2撃 特訓する!-1

「おっす!」

「おーっす、昨日の大会あの後どうなった?」

 学校に登校中、昨日の大会に一緒に出ていた友達のひとり、かずとに出会った。

「アツヤが優勝した!」

「あつや?誰それ?」

「おれが一回戦で戦った奴だよ!しかも、あいつサーニャル使って全部勝って優勝したんだぜ。すごくね?」

「あー、あのキャップかぶってた人か。しかも、弱キャラで全勝?やばいじゃん。さすが、お前を泣かせただけのことはあるなー」

「おいっ!それを言うなって!」

「おはよー、昨日泣いたってどういうこと?」

「げっ、あかり!」

 セミロングの髪を外はねしにしているのが印象的な少女あかりが話しに割って入った。

「おーっす、昨日VSバーストっていうテレビゲームの大会に行ったんだけど、ネツヤが一回戦で負けてギャン泣きしたんだよ」

「えっ、ゲームで負けて泣いたの?」

 あかりはぱっちりした目をまん丸にしている。

「かずと!余計な事こいつに吹き込んでじゃねえよ。っていうか、お前は盗み聞きすんな!」

「はあ?あんた達が朝から大きな声で喋ってるからでしょうが。聞きたくなくても聞こえてくるんですー。普段偉そうに言ってるくせに一回戦負けとか弱いじゃん」

 あかりは口をとがらせている。

「はあ?おれが弱いんじゃなくて、アツヤが強かったんだよ!優勝してるぐらいだしな!」

「ふーん、そのあつやって人、そんなに強いんだ」

「すげー強い。でも、それも昨日までだ。今日から特訓して、誰にも負けねえくらいおれが最強になる!」

「今日から特訓って、毎日バサバスするつもりかよ?」

 かずとが呆れたような声を出した。

「する!今日からアツヤのうちで特訓するんだよ」

「えっ、あの人ともうそんな仲良くなったのか?結構年上ぽかったけど」

「高校生つってたな。でも、バサバスやるのに年齢なんて関係ねえだろう」

「あんた、そんなゲームばっかしてたら、ろくな大人にならないわよ?」

「お前、かあちゃんみてえなこと言ってんな。将来立派なプロゲーマーになるから問題ねえんだよ!」

「……はあ、重症じゃん……。あんたの母親じゃなくても心配になるわよ。あげく、プロゲーマーになるなんて与太話に付き合ってらんない。じゃあね」

 あかりは足早に学校へ向かった。

「なにぷりぷり怒ってんだ、あいつは」

「ゲーム中毒の患者を心配してんだろ。それにしても、朝から夫婦喧嘩とはお熱いことで」

「ち、ちげえよ!中毒じゃねえし夫婦でもねえ!あいつとはただ幼稚園が一緒だったってだけだからな!」

 ネツヤがあたふたと否定した。

「はいはい。おっ、かんたじゃん。おーっす」

 ニヤッと笑ったかずとが前を歩いている友達を見つけ、駆け出した。

「おいっ、てきとうな返事してんじゃねえって!」

 ネツヤも後を追った。

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