パレットの上の絵の具
少しずつ、自分を好きになれてきているような気がする。
自分の存在を、認めてあげられるようになってきた。
昔は、他人のいいところばかりが目について、自分と比べて、「あぁ、自分はなんて出来損ないなんだろう」と感じていた。
今は、もう、「あの人のようにはなれない」という、諦めにも似たような気持ちを持っている。
でも、諦めた瞬間に自分を認めることができるようになってきたのだから、驚きだ。
自分を好きになるためには、他人のいいところを真似して、その「他人」に近づくように振る舞うのではなくて、自分自身の欠点を受け入れていくところから始まるのではないのかな、と思う。
完璧ではなくても、愛してくれる人はいるし、そういう人を大切にしていければいいのだと思う。
無理して、偽った姿の自分で人から愛されても、「これは本当の私ではない」という気持ちに苦しむ。
もちろん、偽りの姿が本当の姿になることもあるのだろうけれど、そういう時は絵の具をパレットの上で混ぜるように、二つの自分が混ざり合っていけたらいいなと思う。
黄色と青が混ざって、緑という、素敵な色が現れるように、本来の自分に何かを混ぜるのならば、その後は自分の好きな色であって欲しい。
緑の中にも、本来の黄色は残っていて、その部分は消してしまった方がいい色ではないはずだから。
今までとは違った色でも、根っこの部分を愛してあげたいから。
汚い色が嫌なわけではなくて、自分が好きな色だったら、変わった後の自分も愛せるようになると思う。
きれいだった赤に、黒を混ぜても、きっと好きな色にはならないから。
偽りの自分が、本当の自分を隠して、殺してしまうのは、残酷で悲しい。
自分の良さを他の色で消してしまわないで欲しいなと思う。
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