第18話 ロッシー村のクリスティーン


◆◆◆◆


 港町スージから北にある小さな農村ロッシー。

 私はこの村の平凡な農家の両親の元で生まれた。

 名前はクリスティーン・ロージー。

 小さい頃から、冒険者になりたかった。

 この閉鎖的な世界で彼等だけがこの世界の自由を手にしていると思ったからだ。


 子供の頃からいつも、男の子たちと混ざって木の棒を片手に冒険者ごっこをしていた。 

 まわりにもクリスティーンではなくて、より中性的な響きのするクリスと読んで欲しいと言った。

 髪を短く切ったのもその頃だったと思う。

 男の子を恋愛対象に見た事もなかったし、成人になったら嫁入りする村の古い風習の女にもなりたくなかった。


 そんな私も、15歳になった。

 成人になって、周りの子供達も家の仕事を継いだり結婚したりするようになった。

 周りの女の子達もすっかり大人っぽく成長したが私は何故か成長が遅かった。

 15歳になってもまるで10歳に満たない子供みたいに見えた。

 その頃から、僕はまわりとはどこか違うんじゃないかと、疎外感を感じる様になった。


 私にも両親から結婚する様に言われるようになった。

 でも決して恋愛に興味がなかった訳ではない。


 私は15歳になって一か月が経った日の夜、一人で村を抜け出した。

 村を出た動機は、最初は対して深い意味などなかったかもしれない。

 ちょっと外の世界を見て、何か自分の考えと共有出来る人に会えれば、この自分を変えられるかも知れないと思っただけだったかも知れない。

 でも、港町スージーに出てからはもう最悪だった。

 まともな職に付ける事もなくレオポルドファミリーに入る事になった。

 人身売買の組織に騙されて直接現場で手を汚す事はなかったが悪人の片棒を担がされる事になって、既に僕はもう考える事を辞めていた。

 自分を駄目な人間だと思うようになって自暴自棄に陥っていた。

 そんな荒廃的な生活が2年も続いた。


 そんな時、不思議な少年が捕らえられ連れて来られた。

 どう見ても、ただの子供なのにやたらと態度がデカくて偉そうだった……

 でも、自分とは真逆の性格のその少年を少し羨ましくも思えてしまった。


 しかもその少年は自分の事を昔話に出てくる大魔道士だなんて言い出した。

 僕は呆れてしまっていた。

 

 ただ、その少年は本当に奇跡を起こした。

 誇れる物が何も無かった僕を魔道士に変えてくれた。

 自分からとんでもない魔力が放たれたのを見て自分でも信じられなかった。

 そして、僕自身も信じざるを得なかった。

 おとぎ話の有名人が現れて僕の人生を変えてくれた。

 ちょっと小さい白馬の王子様が僕に現れたと思った。

 僕は彼を師匠と呼ぶ様になった。


 人とちょっと違うからと悩んでいた自分がバカらしくなった。

 彼は子供みたいな見た目で243歳だという。

 自分の悩みなんて何てちっぽけなんだろうと痛感させられた。

 彼はそんな事を気にせず堂々と生きていた。

 その上、元大魔道士なのに魔力まで無くなったと言う。

 彼に対する尊敬の念がいつしか恋に変わってきた事に自分でも気づき出した。


 でも、彼にとって僕はどういう存在なんだろう?

 彼はいつも優しかった。

 でも彼は僕の事を弟子以上に見る事が無いように見えた。

 僕はそれでも、自分を底辺の生活から救い出してくれた彼に報いようと頑張ろうと思った。

 でも、アマンダ村でもう駄目だと思った時に彼が全てをひっくり返した。

 私は身体を震わせる程、心を打たれた。

 ピンチの時に現れたまさに白馬の王子様だった。

 彼に対する気持ちがもう抑えられない様になってきた。

 メイさんには何度も相談した。

 彼女は僕の話を凄く真剣に聞いてくれた。

 尊敬するお姉ちゃんが出来たようだった。


 ある日、師匠の判断で森で迷ってしまった。

 彼はいつになく申し訳なさそうだった。

 彼もこんな顔をする時があるんだと思った。


 今度は僕がこの人を助ける番だと思い、尚かつ彼に認めて貰えるチャンスだと思った。

 でも結局、彼が森の主との交渉を進めて解決してしまった。


 僕は少し、自分に落胆した。

 今回は彼の役に立てると思っていたのに…。


 それから、彼にお酒を勧められたので、お酒なんか飲んだこと無かったけど彼から言われたから、飲まないと彼の昔の知り合いの前で彼の顔を潰してはいけないと思い頑張って飲んだ。 


 結果は最悪だった。

 酔っぱらって自分でも訳の分からない感情が溢れ出して気付けば彼にぶつけていた。


 自分は本当に何も変わらない駄目な女なんだと自分が嫌になった。

 彼に守られる事で自分も少しでも、変わったのかも知れないと思っていたのだろう。



◇◇◇◇

 

 僕は目を覚ました。

 酷い頭痛がする。

 これが二日酔いって言うやつなんだな。


 しかし、気づくとそばに彼がいた。


「クリスさん!

 良かった!

 気分悪くない?

 飲めないのに無理矢理飲ませちゃたみたいで本当に申し訳なかった!」


「え、師匠は何も悪くないですよ!

 私…。

 私こそ本当に御迷惑をおかけしてごめんなさい!

 き、昨日の事は忘れて下さい!」


「本当に?分かった!

 ありがとう!

 実は、今日はもう一泊する事に決めたんだよ

 ハーランドもそれで良いってよ

 だから、ゆっくり休んで

 旅に備えようぜ!」

 

「はい、師匠!

 ありがとうございます」


 僕はこの人に付いて行こうと思う。

 彼の優しさに全て救われた。

 私は彼の旅をずっと支えて行こうと思った。





:現在のパーティー:


リッキー・リード:

 身長 150センチ

 魔力なし魔道士

 経済力はちょっとだけセレブ

 乙女心には鈍感


クリス:

 身長 155センチ

 魔力値 13000

 酒乱。リッキーが好き


マザーメイ:

 身長 205センチ

 魔力値12500

 怪力と硬質化能力

 元シスター。クリスさんの恋の相談役

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