第43話 リッキーリードの休日2



 何故かリッキー島の結界に娘のリリアンが捕獲されていた。


「リッキーちゃん

 あの子、知り合いなの?」


「ああ。

 俺の身内……というか娘だ」


「え、娘!?師匠結婚してたんですか!?」


「いや結婚はしてなくて、200年前

 奴隷に売られてたところを養子にしたんだ」


 俺達はリリアンを結界の拘束から解放する為、小舟で彼女のもとへと向かった。

 

 そこには大型海洋生物ですらビクともしない結界が大きく湾曲し軋みを上げでいた。

 そして、なぜかリリアンの艶っぽい叫び声が聞こえてきた……


「リリアン……?

 こんな所で何やってんの?」


「これはこれはお久しぶりです!

 やはり、リッキー様の術式でしたか!

 この魔族大陸血の戦場の狂戦士

 リリアン・ブラッドフィールド・リードが

 全く動けませんでした!

 流石は我が偉大なる主!

 リッキーリード様!」


「それで、何でリリアンがここにいるんだ?」


「それはですね

 リッキー様が転移魔術にて

 移動した魔力の方向を察知いたしまして

 誠に勝手ながら飛翔魔術にて後を追いかけました!」


 え、そんな事できる奴、聞いた事がないよ。

 転移だよ。瞬間移動なんだよ。


「するとリッキー様の魔力が消えたあたりで

 この結界に捕まったのです。

 しかし、この高貴な魔力は

 リッキー様の術式であると確信いたしまして

 何とも、これはまるでわたくし全身をリッキー様に

 締め上げられた様な快感に身も心も震わせておりました!」

 

 彼女が魔族大陸に行って200年か……

 見事な変態に育ったなリリアン。


「お前は確か魔族大陸グランデネロに

 帰った筈だよな?」


「そのつもりだったのですが

 大帝アドリアーノ殿から

 とんでもない話を聞きまして。

 何でも現在リッキー様の魔力が

 封印された状態になっているとの事ではないですか!

 ですのでこのまま、リッキー様が旅を

 続けられる事は危険であると思い

 グランデネロの任務は側近のリックとデューク任せ

 わたくしリリアンは護衛に御付きせねばと

 馳せ参じた次第であります!」

 

「しかし、リリアン。

 俺はもう今、

 旅のパーティーを組んでいるんだよ」


「なんですと!?

 リッキー様!

 それはもしかして横にいる魔力もまともに感じられぬ小娘の事ですか!?

 そんな者にリッキー様の御命を預ける訳に行きませんよ!」


「はい?小娘?」


クリスさんが険しい表情になった。


「この人はクリスだ。 

 俺の魔術の弟子だよ」


「あと隣に新種の魔物もいるようですが……」


「お嬢ちゃん、少々聞き捨てならないわね」


「とにかく、これからは、

 この私リリアンが護衛いたします!」


「駄目ですよ師匠!

 こんな変態を旅に同行させるなんて!

 200年前は子供だったかも知れませんが

 今は大人ですし

 この変態は恐らく父と娘の関係とか軽く超えてきますよ!」


「なんと無礼な小娘め!

 お前こそ腕など組んで

 リッキー様にベッタリくっつきおって!

 師匠と弟子の関係だと?

 そういうのが一番怪しいって

 グランデネロで流行ってる

 の官能小説に書いてあったぞ!」


「ほら師匠!

 この女は変態ですよ!

 しかもかなりのムッツリスケベです!」


「変態ではないわ!

 これは私のリッキー様への純粋な忠誠心からの愛だ!

 これを見ろ」


 リリアンは胸元から一枚の布を取り出した。


「な、何それ?」


「これはリッキー様が

 200年前に履いておられたパンツだ!」


「パ、パンツ!?

 しかも200年前の?」


 おい…なんで俺のパンツ持ち歩いてんの?

 

「私はこの200年、

 肌身離さず胸にこすりつけ……

 いや、胸元に忍ばせいつもリッキー様を思い

 忠誠を誓っていたのだ!」


 クリスさんは思考回路が追いつかず頭がショートして来た様だ。


「そして、この200年間、戦いに勝利した際には、

 必ずこのパンツをかかげ、リッキー様の偉大さを説いてまわっていたのだ!」


 え、何勝手に人のパンツ200年も世界中に晒し続けてくれてるの?

 リリアンって、この200年でこんなにバカになったの??


「あまいわねリリアンちゃん」


「何だ?貴殿は新種の魔族か?」


「ワタシはマザーメイ。

 人族よ、リリアンちゃん。

 これを見なさい」


 メイもまた、胸元からパンツらしき布を取り出した。


「それはなんだ」


「ワタシの愛した男。

 ヴィンスのパンツよ」

 (※リッキーリード10〜12話参照)


「まさか、メイ殿……貴殿もか!」


「しかしリリアンちゃん

 アナタはまだ、あまいわ!

 これを見なさい!」


 ヴィンスのパンツの反対側には女性用のパンツが縫い付けてあった。


「これはヴィンスが愛していた女。

 アイリスのパンツよ!」

(※リッキーリード10〜12話参照)


「恋敵のパンツだと!?

 なぜそんな事を?」


「このパンツの間をよく見なさい」


 その2枚のパンツの間には、ひと際大きなパンツが縫い付けられていた。


「これはアタシのパンツよ!

 これによりアイリスはヴィンスに

 近づきたくてもワタシのパンツに

 阻まれ近づく事が出来ない状態にあるのよ!

 ざまあないわアイリス!」


 おい……メイさん……

 あなたバカなの……?何か意味あるのそれ?

 ていうかメイさん……アイリスは親友じゃなかったのかよ。

 

「なんと……メ……メイ殿!

 これは完全に私の負けだ……!」


 な……なぜ理解者がいるんだ?

 え、何に負けたの?

 一体何を理解できたんだ??


「あなたもまだまだ、青いわね」


「メイ殿!

 是非、貴殿の弟子にして下さい!」

 

 え、何で?

 謎の師弟関係がここに……。


「リッキーちゃん。

 と言う訳で、今日からこの子も仲間に

 するわよ」


「どういう訳で……?」


「メイさん!

 わたしは認めませんよ!」


「おだまりクリスちゃん

 でないと、あの事をリッキーちゃんに

 バラすわよ…」


「リリアンさん宜しくお願いします!」


 おい、クリスさん。

 何の話?


「まあ、メイ殿がおられるなら

 問題ありませんな。

 クリス殿、宜しくお願い申し上げる!」

 

 何が一体どうなってるんだ……?


 こうしてリリアンが仲間になった。



        To Be Continued…





:現在のパーティー:


リッキー・リード:

 身長 150センチ

 呪いの力で魔力が使えない魔道士。

 ドロナック大戦の英雄。


クリス:

 身長 156センチ

 酒乱。リリアンを警戒


マザーメイ:

 身長 205センチ

 怪力と硬質化能力、黄金化ゴールデンマザーメイに変身出来る。

 元シスター。ヴィンスとアイリスのパンツを所有。   


リリアン・ブラッドフィールド・リード:

 身長 177センチ

 リッキーの養子。忠誠心の塊。魔法戦士。

 魔族大陸グランデネロの【血の戦場の狂戦士リリアン】。

 200年の時を経て変態属性スキルを得た。

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