第4話 復讐
その町ロングタウンはブラッドアイズ・ファミリーが裏街道で勢力を振るってた。
ファミリーの幹部がダイスンズにも現れた。
「挨拶がねえな。誰に許可もらって商売やってんだ?」
三日以内にみかじめ料として十万払え、払わなければ店に火をつけるという。
俺は立ち上がり、雇われ用心棒だと名のり睨みつけた。
「ドン・ブラッドアイズを甘くみるな」と吐き捨て、幹部は去っていった。
奴らを無視して四日後、店に火がつけられた。俺がいない隙に。
ボヤで済んだがラウルは黙っちゃいなかった。
「ラウル、俺が代理で行く、話つけるから」
「俺も馬鹿じゃないぜ、とりあえず五万払う。待ってくれって頼むんだ」
「奴らは聞かない。俺が払うよ」
「ダメだ! もし、お前を行かせて何かあったら……一番大事な客に危険な真似させられっか」
****
話をしに行ったラウルを奴らは黙らせた。
無惨に、38口径で。
奴らの事務所でラウルは撃たれ、レストランの裏口に捨てられていた。
止められなかった俺が馬鹿だった。
俺が行けばよかったんだ。
奥さんは泣き崩れ、俺も怒りで気が狂いそうだった。
怒り。煮えたぎる怒り。
だが怒りにまかせてブラッドアイズのところに飛び込む……その前に、調べなければ。
シーツに顔をうずめ幾日も号哭した俺は深く呼吸をし、確実にやり返すためには先ずは落ち着けとこの手を咥え、制御した。
時間をかけ、ブラッドアイズ・ファミリーの一人一人の行動パターン、動線、性格、性癖に至るまでメモに書き連ねた。
人間必ず隙ができる。寝ている間の番人にも寝る時がくる。
ラウルを殺したトニー・ブラッドアイズは短気で警戒心も強いが儲け話に気を許す。
いつも二人の用心棒を連れている。
俺は面が割れてると思い、一芝居打った。
道行くあいつらを俺は呼び止めた。
「十万。これで俺があの店をやる。それでいいだろ?」
「足りねえな。二十よこせ。商売はそれからだ。そしてその後毎月売上の四割を俺によこすんだ」
「……わかった。そこで話があるんだが」
金になる話だと小声で誘いトニーを狭い路地裏へ導く。
繊維工場のボイラー音が轟々とのしかかる。
肩がやっとの道幅に縦、三人と俺が並んだ。
奴のシルクハットの下の耳元で、欲しがってる情報をうそぶき、にやついたところを俺はその頭を掴んで三百六十度、捻じ切った。
そして死んだトニーの懐から拳銃を奪い、奴を盾に二人の用心棒を撃ち殺した。
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