との立合い稽古も出来無くなってしまうのだ。

「大将よ、今日は長い間よう付きおうてくれたな」

「今後共、何時迄も三次藩の為に頑張って其方の類稀なる才能を発揮してくれるか」

「大殿様、其処まで私を買い被らないて下さい」

「いや、そうじゃないで、国久公の見られる目は節穴じゃないぞ。この地だけに止どまらず何れ世に名を残す人間に間違いはないよ」

「とに角、精進してくれるか」

「有難う御座います」

「よしゃ、決まった。与作殿、早速じゃが明日にも鉄ちゃんとラーちゃんにワシんとこへ来てくれんかのう。ハハハ、ワシの話しが一遍に細うなってしもうたな」

「とんでもない、其れは喜んでお殿様とご一緒するでしょう」

 そう言われた鉄とラー助は以心伝心即ぐに伝わるのだ。そして部屋の中を走ったり飛び回っている。

「もう完全に三吉氏に懐いたな。よかったよかった」

 と大殿様はご機嫌で鉄と玉とラー助を優しく撫でている。

 次の日、昼飯時の前にお殿様は家老を呼び出した。

「オイ!ワシは今から一寸、出掛けてくるからな」

「突然、何事ですか。今更、何処へ行くと言われますか」

「お殿様が行かれなくても用事は誰かがしてくれますよ」

「いいや、ワシが一人で行く」

「其れでは供の者を何人か付けましょうか」

「そんな奴は要らん。久し振りに歩いて行くよ」

「何と馬鹿な事を。其れで何処へ行かれますか」

「高杉城じゃ。此処は一番近いし平坦地にあるからのう」

「誰も付けずにですか。なんぼう藩内じゃ云うても何があるか分かりませんよ」

「護衛をつけましょう」

「うんにゃ、ワシだけじゃ」

「ワシも長らく城から出とらんからのう。たまには町中の様子や農耕作地の百姓達の暮らし振りも見てみたいのよ」

「家老も一度は聞いた事があろうが。西洋の方の國では軍隊が大型犬の高い戦闘、護衛能力を使い活躍しとるのを知っとろうが」

「其れは私もちょくちょく耳にした事は御座います」

「じゃが何処にそんな犬がおるんですか。誰もそんな凄い犬を飼っていないじゃないですか」

「実はな、今迄に家老には話しをせんかったが、国久公の窮状を救った犬がおるんじゃ。大殿が二度襲撃されたのは知っとるわな」

「其れはよく存じております」

「其の犬達と一緒に今日出掛けようと思うとる」

「殿様、犬達と言われましたが何匹いるんですか」

「ハハハ、実は犬と猫とカラスじゃ」

「何とまぁ、おふざけが過ぎますよ」

「真面目じゃ、大真面目じゃ」

 余りにも突飛な事を言う殿様に家老は呆れ返ってしまった。

「其れでは好きにして下さい。どうぞご勝手に」

「オウ、其れでな、ボロの着物を用意せい」

「分かりました」

 兎にも角にも家老は何が何やら分からず家来に着物を持って来させた。其れを着込むとお殿様は

「一寸、行って来るからな。後は付けさすなよ」

 と念を押しながら 、頰被りをしとても殿様の出で立ちとは思えない格好であった。

 門をくぐって他の家来に見つからない様に裏口の木戸を開けてこっそりと外に出て来た。坂道を少し下ると林道の側から鉄と玉とラー助が道の真ん中に出て来たではないか。与作が事前に段取りをつけたのであろう。

「オオゥ、やっぱり来てくれたか。皆んな有難うな」

 鉄も玉もラー助も声は一切発しない。目一杯尻尾を振りラー助もクェクェ小さく鳴くだけで大喜びをしている。早速、玉は懐に飛び込んでいる。

「よし、今から出掛けるが宜しく頼むよ」

「ワシニマカセトケ」

「ラーちゃんか、何と心強いのう」

 一方、家老はお殿様の一人歩きに頭が錯乱状態であった。

「為してこんな事になったんじゃ、お独りで行かせてええ訳が有る筈が無かろうが」

「オイ!誰かおるか、一寸、来い!」

「腕の立つ奴は居らんか」

 階下から四、五人が駆け上がって来た。

「今な、お殿様が一人で高杉城に行ってくると言われ出掛けられた。万が一襲われでもしたら大変な事になるんじゃ」

「今からお前ら三人で後を追って見張りを続けろ。決して気付かれるでないぞ」

「分かったら即ぐに行け!」

「承知しました」

 お殿様と鉄は馬洗川沿いの道をのんびりと東に向かって歩いている。ほんとにいつ以来の事であろうか。

 左手の高い処に微かに先程まで居た天守閣が見える。

「然し、高いのう。ワシが引きこもりになる筈じゃ。ご先祖さんが難攻不落のつもりで造ったんじゃろうがもう一寸低い処に住みたいのう。家来達も通うのにはええ加減しんどいじゃろう」

「鉄ちゃん、玉ちゃん、久し振りに外に出ると気が晴れるのう」

 と声掛けすれどもとんと反応が無い。玉はとも角、鉄は警護気取りで鋭い眼光でお殿様を誘導していく。

「鉄ちゃん、気楽に行こうで」

 爽やかな川風に吹かれながら土手の上の道を歩いていると、狼犬を連れて懐の中から顔を覗かせた猫を見つめた百姓夫婦と子供連れが「ワンワ、ニャンニャ」と叫びながら嬉しそうにすれ違って行く。

「ええもんじゃのう。今は農閑期で暇なようなが百姓達のお陰でワシらも飯が食えるんじゃからのう」

 心優しいお殿様は軽く手を振っている。

 左下を見ると狭い浅瀬の川の中で梁漁をする人が二人いるではないか。興味があり下りて行き覗いて見た。

「此れが落ち鮎漁か。仰山獲れとるのう。此れをどうするんじゃ」

「町の魚屋が引き取りに来ますんで」

「そうか、ご苦労じゃのう」

「塩焼きもええが、うるかも酒の肴に丁度合うよのう。お主等のお陰で美味しいものが食えるよ」

「お侍様、此処に少しじゃが其れを持って来ておりますのでつまんで行って下さいよ。其れにどぶろくも有りますから」

「何という!嬉しいのう」

 お殿様が一杯ご馳走になりながら一人の百姓と話している時、もう一人が気付いたのである。頰かむりの下から殿様風の丁髷(ちょんまげ)が見えたのだ。其れに身なりは悪いが凄い刀を差しておられる。

「もしや!」

 すると口に人差し指を当て

「シィー、ええから、ええから」

「有難うな、美味かったよ」

「気をつけてお行き下さいませ」

 暫く其の場にいたのだが其れを離れた道上の場所から三人がさりげなく監視している。無論、お殿様は気付いていなかった。

 やがて又、高杉城を目指して田んぼ道を歩き出した。すると突然ラー助が頭の上に来ると

「テキテキ!」と叫ぶではないか。

「何!敵じゃと」

 其の声を聞くと、お殿様は草鞋の紐を結び直す振りをしながらしゃがむと脇の下から後を振り返った。

 其処には藩士の三人が遠目に離れてジッと見つめているではないか。

「家老の奴め、あれ程云うとったのに。まぁええか」

「ラーちゃん、有難うよ」

「ナンノナンノ」

「然し、凄い奴じゃな」

「よし!鉄ちゃん、其の先辺りで奴等を脅してやるか」

 お殿様が言う事が理解出来るのである。途端に尻尾を振り始め目が輝き出したではないか。

 丁度、曲がりくねった道の先にこんもりとした木立ちがある。

「鉄ちゃん、あこへ隠れろ」

 そして其処の低い笹薮の中に飛び込んだ。そんな事には気付かずに三人は前を向いて後を追って来る。やがて目の前を通過した。

「鉄!行け!」

 言われた鉄が背後から道に飛び出した。

「ウゥー」と唸り声を上げた。そして「グワーン」と叫ぶや一人に飛び掛ろうとした。

「ウワー、助けてくれ〜!」

 更に後の二人も其れを見て一斉に走って逃げ出した。

 人間が狼犬から逃げ遂せる訳がない。一気に前に回り込まれてしまった。

「其れを見ていた大殿様は可笑しいやら嬉しいやら

「鉄!もう辞めい。もう苛めてやるな!」

 鉄は追って来る三人が城から付けて来ているのをとっくに気付いていた。襲撃犯ではないのを見抜いていたのである。

「鉄、こっちへ来い!」

 と声を掛けると大殿様の横にピタッとくっ付き座っている。奴等を見ると道にへたり込んでいるではないか。

「お前等、どしたんなら、家老に言われたんか」

「それにしちゃ、お前等、だらしがないのう」

「・・・」「・・・」

「まぁええ、今の事は家老に告げ口はせんからこっから即ぐに帰れ。ワシも高杉に寄ったら早う帰るからそう言うとけ」

 お殿様から命令された三人は肩を落としてすごすごと帰って行った。

「然し、鉄ちゃんもラーちゃんもほんま凄い忍者じゃのう。人間が何人掛かって来ても敵わんで」

 と云いながら頭を優しく撫でている。鉄、ラー助にとって此れが一番嬉しいのだ。

 やがて歩いていると鳥居が見えて来た。この高杉城は山城ではなくほぼ平地に立っている。其れに入り口が神社の様な作りになっている。

 お殿様は一礼して中に一歩踏み込んだ。すると脇から呼び止められた。

「オイ!一寸待て。ワレは何者なら顔を見せい」

 全く頰被りをしているのを忘れていたお殿様は慌てて手拭いをとった。

「アッ、三吉のお殿様、此れは大変、失礼致しました。申し訳け御座いません」

「よいよい、ワシが悪かった、気にすな。中に入いるぞ」

 案内をされ中に入ると参道の奥に小さな城郭があった。

 手前の一角に先祖代々の墓がある。お殿様は其の前に佇んで

「すまんのう。急に来てしもうて、何のお供え物を持参せなんだよ」

 手を合わせ拝んでいる時に奥の方から家来と共に城主がやって来た。

「此れは此れは三吉のお殿様、急なお越しで何用で御座いましょうか」

「イヤァ、済まん済まん。大した用もないのに一人で来てしもうたよ」

「何という!」

「実は一寸、試したい事が有ってな」

「何を試されますんで」

「ハハハ、それはじゃな。今迄は急な用事は早馬を立てとったよな」

「此れが一番早かったですが」

「今日来たの此れよりも断トツに速い方法なんじゃ」

「お殿様、立ち話しも何ですから中へどうぞ」

 と言うとさして広くない中庭を通り屋敷に案内してくれた。

「然し、そんな方法が今時有る訳がないじゃないですか」

「其れがあるんじゃ」

「其れは今連れて来られた犬ですか」

「うんにゃ、鉄じゃないよ。今連れて来ておるのよ」

「まさか、懐の猫では」

「へへへ、猫騙しじゃあるまいしのう。分からんじゃろうて」

「後は空でも飛んで行かない限りは絶対無理ですよ」

「鳩ですか」

「鳩じゃないが其の手よ」

「お殿様、ワシには全然理解が出来ませんが」

「其れをカラスがやってくれるのよ」

「そんな馬鹿な!其のカラスがおらんじゃないですか」

「おお、今呼ぶからよう見とれよ」

 お殿様は懐から笛を取り出すと一気に吹いた。そして立ち上がって戸を開けた途端に「ミヨシドノ、ナニヨウジャ」と飛び込んで来た。

「なんじゃこりゃ、カラスが喋っとる!」

「ワシハラースケジャ」

「どうしたんですかこのカラスは!」

 此れには城主もぶったまげた。

「ハハハ、みんな国久公の物真似で会う度に吹き込んどられるんじゃ。実はな、此のラーちゃんがさっき云うとった事をやってくれるのよ」

「ウ〜ン・・・」

「じゃから今から証拠を見せるから一筆書いてくれんかのう」

「誰に何を書くんですか」

「比叡尾山の家老宛に書いてくれるか」

「して何を書けばよろしいんで」

「あゝ、へのへのもへ字でもええ、其れに今の時刻を書いとってくれんか。最後にワシも一筆付け足しとくから」

「どれくらいで届くか測ってみるんじゃ」

「分かりました、早速にも」

「然し、お殿様は面白い事をされますね」

「其れが済んだら封書の外に赤い小さな布切れでも付けといてくれるか。此れがワシとお主の互いの連絡の絆じゃ」

「何やらさっぱり分かりませんがお指図に従います」

「其れと、今な、此処で鉄、玉、ラー助と仲ようなっとってくれるか。此れが後々に有効に生きて来るから」

 その間、交互に頭や首を撫でてもらい気持ち良さそうにしている。

「其れとな、すまんが此奴に何か食べ物をやってくれんか」

「承知しました。お安い御用で御座います」

 お付きの家来が用意の為に台所に立った間に三吉の殿様は最後に一筆認めた。


 ー ワシは今から帰る。出る時に付けて来るなと言ったが、おまえ等は城を出た時からずっと見張られて、すぐに後を尾けられとったんだぞ。どうせやるんならもっと上手にせんかい。

 じゃがのう、ワシは久し振りに外の空気を吸うたので気分が晴れたよ。今迄はほんま引きこもりっきりじゃたからのう。有難うよ ー


「いや、此れはな、みんな国久公に教わったのよ」

「今からの急な用事は此れでやるからな。その為にはラー助に慣れとってくれるか。常に頭を優しく撫でてやると直ぐに懐くから。其れと一番は食べ物じゃ。とに角、此れが一番大事な事よ。特別ええもんは要りゃせんよ」

「分かりました 」

「祝氏、此れを其方からやってくれるか。そうすると直ぐに慣れるから」

「分かりました。ラーちゃんご苦労じゃったな。褒美じゃお食べ」

「アリガトサン、ホウベ」

「ハハハハハ・・こりゃ面白い。ラーちゃん、ホ、ウ、ビ、じゃよ」

 此の全く変てこりんなラー助の話しぶりに呆れ返っていたが、的を射ているのには両方のお殿様も感心しきりで有った。幾ら頭の良いカラスと云えども、其の潜在能力を引き出す事が如何に難しい事か、とに角、与作殿による訓練所の早期開設を望んでいた。

 今日一緒に 出掛けて来て、目にした鉄の物凄い戦闘能力と脅しの名演技と云い、即刻、命令に従う従順さ、更に人間の何千倍の嗅覚が有ると云う事を、今日は見る事は出来なかったが、非常に有意義な一日で楽しくて仕方なかった。

「お殿様。今日は面白いものを見せて頂き有難う御座いました。其れはそうと昼飯時ですが食って行かれますか」

「有難う。じゃが今はええよ。それよりも早う帰って情報伝達具合を確かめてみたいんじゃ。付いては帰りは馬を貸してくれんかのう」

「其れはお安い御用で御座います」

「オイ!即ぐに鞍を載せて馬の用意をせい」

「祝氏、誠に済まんのう」

「どう致しまして。私も楽しみにしております」

「ヨシャ、ラーちゃん頼むぞ。家老に届けてくれるか」

「ワシニマカセトケ」

「然し、凄いですね」

「そりゃそうと二、三人警護の者を付けましょうか」

「いらん、いらん!物凄い奴が付いとるからな」

「鉄!競争じゃ、行くぞ!」

 すると途端に此の声を聞くとやる気になって来た。

「へへへ、ワシャソラトブニンジャ」

 ラー助は西の空に向かって一気に飛び立つとアッと思うまに見えなくなってしまった。

「然し、又、凄い事ですな。川も急な山坂も関係なしでこりゃ比叡尾山までなんぼも掛かりませんよ」

「世話になったな。馬は明日にも引き取りに来てくれんか」

「分かりました。今日は楽しい思いをさせて頂きました。気を付けてお帰り下さい。然し、其れにしても恐ろしい程強そうな警護が付いておりますな」

「そうじゃろう。十人分以上の警護が付いとる様なもんじゃで鉄は」

「さらばじゃ」

 城門を出るとお殿様の馬と鉄は一気に馬洗川の土手沿いを畠敷を目指して駆け出した。

「何という速さじゃ。其れにしても鉄は凄いのう」

 高杉城主は見送りをしながら、つい本音を漏らし一人ほくそ笑んでいた。

「此れであの辛い比叡尾山登りをラー助のお陰でかなり軽減出来るな」

 八次の集落に駆け戻って来た。

 お殿様は此れから川を渡ってきつい坂道に掛かっていかなければならない。

 今の時期は川の流れも渇水期だ。

 馬に乗っても楽に通れるがちょっと水かさが増すと難儀をする事となる。

「橋を架けるとすぐに流されるしな。民百姓には難渋させて申し訳けないのう」

 こうした優しさが三吉家代々四百年間に渡り十五代続いた所以であろう。特に戦を好まず自分の方から仕掛ける事は無かった。

「然し、ラー助がおってくれると物凄い助かるで」

 と独り事をブツブツ言っている時に鉄が吠え出した。そして懐の玉も「ニャーニャー」鳴き出した。

「ウン、ラーちゃんが来たな」

 とすぐに真正面から飛ん来た。

「おやまぁ、珍しい事で、何時もは忍者の如く何処から現れるか分からんのにな」

 此れも仕事を成し遂げた達成感なので有ろうか。

「ラーちゃん、速いな、もう家老に渡してくれたんか」

「ミヨシドノ、オソイ」

「ハハハ、負けたよ。然し、凄いのう」

「ホ、ウ、べ。ホべ」

「ラーちゃん、ほうびじゃよ。もう一寸待っとれな」

 もう間もなくで城への坂道に突かかってきた。

「此処からは降りて歩いちゃりゃにゃいけんのう。馬が可哀想じゃ。よしゃ、皆んなで登るぞ」

 お殿様も楽しくて苦にならない。

 馬に犬に猫にカラス、そしてお殿様、全く奇妙な取り合わせであった。

 急坂がくねくねとかなり続き崖が迫り出している。先人が敵からの侵入を防ぐのにより難攻不落にする事で意図的に造成したもので有ろう。

 お殿様は過去に何度も何度も登坂を繰り返して来たが其れを一度でも感じることも無かった。ただ、きついだけの山道ばかりと思っていたがこうして楽しく歩いていると、ご先祖さんの工夫が見えて来た。

 五合目辺りまで来た時である。樹々の間から何人か登って行く人間が見えるではないか。

 この時はラー助も一緒にいた。

「ラーちゃん!」と呼びかけ山の上を指差した。一気に飛び立つとすぐに舞い降りて来た。

「テキ、テキ」

「なんじゃ、奴等まだ此処らをうろついとるんかい」

「まぁ怒っちゃるまいのう。ワシらが速いという事よ」

 漸く行くと昼前に合流した地点まで登って来た。

「皆んな此処でええよ。今日はご苦労じゃったのう。ワシも楽しかったよ」

「後は一寸、待っとれな。ほうべを持って来るからな」

 言われた事が分かると鉄はその場にお座りをした。玉もちょこんと並んでいる。

 お殿様は裏木戸から出て来るとお土産を鉄の肩に括り付けてくれた。

「おまえ達、気をつけて帰れよ。又、近いうちに来てくれぇよ」

 大声は出さないが皆んな名残り惜しそうに振り返り振り返り山道を駆け下りて行った。

 お殿様は再び正門より入り直すと、早速、家老が家来と出迎えにやってきた。

「お殿様、速いお着きで御座いますね」

「オゥ、帰りは馬を借りてきたよ。明日にも返しにやってくれんか」

「承知しました。其れにしても殿様、凄い事を考えられましたね。奴等はいましがたヘトヘトになって帰って来ましたがラー助はとっくの昔に「へのへのもへじ」を届けてくれましたよ」

「飛び立った時刻が書いてありましたがほんま瞬きをする間に帰って来ましたよ」

「ほうか、ほうか、空を飛ぶと如何に速いかということよ」

「此れは全ての支城に活用せにゃならんですね」

「其れにしてもラー助も鉄も凄いですね」

「警護に行った奴等、腰を抜かしたと言って帰って来ましたよ」

「怒ってやらないで下さいよ」

「ハハハ、驚かしてすまなんだな。そりゃ誰でも鉄を見たらビビリ捲るで、大きゅうて牙を剥いて向かって来てみい物凄い迫力じゃ」

「此れは早速にも教習所を立ち上げにゃいけませんね」

「そういう事じゃ」

「処でこんな凄い犬とカラスは誰がどうして飼い慣らし躾けているんでしょうかね」

「其れがな、今は薬屋の浅田屋の丁稚奉公人なのよ」

「何ですかそりゃ!」

「じゃがのう、国久公が仰るのには奴はワシの友達でもあり師でもあると仰しゃってな。全く耳を疑ったよ。だが話しを聞くと尤もじゃとワシも思ったよ」

「今迄、誰にも言わず内緒にしとったがこの男には既に苗字帯刀を許しておるのよ」

「なんと言う事を!」

「然しじゃな、家老も薄々知っとるじゃろうが、浅田屋闕所の件も、奥村等が仕出かした刃傷事件の解決にはみな与作殿が関わっておるんじゃで」

「最初、大殿様から聞いた時は耳を疑ったよ」

「物の怪がした事じゃと世間に騒がれた、代官所のお白州への証拠物の品々の落下の件な、あれは与作殿が飼い慣らしておるカラスのラー助の仕業なのよ。其れからあっちこっちに有った証拠の物な、嗅覚が物凄い発達した鉄と玉が集めたものよ」

「そう言えば、事件の途中報告で私が代官に問い詰めると、次席が自信を持って解決すると言いましたが此れだったんですか」

「処で次席と与作殿の関係を知っとるか」

「さぁ、私にはさっぱり分かりません」

「然し、家老は何も知らんのじゃのう」

「そりゃそうでしょうよ。私はずっと籠の中の鳥ですから」

 家老は少々むくれきみになってしまった。

「すまん、すまん、ワシが悪かった」

「ワシが話しとるのは全て国久公からの受け売りでのう」

「次席も与作殿も同じ志和地の出のようじゃ。其れもこっちに出て来るまでは住まいが隣近所同士だったらしいのよ。独り者だった上里は小さな田地のしごうを殆ど与作殿の家族の者に面倒を見て貰っていたらしい。そういう関係で「おっちゃん」「おっちゃん」と懐いてな、教えたかどうかは知らんが、いつのまにか小刀遣いの達人になっていたということよ」

「国久公も立ち会い稽古では分が悪いと言っておられたよ。何せ相手は小刀だぞ」

「其れに学問の方じゃが写経から論語集から全て習得しとるという事じゃ。算盤は暗算の域らしい」

「此れは近くの専正寺の和尚から手解きを受けたようじゃ。長い長い御文章は全て記憶し、浅田屋に奉公に上がる前は伴僧を勤めとったらしいのよ」

「我が藩で孔子の論語集を読みきり理解出来る者がおるか」

「いや、誰も居りません」

「此れも学問所を開設せにゃならんのう」

「仰せの通りで御座います」

「そこでしゃ、家老よ、すまんが浅田屋に行って来てくれんか」

「其れは、お言い付けとあらば如何様にも」

「今から三つ言う事を記しておくから此れを伝えてくれんか。宜しく頼む」

「承知しました」

「其れとな、話は変わるが家老よ」

「他に何用で」

「この間、代官所の次席が教えてくれた事があろうが。何んじゃったかいのう」

「上里の事で」

「そうじゃない、国久公の腰の物じゃ」

「あぁ、備前長船の事で」

「そうじゃ、其れじゃ」

「竹澤屋と今度、何時か機会があれば是非会わせてくれんかのう」

「其れは宜しゅう御座いますがこりゃ又何故に」

「お主は知らんのか」

「竹澤屋は長船の生まれじゃで」

「えぇ、其れは初耳で知りませんでした」

「其れもじゃな、長船四天王と言われる刀鍛冶の倅らしいのよ。其の親達は代々尼子家への献上する銘刀を打っておるらしいのよ」

「今は竹澤屋の婿養子におさまっとるようじゃが、刀を見る目は物凄い慧眼をしとるらしいのよ」

「こりゃ又、凄い男がこの地に来てくれたもんですね」

「早速にも呼んでみましょう」

「うん、今は代官所の次席の元、大いに協力してくれとる様じゃけ一緒に頼む」

「分かりました」

「ワシも長船を手にしたいもんじゃ」

「其れはもう是非共に」

「何せ、ワシより先に銘刀を与作殿が手にしとるでのう」

「其れこそどういう事ですか」

「国久公より苗字帯刀を許された時、腰の小刀を直接その場で授かり御守りで持っといてくれと言われたようなんじゃ」

「国久公は何度も命を助けられてな。其れにこっちに来られた時は毎度の如く剣術の対戦相手らしいんじゃ」

「其の時には必ず小刀で対峙するという事で、後は御守りで持っといてくれと手渡たされたようなんじゃ」

「処で話しゃ変わるがな、国久公がかなり頻繁にこの地を訪れられとるが、いよいよ機が熟したんじゃないかと思われるのよ」

「今は國中が戦国の乱世で各地で群雄割拠しとる状態よのう。ワシの処も今は尼子勢に組みしとる状態じゃ。じゃが戦況によっては今後どうなるか分からん。何せ毛利の本拠郡山城とは目と鼻の近さからじゃのう」

「近々、互いが一戦をまみえるやもしれん。勝つのはどっちかワシには全く分からん。ワシとしては前戦にあまり加わらず今迄通り対峙する毛利勢との最前線陣地としての防御の役目をするつもりじゃ。ワシの性分としては合戦は全く嫌いじゃ。互いに犠牲者は出したくないのよ」

「と申されましても・・・」

「尼子の軍勢が今年中には出雲方面から大軍を率いて南下させる様じゃで」

「まぁ、こっちの方はこれくらいじゃ。後は他でもない浅田屋の事じゃ」

「この間の闕所の事で」

「其れもある。国久公が命を何度も助けられたのは浅田屋と与作殿のお陰じゃと申され大変な借りがあると仰ってな。今迄一度も名乗らずにいたのは礼を失する。ワシが直接顔を出すのが筋じゃが今は叶わぬ故に宜しく頼むといわれてな。礼状の書簡を預かっておる。其れと与作殿を育ててくれたお寺さんにも感謝状が認めて有るのよ。皆一緒に届けてくれるか。宜しく頼む」

「分かりました」

「ワシとしては浅田屋に終身御用達の看板を授けたいんじゃ」

「其れは浅田屋も喜ぶでしょう」

「又、国久公はな、中身は何か分からんがお礼の物を授けたいとワシに託されておるんじゃ」

「分かりました。明日に浅田屋に顔を出してみますから」

「すまんが宜しゅう頼むぞ」

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