第19話 首都ドロナック
多少のハプニングは起こったが、俺達は無事、ハーランド達の森林地帯を抜ける事が出来た。
ハーランドは俺達の案内役に5人もの妖精達をつけてくれ、妖精の加護のおかけで魔物にも会わずに、すんなり森を抜ける事が出来た。
クリスは終始申し訳なさそうだったが、そもそも俺の落ち度で道に迷ったのだ。
それに前から、こんな危険な旅に連れ回されて、かなりストレスも溜まっていたんだろう。
パーティーのリーダーとして、メンバーの心のケアをもっと心がけないといけないな。
俺は、ダントツの最年長者でもあるしな。
森の出口で妖精達には御礼を言って、俺達はここから首都ドロナックに向かって北上する事にした。
首都ドロナックか…。
200年前は、ラグレスタ大陸の北東端にある小国にしか過ぎなかった。
実際、俺の記憶にもほぼ印象に残っていない。
せいぜい、都市のはずれに古代王国シュラムの遺跡が出てくるという情報ぐらいだ。
俺達は馬車を走らせていると、行く先に大きな城壁が見えてきた。
城塞都市か…。
昔の王国ドロナックの名残りがまだ残っている。
町全体は巨大な城壁に囲まれていた。
都市の入口には、お決まりの跳ね橋と城門があるがドロナック王国として統一されている為、都市に入るに当っての警備はそれ程、厳重ではないようだ。
しかし、どう見ても怪しいこの3人組だ。
俺は、内心ビクビクしていたが、武器類や高級貴金属等は俺のマジックアイテムで隠していたので、観光客という事で何とか城門をパスする事が出来た。
それにメイは孤児の救済という社会福祉活動もしていたので、クロスローズ領主が身分証明書を一筆書いてくれたのが大きかった。
都市に入るとまず馬車を預けて、今日泊まる宿を探す事にした。
怪しい3人組がいきなり高級宿に泊まるとさらに怪しまれると思ったので、可もなく不可もない程よい値段の宿を取った。
俺達というか、俺の目的は王室書庫の探査である為に出来る限り目立たず印象に残る様な行動はしたくない。
俺は、潜入捜査として王室書庫に潜入する事になるからね。
そう言えば、ドロナックの東にある島国スモークランドには代々、潜入捜査諜報スパイ活動の専門家の民族がいたはず。
残念ながら俺はそんな能力はないので、マジックアイテムに頼らないといけなくなる。
そして、俺達は夕食をとりながら、これからの行動について打ち合わせをする事にした。
兎に角、今回俺は事を大きくしたくないので、夜に単独で忍び込む案を提案した。
「師匠ひとりでですか?
少し危険な感もありますが」
「確かにワタシもそれは同意出来ないわ」
「しかし、潜入捜査で3人で行くのは、
目立ち過ぎます。
ここはひとつ単独行動をしたいと思う。
マジックアイテムを使って何とかするよ」
「でもリッキーちゃんって結構頼りないから
危険過ぎるわよ」
「最近頼りない事は、まぁ認めます…。
とりあえず、今日は旅の疲れもあるし、
ゆっくり休みましょう。
明日はゆっくり買い物でもして
夜また、話し合いましよう」
「僕も、もう一度話し合った方が
いいと思います」
「そうね、今日はゆっくり休んで
明日ゆっくり話会いましょう」
こうして俺達は今夜は旅の疲れを癒やす為飲み明かす事となった。
そして、これが俺の狙いだった。
俺が一人で行くと言ったら止める事は予想していた。
なので、行かないと見せかけて今夜しれっと潜入して何事もなく帰って来る事にした。
二人はぐっすり眠っている。
俺は今夜潜入捜査作戦を遂行する事にした。
:現在のパーティー:
リッキー・リード:
身長 150センチ
魔力なし魔道士
単独行動に走りがち
クリス:
身長 155センチ
魔力値 13000
すごく酒乱。リッキーが心配
マザーメイ:
身長 205センチ
魔力値12500
怪力と硬質化能力
元シスター。面倒見がいい姉御肌。
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