第四週「本物」(結)
多くの人は様々なエンターテイメントを見て、自分もその中に入れたら……なんて、妄想をするけど、私は遠慮したいわね。
どんな夢物語だって、それが当事者になれば、大抵は幻滅するような気がするわ。やはり他人事は他人事として楽しむべきね。
……え、この話をしていた人はどうなったかって?
何も。しばらく、そのマンションに暮らした後、引っ越したそうよ。
今はどうなっているか知らないわ。
そうそう、この話、彼女が引っ越しする際に教えてくれたのよ。
それで引っ越した切っ掛けなんだけど……Eさんが亡くなったからなんですって。
交通事故でね。道路に突然飛び出したところを車にはねられた。
何でも「何かに追いかけられていたよう」に道路に飛び出したらしいけど。
なぜかしらね。
……まぁ、例の撮影に使ってたの、Eさんのスマートフォンだったから、かもね。
やっぱり当事者になるなんてロクな事にならないわね。貴方も気をつけなさいな。
せいぜい巻き込まれないようにね。
ああ、そうだ。なぜこの話をしたのか思い出した。
先日、引っ越した彼女から久しぶりに電話があったのよ。
今は別の県のマンションに暮らしているそうなんだけど、そのマンションの隣にも小さな公園があってね。
ベランダにいると、公園でじっと自分を睨んでいる人がいるんですって。2人。
それから?
さぁ?
言ったじゃない。今はどうなっているか知らないって。
ふふ、それじゃあね。よければまた来週、会いましょう。
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