ユグドラシルの司書

大図書館ユグドラシル

　迷路のように入り組んだ無限の書架。

　そこに収められているのは人々の願いによって紡がれた本（世界）だ。

　恒久の平和を。世界の破滅を。幸せを呪っていることもあれば、不幸を祈っていることもある。

　千差万別の願いが込められた本（世界）は、人々の願いの数だけ存在し、故に果てはない。

　そんな本（世界）を管理しているのが、この無限の世界に住まう司書。願いが欠けないように保ち、欠けてしまったのなら直す存在だ。

　本（世界）を物語——偽物とするのならば、この世界は読み手の世界——本物。

　心が枯れぬ限り、朽ちず果てず灯り続ける。

　その名を——大図書館ユグドラシル。