第50話 聖なる神童キース1


 翌朝、モーズさんを訪ねると、彼は俺の体にかかっている術式は概(おおむ)ね書き写したから、後は彼の書斎兼研究室に籠もって解析を進めるとの事だった。

 メイとクリスは町に買い物に行ってもらっていたので、暇を持て余した俺はモーズ邸を探索する事にした。


 この屋敷は広く、入口にあるロビーから放射状(ほうしゃじょう)に通路が伸び、客室や風呂、キッチン等に繋がるユニークな造りをしている。

 俺は屋敷内を行ったり来たりしながら時間を潰していた。

 しばらく探索を続けると『キース監禁室』と、ぶっ飛んだプレートの書かれた部屋に直面した。


「キース……?

 もしかして昨日モーズさんと

 やり合ってたあの少年の事か……」


 ドアを開けると無数の魔力封じの呪符に包まれ鎖に繋がれた少年の姿があった。


「こんにちは。

 僕は大魔道士リッキーリードです」


「ああ。

 お前は昨日いた小っさい奴か。」


「お前も大して変わらないだろ……」


 こいつは中々無礼な奴だな。


「何か用か?」


「いや、特に何もないよ。

 暇だから屋敷を探索してるだけだ」


「リッキーリードって

 またえらい名前だな。

 御伽話の魔人の名前じゃねーか」


「いや……俺がそのリッキーリードだから」


「お前、頭大丈夫か?」


「だから本物なんだって。

 モーズさんも納得してたよ」


「マジかよ……?

 あのジジイも

 そろそろボケだしたのか……」


「で……お前、なんでこんな所に

 いるんだ?」


「毎度毎度だ。

 今回も俺は悪くない。

 ピーターの野郎がいつも

 町の女の子にちょっかいかけて

 好き放題してやがるからな……。

 ちょっと思いしらせてやっただけだ」


「ピーターって昨日モーズさんが言ってた

 教皇の息子の事か?」


「そうだ。」


「だからって権力者の息子に

 なかなか無茶するよな。

 モーズさんの苦労が伺えるよ」


「ジジイは聖教会の奴らとは

 べったりだからな……

 そうなったらこの町の奴らを

 守れるのは俺しかいないからな。

 まあ実際やったのは

 アンドレアさんだけど……」


「まあお前にも、考えがあるんだな。

 その考えは俺は否定しないよ」


「何だよ……随分と大人みたいな

 事言うんだな」


「そりゃあ大人だからな。

 こう見えても243歳だから」


「……。

 変わった奴だな」


「それにしても昨日の

 お前のまとっていた銀色の魔力だが

 珍しい魔力だったな。

 あれは何なんだ?」


「あぁ、あれか……。

 俺にもよく分からないんだ。

 俺は生まれた時から銀色の魔力に

 包まれていたらしい」


「銀色か……。

 ん?

 銀色の聖人……?

 もしかして?

 銀色の聖人エリックか?」


「今何て言った!?

 エリック様は銀色の魔力だったのか!?」


「思い出した……

 昔、そんな奴がいたよ!」


「お前、本当にエリック様に

 会った事があるのか!?」


「すっかり忘れていた!

 俺は昔、アドリアーノと

 彼に会った事がある!

 思い出したよ。

 セント・エリック……

 彼の魔力はお前にそっくりだった!」



   To Be Continued……




:現在の主要登場人物:


リッキー・リード:

 身長 150センチ

 ドロナック大戦の英雄。

 呪い解けるかも知れない。

 


クリス・ロージー:

 身長 157センチ

 リッキーの弟子。

 クロスローズシティでは今や有名な酒乱魔道士。


メイ・アンデルセン:

 身長 205センチ

 怪力と硬質化能力、黄金化ゴールデンマザーメイに変身出来る。

 元シスター。


リリアン・ブラッドフィールド・リード:

 身長 177センチ

 リッキーの養子兼ボディーガード。

 変態魔法戦士。

 魔族大陸グランデネロの【血の戦場の狂戦士リリアン】。

 

マーティン・モーズ:

 身長 158センチ~215センチ

 128歳。

 聖人エリック・モーズ神聖魔術の伝承者。

 魔力増幅により肉体が巨大化する。


キース・モーズ:

 身長 155センチ 年齢13歳。

 銀色の魔力を持つ子供 

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