第44話 魔石の腕輪1

 リッキー島に戻って2週間近くが経とうとしていた。

 俺は前回の旅の反省を踏まえつつ、荷造りを進めていた。


「クリスさん。

 大きな荷物は出来るだけマジックカードに収納して

 武器類は緊急時にすぐ使えるように身に着ける様にしてくれ。

 あとマジックアイテムと日用品はカードを分けた方が良いな」


「わかりました。

 貴金属類はどうしましょうか?」


「貴金属の大体の相場は分かったから必要最低限だけ

 持って行く事にするよ。

 これから神聖ノーツ帝国に向かうから100万ノーツもあれば

 4人でも当分、金に困る事はまずないだろう」



「では師匠、その他の日用品を用意しておきますね」


「ありがとう。

 今、メイさんが旅用の保存食を大量に仕込んでくれているから

 最後にそれも入れといてくれ」


「ではメイさんにも伝えておきますね」


「そういえばリリアン。

 金は持ってるのか?」


「は!

 金品は基本現地調達しております!」


「それただのカツアゲじゃないか……

 俺たちのパーティでは今後そういう行為は控える様に。

 もし別れてしまった時の為に先に1000アンガスだけ渡しておくよ

 これだけでも結構な額になるはずだよ」


「ありがとうございますリッキー様!」


 こうして俺達はリッキー島での余暇を終え、ドロナック大戦の時、クリスとメイさんと助けてくれたキングジェイ傭兵団にお礼としてクロスローズシティで食事をする予定だったのでメイの妹の※トレイシーの事務所に設置しておいた転移魔法陣にワープした。

(※第7~8話参照)

 

「あらあ!お姉様とリッキーちゃん、クリスちゃんいらっしゃい!」


 そしてメイさんはトレイシーを抱き上げ、久しぶりの再会を喜び合った。

 それは、衝撃的な光景だった……2メートルを超えるツインテールが190センチのポニーテールを赤子の様に高い高いしている。

 世界は未だに俺の知らない不思議であふれている様だ。


「しかし転移魔法陣って凄いのね。

 本当に急に出てくるんだもの、びっくりしちゃうわ」


「久しぶりだなトレイシー」


「あら?今回は見ない顔の子がいるわね」


「この子は俺の養子のリリアンだ。

 これからもよろしく頼む」


「あらリッキーちゃんて本当に子供じゃなかったのね。

 こんな大きな娘がいるなんてね」


「この子も実は200歳超えてるからな」


「へえ……全く信じられないわ。

 初めましてリリアン」


「こちらこそトレイシー殿!

 メイ殿の妹とは……見た目からして

 やはりタダ者ではなさそうだな」


「こらリリアン、一言多いぞ」


 その後、メイさんとクリスは旅の準備の追加の買い出しに向かって貰った。

 それからトレイシーに店を予約を頼んで、俺はキングジェイ傭兵団と連絡を取る為に傭兵ギルドに向かった。

 リリアンは部下と会う約束をしていたらしく、出かけていたので俺は一人でギルドに向かう事にした。


 傭兵ギルドはその職業柄もあり、かなりイカツイ兵士達の溜まり場となっていた。

 うん……。

 やはり、リリアンを護衛に連れて来たら良かったよ……

 こんな奴らに絡まれたらひとたまりもねーよ。


 俺は出来るだけ目立たない様に受付に行き、キングジェイ傭兵団に店の場所と時間を伝言してもらうように頼んだ。

 その時後ろから山の様なデカい影が近づいて来た。

 

「リッキーリードだな」


 俺は小便をちびりそうになったが振り返るとその顔に見覚えがあった。


「あんたは確かキングジェイ傭兵団の……」


「カイルだ。

 伝説の男にまた会えて光栄に思う」


 この男は表情が全く変わらんので何考えてるのか分らん……


「今日はこの間の御礼で食事を奢る

 約束をしてたから

 場所と時間を伝えにギルドに来たんだよ」


「それはかたじけない。

 伝えておこう」


「他の2人は今はいないのか?」


「ジェイとレオナは買い物に出かけている。

 後で戻ってくるはずだ」


 うん、不愛想だが他のリア充二人とは違い、まだ話しやすそうだな。


「じゃあまた今夜よろしくカイル!」


「うむ。分かったリッキーリードよ」


 俺はギルドを出るとすぐリリアンが駆け寄ってきた。


「いけませんよリッキー様!

 護衛も付けずにお一人で」


「いやあ。

 リリアンも出かけてるみたいだったし

 この町はレオポルドファミリーがいなくなって、

 かなり平和になったから大丈夫だよ。

 ところでどこに行ってたんだ?」


「聞いて下さいリッキー様!

 アドリアーノ殿から送って頂いた品が届きました」


「アドリアーノが俺に?」


 リリアンはかなり大げさな宝箱を開けると、中に大きな魔石が埋め込まれた腕輪が入っていた。


「これは何かのマジックアイテムか?」


「これは古代遺跡から発見された

 いわゆる呪いの腕輪です!」


「おい……。

 アドリアーノの奴、なんの嫌がらせだよ……」


「お忘れですか?

 呪いの上書きです!」


「は……そっそうか!」


「これを着けるとリッキー様の魔力を

 戻す事が出来ます!」






        To Be Continued…




:現在のパーティー:


リッキー・リード:

 身長 150センチ

 呪いの力で魔力が使えない魔道士。

 ドロナック大戦の英雄。


クリス:

 身長 156センチ

 リッキーの弟子。酒乱魔道士。


マザーメイ:

 身長 205センチ

 怪力と硬質化能力、黄金化ゴールデンマザーメイに変身出来る。

 元シスター。


リリアン・ブラッドフィールド・リード:

 身長 177センチ

 リッキーの養子兼ボディーガード。

 変態魔法戦士。

 魔族大陸グランデネロの【血の戦場の狂戦士リリアン】。

 




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